横瀬の魅力は「人」です|LAC横瀬 コミュニティマネージャー・新堀桂子さんインタビュー
※この記事は読み上げ音声に対応しています。
場所やライフライン、仕事など、あらゆる制約に縛られることなく、好きな場所でやりたいことをしながら暮らす生き方「LivingAnywhere(リビングエニウェア)」。
そんな暮らしをユーザーと共に実践していくコミュニティLivingAnywhere Commonsに、2022年5月新しい拠点がオープンしました。
それが今回取材をさせていただいたLivingAnywhere Commons横瀬(以下、LAC横瀬)。
埼玉県北西部に位置する横瀬町は、人口8,000人の消滅可能性都市でありながら、日本一チャレンジする町として知られ、町づくりの先駆的な取り組みは全国各地から注目を集めています。
そんな注目を集める横瀬町の中心部にあるLAC横瀬は、遊休施設となるはずだったJA支店の跡スペースを再活用して作られた場所。同じスペース内に町内の方が利用できるオープン&フレンドリースペース「Area898(※1)」が設置されるなど、町内外の人が自然と交じり合う場が作られています。
今回は、そんなLAC横瀬のオープンと共にコミュマネとなった新堀桂子さん、LAC横瀬に隣接するArea898の管理人 大野洋さん、横瀬町副町長の井上雅国さんにお話を伺いました。
日本一チャレンジする町にLAC横瀬ができたワケ
ーーLAC横瀬のオープンおめでとうございます!今回はLAC横瀬の特色やこの町の魅力、コミュマネさんはどんな人なのか?という部分をお伺いできればと思うのですが、そもそも今回横瀬がLACの直営拠点としてオープンした経緯を教えていただけますか?
おけいさん:はい、それに関しては私がまだこの町にきて3ヶ月ということもあるので、副町長の井上からお話ししてもらいますね。
井上さん:横瀬町で副町長をしています、井上です。
なぜ横瀬でLACをオープンしたのかをお伝えするには、そもそもこの町がどんな町づくりを目指してきたのか?それに向けて何に取り組んできたのか?をお話しする必要があります。
ーー横瀬の町づくりですね!たしか横瀬は日本一チャレンジする町として、メディアにも取り上げられていますよね?
井上さん:はい、横瀬は今でこそ日本一チャレンジする町として一定の認知を得ていますが、同時にここは人口わずか8,000人の消滅可能性都市でもあるんです。
ーー消滅可能性都市?
井上さん:地方によくある話ですが、横瀬の人口は年々減っていて、このまま何もせずにいれば将来的には町自体が消滅してしまう可能性があります。
だから、横瀬は未来を変える必要があった。
そこで私たちはこれまで何年もかけながら、町づくりを3つのステップに分けて取り組みを行ってきました。
ーーその取り組みについて教えてください!
副町長:1つ目は、横瀬という場所を知ってもらう取り組みです。
町を消滅させないために、横瀬は町外から足りないリソースを集める必要がありました。そして、そのためには町をもっとオープンな場所にしていく必要があったんです。
そこで2016年に「よこらぼ※2」という民間の活力を町に取り込むための官民連携の仕組みを作り、「みなさんのもつアイデアを実際に横瀬で実証実験しませんか?」という取り組みを行いました。
5年で100以上の採択を行い、最近では「横瀬と一緒にやれば何か面白いことができるかも」という認知が広がってきたと思います。
ーーそれで横瀬は日本一チャレンジする町と呼ばれているのですね!
井上さん:ただ、町外からせっかく人がきてくれるようになったものの、横瀬にはそんな人たちが過ごせる場所がなかったんです。
だからこそ、次のステップは居場所作り。
どんな場所を作ろう?と考えた時、町外の人と町内の人が過ごせる場を作りたいと思い、まずはLAC横瀬に隣接する「Area898」を作りました。
ーー実際にLAC横瀬に滞在していると、非常に町の人の出入りが多いと感じます。Area898は確か町内の方に向けて作ったスペースでしたよね。
井上さん:はい、地方の町って基本的にはみんな車移動なので、以前は町民同士でさえ意外と顔を合わす機会が少なかったんです。
Area898は町の公共施設として、元々直売所だった場所をJAさんのご協力のもとお借りして作っています。隣が町民会館、横が小学校、駅や役場からも近いという立地もあり、オープンから1年で約4000人ほどの方が利用してくれました。
ーー1年で4000人ですか!どおりで地元の方の出入りが多いんですね!
