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嘘をついてでも、内定は得たいよね

浅倉秋成・著【六人の嘘つきな大学生】読了。
夢中になって読みました。時間を忘れて(実際は時計を気にしながら)一気読み。
これを読むまでは、就活小説の最高傑作は朝井リョウ・著の【何者】が文句なしのNo.1だと思ってた。
今は、これかも。就活小説というジャンルがあるなら、ですが。
就活小説No.1と言っても、私、この本と【何者】の2作しか知らないな。同列一位でもいいか。

ちょっとだけネタバレになるので、「本を読む前には一切の前知識を入れたくない」というかたは、以下をお読みにならないようにお願いします。



六人の大学生が好人物すぎるなあ、と、最初はちょっと鼻白んだ。
2011年、四年生だった大学生6人は以下の通り。

波多野翔吾…立教大学。経済学専攻。6人の中では一番平凡で普通の学生に見える。
九賀蒼太…慶應義塾大学総合政策学部。爽やかなイケメン。リーダーシップがある。
袴田亮…明治大学。高校時代は野球部のキャプテン。今も身体を鍛えていて大きい。いつも明るい。
矢代つばさ…お茶の水女子大学で国際文化を学ぶ。スラリとしたモデル風の美人。人脈があり視野が広い。
嶌衣織…早稲田大学で社会学を学ぶ。八代ほどではないが、清純派女優系美人。勤勉。
森久保公彦…一橋大学。見るからに賢そうな、縁なし眼鏡をかけた秀才。

どの学生も皆、しっかりしていて魅力的で、どの子を採用しても大丈夫なのに選ばれるのは1名だけ。

しかも、その1名を選ぶのは企業側ではなく、6人の学生たち。
キツイですね。

選んでいる最中に、学生ひとりひとりの過去の悪事が暴露されていく。
いかにも好青年なさわやかな外見の裏でやっていたことは・・・

この小説、評判どおり伏線の回収が心地いい。
無駄な文章がひとつも無いんじゃないかと思うほど、どんどんスルスル回収していく。

一気呵成にラストまでいって、満足。
映画でも小説でも、私は「人間讃歌もの」が好きです。これもひとつの人間賛歌小説でした。

あざやかで素晴らしかったです。

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