地域とLACの化学反応。巨大倉庫リノベーションプロジェクト『with a tree』が下田で始動
「”下田にいる人”と”下田に来た人”をつなぐ場所を作りたい」
その想いで、2020年7月より本格始動したプロジェクト『with a tree』。
LivingAnywhere Commons伊豆下田をきっかけに、下田市内の方と市外の方の交流が深まり、そしてこのプロジェクトの始動につながっています。
with a treeとは一体何なのか?LivingAnywhere Commons(以下LAC)とどんなつながりがあるのか?どんな可能性を秘めたプロジェクトなのか?
これらの内容について、LACユーザーであり、主に伊豆下田拠点で活動する角田尭史(すみだたかし)がお届けします!
with a treeとは
『with a tree』を一言で表すと、「伊豆急下田駅近くにある巨大空き倉庫」。
元々建材会社が使用していたのが空き物件となり、地元で建築業を営む株式会社山本建築が2020年4月に買い取って所有している物件です。
物件はかなり大きく、たくさん部屋もあり、かつ古い資材がたくさん余っているので、どんなものでも作れちゃう夢のある空間です。
プロジェクト名も空き倉庫の名前と同じく『with a tree』と命名して、「空き倉庫の利活用プロジェクト」として始動しました。
▼『with a tree』内・外部の写真
しかし、どのように利活用するのか、2020年6月時点では全く決まっていませんでした。
むしろ、「アイデア出しから色んな人に関わってほしい」というのが、代表取締役の山本剛生(やまもとたけお)さんの考えでした。
普通、「こういうものを作りたい」という考えが最初にあるものですが、そこから人に任せられるのはなかなか柔軟ですよね。
その理由が『with a tree』という名前に詰まっているので、少し解説します。
名前の由来
字のとおり「木」をイメージしてつけられた名前です。
最初に植えた小さな木が地中に根を張り、すくすくと育っていつの間にか大木になっていく――。
そういう想いがこめられているのですが、ここにLACとの関係性が表れています。
以前山本さんが、「LACをきっかけに市外の人がたくさん集まってくれて、エネルギーを感じて楽しくなってきた」と語っていました。
市外から来てくれた人に対してwelcomeなだけでなく、色んな人と知見やアイデアを交換しあうことが刺激になっているようです。
主に下田にいる私自身も同じ気持ちです。
地元、地元外など関係なく、皆で根を張っていき、時間が経つにつれて関わる人が増え、その全員で大木をなしていく。
山本さんは、このように”下田にいる人”と”下田に来た人”をつなぐ場所を作ろうと考えているのです。
▼7月11日夜に開催した懇親会の写真
プロジェクト立ち上げの背景
そもそも、この『with a tree』プロジェクトはなぜ立ち上がったのか。
その背景についてご紹介します。
事の発端は、下田の建築業の将来に対する不安から。
ある時山本さんが職人名簿なるものを見たとき、その平均年齢の高さに驚いたそうです。
「2~30代が一人もおらず、ほとんどが60代以上。このままだと、あと10年も経たないうちに下田の建設業がマズいことになる」
いわゆる人手不足に危機感を覚えた山本さん。
「次代の業界を担う人材を育てたい」という気持ちで採用を強化したいと考え、LACとランサーズが共催した課題解決ワークショップに参加いただきました。
そして、それがきっかけで、私が同社の採用活動をお手伝いさせていただくことになりました。
▼山本建築が手がける住宅の一例
とは言っても、建築って専門性が高そうだし、「職人」と聞くとなんだか怖いイメージがありませんか?