井上さん:町民、そしてよこらぼなどを通じて繋がった町外の方が過ごせる場所ができ、次の場づくりを考えるタイミングになったとき、たまたま町の中心地だったJAさんが空く話がでたんです。さまざまなタイミングと2020年からの出会いが重なったことで、Area898の隣がLAC拠点としてオープンする話が、JAさんLIFULLさんとの間で進みました。
私はLAC横瀬を「余白づくりと摩擦おこしの場」と呼んでいて、ただ単に町外からきてくれた方が過ごせるだけでなく、そこで出会った町内の方との偶発的な出会いやきっかけを通して、セレンディピティ(※3)が生まれる場所を作りたかったんです。
ーー2020年からLACと交流があったということですが、どんなきっかけだったんですか?
井上さん:これも本当にたまたまなんですが、2020年にLAC会津磐梯でイベントがあり、そこに横瀬も参加していたんです。
当時私たちは磐梯町の取り組みに興味があり、ぜひ自分の目で現地を見たいと思っていました。だからこそ、実際にLAC会津磐梯に行き、イベント後にそのまま宿泊。その際の偶然の出会いから、LIFULLの代表の方と食事をすることになりました。
LACとの出会いもまさにセレンディピティ。やりたいことや考えが似ていて、とても面白いなと思い、今回一緒に拠点を作る運びとなりました。
地域おこし協力隊として横瀬へ!30年住んだ東京を離れコミュマネに就任
ーーでは、ここからはLAC横瀬でコミュマネをつとめるおけいさんについて教えてください!おけいさんが、今回新しくオープンしたLAC横瀬でコミュマネをすることになったのはなぜですか?
おけいさん:私がLAC横瀬のコミュマネになったのは、「横瀬町のコミュニティスペースマネージャー募集」という地域おこし協力隊の案内に応募したことがきっかけです。
私は地元が埼玉なんですが、大学卒業後はずっと東京で仕事をしながら暮らしていました。
編集や施設運営のお仕事をするなかで55歳になり、これからの暮らしを考えた時、なにか新しいことに挑戦してみるのもいいかなと思ったんです。
当時はちょうど山登りにハマっていたこともあって、そんな私をみていた娘が「自然の多い場所に転職とか移住とか考えてみたら?」と言ったんです。
「そうだね」なんて言いながら、長野や山梨を移住候補としてみていたんですが、なかなかここと思える場所がみつからなくて…。
そんなとき「そういえば埼玉にも山がある」と気づき、そこから秩父の移住情報を見始めるようになりました。
そこで地域おこし協力隊の募集をみて、「これはやりたい!」と横瀬に移住を決めました。
ーー移住を考えるなかで、横瀬町と出会いLACのコミュマネになったのですね!ちなみにおけいさんは、元々LACのことはご存じだったんですか?
おけいさん:移住を考えるなかで、LACという言葉は何度か目にしていたと思います。
ただ実際にサービスを利用したことはなく、どんなものかはよくわかっていませんでした。
だから、移住してからLAC横瀬がオープンするまでの間に、LACつくばやLAC館山などの拠点巡りをしましたよ。
ーー実際にLACを利用してみていかがでしたか?
おけいさん:正直、とっても楽しかったです!
それぞれの拠点に異なる魅力があって、例えばLACつくばではボードゲームクリエイターのスイタ氏というユーザーさんと交流したり、コミュマネさんの柔らかなコーディネート力がとても素晴らしいと感じました。
他にも、LAC館山はロケーションが最高で、夕日の時間になるとみんなが外にでて動画撮影をはじめたり、とってもいいなぁって思いましたね。
一緒にいったArea898の洋さんも「俺もLACの会員になろうかなぁ」なんていうくらい、LACを通して素敵な体験ができたんです。
LAC横瀬のコミュマネは2人?Area898の管理人 大野洋さんとは
ーーLAC横瀬には、実はもう1人コミュマネさんがいると伺いました。それが今言っていたArea898の洋さんだったんですね!
おけいさん:そうなんです。厳密にはLAC横瀬のコミュマネは私になるんですが、施設の特色上、LAC横瀬に隣接するArea898管理人 洋さんもコミュマネとしての役割を担ってくれています。
ーー洋さんはLAC横瀬のなかではどんな関わりをされているのですか?
洋さん:私は役場の職員として、LAC横瀬に隣接する公共施設「Area898」の管理人をしています。
ただここはLACとArea898が交わってできている場所なので、LACに主軸をおいているおけいさんと、Area898に主軸をおいている私という立場で、私自身もコミュマネとしての役割を果たしていきたいと思っています。
ーーなるほど。LAC横瀬の施設自体が、町の公共施設とLACが混じり合った場所だからこそ、お二人のコミュマネさんがいらっしゃるのですね!洋さんは横瀬町のご出身なんですか?
