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「行人」直という明治の女(中編)その2

主人公・二郎の兄嫁、直は小姑の重との仲がうまくいかない。
夫・一郎との仲が冷え、更に小姑と不仲なのだから、家庭内でさぞ孤独であったろうと想像する。
義妹のお重とは、あまりに性格が対照的なのだ。
感情をいつも抑えている口数の少ない嫁の直、言いたいことは言わずにはいられない、感情表現が派手な重。
嫁と小姑は気が合わないものだが、ここまで性格が違えば、重と直の仲が良いわけがない。
ちなみに私は、女子高校、女子短大と5年間の青春を女子だらけで過ごしていた。
いつか描こうと思うが、かなり色々な面で特徴のある高校だった。
その高校は、真面目で勉強好きな女の子が多かった半面、おしゃれや流行にも敏感な友人も、かなりの数でいた。そんな学校だったので、教室は毎日賑やかであった。半面、「いじめ」なんてプライドの低い、暇でくだらない人がすることだ、という強い信念があった学校で、いじめのない学校だった。
そんな女子だらけの環境を思い出してみると、お重のような、ちょっと美人でおしゃべり、明るく感情的な女性など、どのクラスにも数人はいた(どちらかといえば、理系より文系女子に多いタイプである)。
しかし、直のような女性にはお目にかかったことがない。
私の人生で出逢わなかっただけだろうか。人間観察が習性となっている、私の目に映らない女性なのだろうか。
それとも、既に昭和後半以降には存在しない明治の女、それが直なのであろうか。


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