これは山本さん自身も言っていたことです。
だからこそ、「建築に気軽に触れられる、建築に興味を持ってもらえる”入口”が必要なのではないか?」と考え、その拠点として活用しようと決めたのが『with a tree』なのです。
『with a tree』の中で、自分の作りたい空間を自由に作り、その過程で建築の基礎を体得する。
未経験ゆえの柔軟な発想をもって建築の仕事に挑戦してみる。
そんな人が一人でも多く生まれることを、山本さんは望んでいます。
▼山本剛生さん
メンバーの参加理由
このwith a treeに中心メンバーとして参加しているのが、フリーランスデザイナーの藤井瑛里奈(ふじい えりな)さん。
生まれも育ちも埼玉で、下田には全く縁がなかったものの、LACの拠点開発を担当する生畑目星南さんがきっかけで2020年よりLAC、そして下田に関わるようになりました。
藤井さんは、同年5月に開催した山本建築のオンラインイベントにも参加してくれ、with a treeの話題になると「やりたい!」と即答。
その2週間後には二度目の下田訪問、そして7月前半には2週間のお試し移住と、あっと言う間に全力で関わってくれることになったのです。
このように参加を即決した理由を彼女に聞くと、次のように返ってきました。
「『クリエイターが集まって、自由に古民家をリノベーションするイベントをやりたい』と前から思ってたんですよ。
でも、首都圏だとそういう物件は少ないし、自分で買えるほどお金があるわけでもない。
その話をオンラインイベントのときにポロッとしたら、(山本)剛生さんが『いいね、with a treeでやろうよ』と言ってくれたんです。
規模の大きさもあいまってワクワクが止まらなくなり、『やろう』とすぐに決めました」
ちなみに、藤井さんはwith a treeでボルダリング施設、クリエイターの作品展示部屋、国際交流拠点を作りたいと語っていました。
夢が広がりますね。
▼藤井瑛里奈さん(写真左)
イベント『下田week』開催
あれよこれよと言う間に、藤井さんを中心として『下田week』と銘打ったイベントが2020年07月11日~12日の2日間にかけて開催されました。
「せっかくなら興味がある人に集まってもらい、with a treeの利活用について一緒にアイデアを出し合いたい!」ということで企画したイベントです。
下田内外から計20人弱、このイベントをどこかで知って「面白そう!」という直感でたくさんの人が集まってくれました。
1日目は、with a treeの見学およびアイデア出し。
全員で内部を見ながら、本当に様々なアイデアが飛び交いました。
ファッションショー、巨大スクリーンを設置した映画祭、車のDIYスペース、家を作る体験ができるスペース、シェアキッチン、脱出ゲームなど、挙げただけでも面白いものばかりですね。
何人かに話を聞くと、「都心部じゃ絶対できないプロジェクトだよね」「このままの姿で演劇とかやってみたい」など、興奮した様子で語っていました。
1日目の夜の懇親会を経て、2日目にはアイデアを磨きこみ、そして利活用アイデアのプレゼン大会がおこなわれました。
2班に分かれ、発表した内容は以下のとおりです。
・それぞれの失敗談を仮面をかぶって話す「しくじりナイト」
・壁にペンキを塗りたくる、物を壊す等、子供が何をやっても怒られない「子供 freedom day」
・1か月に1人、”オタク”な人材が常駐して配信し続ける「オタクTV」
・制作部屋、ステージ完備でアーティストの卵が腕を磨く「アーティストinレジデンス」
※詳細についてはまだ秘密です。情報公開を楽しみにお待ちください!
初めて出会った人たちがアイデアを結集させ、熱量高くプレゼンをしている様子が印象的でした。
最後に撮った集合写真が、その充実さを物語っていますね。
ちなみに、この様子を伊豆新聞様に一面で掲載いただきました!
with a treeの可能性
プレゼンが終わった後に「運営、企画にずっと関わりたい!」と言ってくれる方がいたり、11日に『with a tree』の様子をビデオ通話で見て12日に下田に来ちゃう人まで現れました。
それほどワクワクする時間だったのですね。
私も嬉しくなりました。
最後に、この『with a tree』の可能性について、私なりの考えを綴ります。
一つが、「”個”の解放」。
山本建築さん、そして山本剛生さんの懐の深さあってこそですが、「やりたいことを自由にやっていい」という空気が漂っています。
それゆえ、誰にも責められることなく、制約に縛られることなく、自分の思うことを自分の思うように表現できる場所であり続けるはず。
それが”個”の解放、すなわち”個”の可能性の最大化につながるのです。
そこに、下田内外の違いはありません。
もう一つが、「未来の創造」です。
写真を見てわかる通り、かなりスケールの大きい物件です。
大きさは十分、そこに面白いコンテンツが入ってくると、下田の新しいシンボルになる可能性だってあります。
街のシンボルに関われる経験なんて、人生の中でもめったにありません。
また、街のシンボルを作るということは、街の未来を作ることにつながります。
私自身も、本当に貴重な経験をさせてもらっていると感じています。
また8/8(土)~10(祝)に、【空間がある。廃材がある。さて、何をやる? ~伊豆下田で0→1の場づくりプロジェクト「with a tree」始動!~】というイベントを開催します!
興味のある方は、以下ページよりぜひお申込みください!
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『with a tree』が、地域とLACのつながりによって確かに動き始めました。
関わってくれる全員で根をなし、枝をなし、葉をなし、幹をなし、そして大木となっていく。
そのストーリーを、たくさんの方と描いていきたいと思います。
※with a treeについては、Facebookページで情報発信しています。
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