洋さん:いいえ、僕の出身は隣の秩父市です。ただ横瀬の町役場に勤めていたので、かれこれ30年以上横瀬で暮らしています。
おけいさん:私がまだ横瀬にきて3ヶ月なので、洋さんにはこの町のコンシェルジュとして本当に助けてもらっています。
洋さんは町の文化財に詳しくて、LAC横瀬の隣にある歴史民俗資料館の蔵出し展示などもしてくれていますよ。
ずっとこの町と生きてきた人だからこそ、横瀬のことをよく知っている。外から来た人と町や人をつなぐ役割を洋さんは担ってくれていますね。
LAC横瀬の魅力は人にあり!みんなで創るLAC横瀬という場所
ーーではここからはそんなお二人が考えるLAC横瀬の魅力やおすすめスポットについて教えてください。
おけいさん:LAC横瀬の魅力は、行政との近さだと思います。
私はまだ横瀬にきてそれほど時間がたっていないので、そんな私が地域のコミュニティスペースのマネージャーをするなんて正直どうなの?っていう部分もあると思うんです。
でもそれでも成り立つのは、こうして洋さんがいてくれたり、町長や副町長が足を運んで利用者と交流してくださるから。
町全体でLAC横瀬を作っていこうとする雰囲気が、私はとても魅力だと感じます。
あとおすすめのスポットは、やっぱり自然ですね。歩けばすぐに川や山があり、棚田もすごく綺麗です。
ご飯屋さんなんかは私もまだまだ行ったことのない場所が多いので、それはユーザーさんと一緒に開拓していきたいですね。
洋さん:僕は横瀬の魅力って、結論「何もない」ってことだと思うんです。
そりゃあ武甲山(※4)や秩父札所34ヶ所(※5)は観光スポットだし、キャンプができたり花が綺麗だったり、たくさん魅力はあるんですよ。
でも、そういうことではない。
ここはきてくれた人が自分で楽しみを見つけて、そのうえで町の人と馴染んでくると横瀬はその人にとってすごくいい場所になるんじゃないかな。
横瀬はとにかく人が魅力ですからね。
ーー私も実際にLAC横瀬に滞在させてもらい、関わってくれるみなさんがとても温かいなぁと感じています。それはお二人の雰囲気や姿からも感じていることなのですが、お二人はこのLAC横瀬でどんなコミュマネを目指していきたいですか?
洋さん:僕はね、理想は駄菓子屋のオヤジみたいな存在になりたいと思っているんですよ。
誰かがこの場所でなにかをやると、それをみた人が「なにやってるの?」と聞いてくる。その流れで「じゃあ一緒にやろうか」なんて自然と物づくりが進んだり、人との関わりが増えたりして。
そんな空間にこの場所がなれば嬉しいし、僕はそんな場所のオヤジでありたいですね。
おけいさん:私は正直、まだまだ悩みながらやっています。
まだまだ必要な物が揃っていないなかで、例えばみんな買い物はどうするんだろう?朝ご飯はあるのかな?なんて色々気になってしまって、何をどこまでサポートしたらいいのか悩む
んです。
ただ1人で考えてモヤモヤするより、どんどん声をかけて、みんなと一緒になにかしていきたいですね。現に今は、一緒にユーザーさんと夕飯を作ったりしながら私も楽しんじゃってます。
こんな言い方をするとあれかもしれないけど、私自身母親業が落ち着いてきて、今は横瀬で1人暮らしをしているので、みんなに母性をぶつけられるのが楽しいのかもしれません。(笑)
お母ちゃん根性みたいなものを自然にちょっとだけぶつけさせていただいて、皆さんが嫌じゃなければWin-Winの部分で一緒に楽しみたいですね。
ーーありがとうございました!では最後にユーザーさんにメッセージをお願いします。
洋さん:僕は毎日拠点にいるわけじゃありませんが、もし来てくれた方が希望するなら、町の文化財や札所なんかの案内をすることもできます。
この町で暮らしていた人々の暮らしを通して、横瀬をもっと知ってもらえたら嬉しいので、ぜひ気軽に声をかけてくださいね!
おけいさん:LAC横瀬は町の新たな中心地として、本当にたくさんの人が出入りしている場所です。
まだまだ足りないものもあるけれど、これから電動自転車を設置したり、町の人と農業体験ができる機会も増やしていきたいと思っているので、ぜひ遊びにきてください!
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〈取材ライター:蓑口あずさ〉
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