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体と薬と健康と・・・第10話 肝臓

健康コラム『読み物サプリ』。
今回は私たちの体にある「肝臓」のお話をしたいと思います。
飲み会が増えてくるこの季節に、ぴったりかもしれませんね💡


いきなりですが、ここでクイズ!
Question:肝臓のあるところを手で押さえられますか?

右手で右の肋骨を押さえてみてください。
その右の肋骨に守られたところにあるのが「肝臓」です。
生理学的には、お腹の右上で横隔膜の下あたりにある、と表現します。

もう一問。
Question:大人の肝臓の重さはどれくらいだと思いますか?

大人の肝臓の重さは、体重の約50分の1くらい(約1~1.5㎏)です。
ですから、右の肋骨の内側に、ペットボトルが1本あるイメージですね。
「肝臓」は、からだの中で最も大きな臓器なのです。

どんな機能があるのでしょうか?

「肝臓」には、3つの大きなはたらきがあります。

肝臓のはたらき①

1つ目。食べた物を酵素などで化学反応させ、生命の維持に必要なものに変換(代謝)していったり、体にとって必要なものを貯蔵したりしています。
例えば、私たちが食べた「ごはん」や「パン」などの炭水化物(糖質)は「ブドウ糖」に分解され、小腸で吸収され、血液によって「肝臓」に運ばれ、肝臓では「グリコーゲン」という形で”貯蔵”されます。
言い換えると、速効性のあるエネルギー源の「ブドウ糖」を、
「グリコーゲン」という形にして貯蔵しています。

ちなみに皆さんは『グリコ』というキャラメルのお菓子をご存じですか?
このグリコというのは、「グリコーゲン」にちなんでつけられた名前です。
グリコのキャラメルのキャッチフレーズは ”1粒で300m” と謳っていますが、これは実際に1粒で300m走ることができるエネルギーがあるという意味なんですよ。

江崎グリコ株式会社HPより

1922年(大正11年)2月11日に創業された「グリコ」。
創業者の方が、「子どもが大好きなお菓子を食べながら、健康を促進できるようなお菓子をつくりたい」そんな思いで、キャラメルにグリコーゲンが多く含まれる牡蠣エキスを加え、グリコーゲンに因んで「グリコ」と名付けたそうです。

話がそれましたが、肝臓には、エネルギー源となる「グリコーゲン」が蓄えられていて、必要な時に「ブドウ糖」として取り出し、エネルギーに変えて使用できるようになっているのです。

肝臓のはたらき「貯蔵」

ちなみに消費されなかったブドウ糖の余剰分は、
徐々に脂質へと転換されてしまいます。
また、脂に溶けやすいビタミン(ビタミンAやビタミンD)、水に溶けやすいビタミン(ビタミンB6やビタミンB12)なども肝臓に貯蔵されているんですよ。

肝臓のはたらき②

2つ目のはたらきは体に有害な物質を”無毒化”したり、代謝したりすること。
吸収されたもの、又は体内で生成されたものでも、
滞留すると生体に有害となってしまう物質を、
肝臓は肝細胞内の酵素などのはたらきで代謝し、
”減毒化”・”無毒化”して、体外に排出されやすい形にするはたらきがあります。

実は「医薬品」もある意味、体にとっては異物。
肝臓で代謝され、薬としての効力も減弱されて全身に運ばれていきます。
「アルコール(お酒)」も肝臓で無毒化されるもののひとつです。
皆さんも興味があることだと思いますので、少しだけ詳しくお話しさせていただきます。

「アルコール」は胃や小腸で吸収された後に肝臓へと運ばれ、
酵素によって「アセトアルデヒド」という物質に変えられます。
さらに別の酵素によって「酢酸」や「水」、「二酸化炭素」へと無毒化されていく流れです。

肝臓のはたらき「無毒化」

ここで生成される「アセトアルデヒド」という物質が二日酔いの原因
アルコールの量が多すぎたり、代謝に関わる酵素(アルコール脱水素酵素やアセトアルデヒド脱水素酵素)が弱いと、
アセトアルデヒドが体内に貯留して、頭痛がしたり、気分が悪くなって嘔吐したりする、いわゆる二日酔いとなってします。

二日酔いの味方も紹介しておきます。
「アルコール脱水素酵素」や「アセトアルデヒド脱水素酵素」のはたらきを助けてくれる成分で、「L‐システイン」という成分です。

「L‐システイン」配合の医薬品の例

お酒を飲む前に「L‐システイン」を摂っておくと、アルコールの分解が助けられて、翌日がいつもより楽になるようです。
もちろん個人差もあり、ムチャな飲み方をしたり、大量に飲んだりした場合等には効き目としては表れないと思ってください。
お酒は、適量を楽しく飲みましょう!🍻

・・・話が随分それてしまったので元に戻します。

肝臓のはたらき③

肝臓の働き3つ目は、生体物質の”産生”です。
生体物質というのは私たちの体内に存在する化学物質の総称で、
胆のうから分泌される「胆汁酸」や、ホルモンの生合成の出発物質になる「コレステロール」、血液を凝固させる因子の「フィブリノゲン」等々・・・
生命維持に必須な役割を果たす種々の生体物質は、
肝臓において産生されているのです。
また「必須アミノ酸」※1以外の「アミノ酸」も生合成することができます。

※1「必須アミノ酸」
体内でつくられないため、食品などから摂取する必要があるアミノ酸のことで、ヒトの場合は「イソロイシン」「ロイシン」「メチオニン」「スレオニン」「トリプトファン」「リジン」「フェニルアラニン」「バリン」「ヒスチジン」の9種類です。

このように体内最大の臓器である「肝臓」は、
”代謝”したり、”貯蔵”したり、”解毒(無毒化)”したり、”産生”したりと、
本当に重要なはたらきを担っているのです。

肝機能障害は分かりづらい

そんな肝臓は”沈黙の臓器”と呼ばれ、
軽度の肝機能障害の場合は、自覚症状が無く、健康診断などの血液検査で初めて判明することが多いようです。
症状が現れたときの主な症状として、
全身の倦怠感、黄疸※2のほか、発熱や発疹、皮膚の掻痒感、吐き気などがあらわれます。

私たちの体の健康を、日々黙々とはたらきながら支えてくれている「肝臓」を想い、時々右の肋骨当たりに手を当てて”感謝”しましょう!

※2「黄疸」
ビリルビンという黄色色素が胆汁中に排出されずに血液中に滞留することで皮ふや目の白眼の部分が黄色くなる病気です。


ということで今回は肝臓のお話でした。
大好きなお酒の話を極力控えめにお伝えしてみましたが
いかがだったでしょうか。

次回の読み物サプリもお楽しみに✨
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