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【アートのミカタ27】クリムトGustav Klimt

【概要】エロい女と金ピカ装飾

前回、モローのという画家の紹介に「ファム・ファタル(悪女)」の話に触れました。今回題材とするグスタフ・クリムト(1862-1918)もまた、ファム・ファタルをテーマに掲げた作品が目立ちます。

クリムトの作品は、女性自身はとっても写実的に描かれている反面、装飾や背景がとっても平面的です。これはモローの時にも似たような感覚がありましたが、クリムトとモローの違いといえば、何と言ってもこの豪華な装飾です。

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ユディト(1901)

この作風に至ったウィーン(自国)の背景や、彼が歴史の移り変わりでどうゆう立場に立っていたのかを、お話していこうと思います。

なぜ美的センスを磨くのか。科学の発展に伴い、心を作る芸術的思考もより広く知ってもらいたい。このブログは、歴史上の偉大な画家たちをテーマに、少しでも多くの人にアート思考を築くきっかけにならないかと書いています。まずはそれぞれの画家の特徴を左脳で理解し苦手意識を払拭するのがこのブログの目標です。その後展示等でその画家に触れる前の下準備として御活用下さい。私たちの味方となり、見方を変える彼らの創造性を共有します。


【背景】ウィーン文化黄金時代の画家

歴史で見るとこの時代のウィーン(オーストリア帝国)はだいぶごちゃごちゃした時代だったそうです。
自由主義(身分関係なく平等にいこうぜ!)と絶対王政(王様強い!国がまとまる!)が対立してた時代で、自由主義的な雰囲気が広がったり、皇帝が抑圧したり…という感じ。

そんな混乱の中、18世紀後半にイギリスで始まった産業革命の波を受け、ウィーンも着実に商工業の発展をしてきたそうです。政治的にはごちゃごちゃですが、文化的には目新しい作風が出てくる黄金時代だったと言えるでしょう。

やはり19世紀の画家といえば、時代に逆らう斬新な作風が肩を並べるわけですね。お国様もゴタゴタしてる時にクリムトが提唱した作風は、あまりに斬新で目を見張るものでした。

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エミーリエ フレーゲの肖像(1902)自分の弟の奥様。弟がなくなった後にこの奥様といい感じになります。ちなみに弟は10代から一緒に会社を設立するなど、仲良くやってた…はずなのですが。

彼はのちに「分離派(アカデミーの古い芸術から分離しよう!)」を結成し、アールヌーボー様式を取り入れた装飾てきな画面構成をしていきます。

第一回分離派展では予想以上の人気を博し、大学の天井画の依頼などを受けます。

まあ、その天井画はあまりに革命的すぎて当時は受け入れられなかったそうですが。


【核心】平面的でムーディな作風

クリムトの代表作であり、クリムトの作風を如実に表しているものといえば、何と言っても『接吻』です。

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接吻1907-1908

金箔を惜しげも無く使い男女を描いた作品です。

金箔は、日本の絵師を思い浮かべるとわかりますが、光沢がきついのでどうしても陰影がぶっ飛んで、画面が平面的になってしまいます。

その平面的な感じが、日本古美術には良いアクセントになっているのですが、クリムトの作品も金箔がメリットとして表現されています。

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処女1912-1913

女性の顔の自然な立体感と、装飾の平面的すぎるものとのコントラストが、クリムトの真骨頂でしょう。

女性を描いた作品はいくつもありますが、そのどれもがムードたっぷりです。

装飾的な背景や洋服は、アールヌーボーの影響が強いです。

その強烈な装飾の印象、そして官能的な女性像は、のちのシーレやココシュカを始め、現代の私たちにも強い影響力を与えてくれます。

ここまで読んでくださってありがとうございます。画家一人一人に焦点を当てると、環境や時代の中で見つけた生き方や姿勢を知ることができます。現代の私たちにヒントを与えてくれる画家も多くいます。また次回、頑張って書くのでお楽しみに。





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