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「関わる人を笑顔にしたい」動画編集者 堀基晴が歩む羅針盤への通り道 #羅針盤のつくりかた

堀 基晴(通称:ほりぴ)。

動画編集を仕事とする25歳の男性です。ラブソルのアライアンスメンバーとして、動画制作の際にご一緒しています。

動画編集を始めたきっかけは、学生時代のふとした出来事でした。「自分の手で作ったものを、喜んでくれる人がいる」。動画に向けられた笑顔と「ありがとう」という言葉によって、「人を喜ばせることが好き」な自分と出会いました。

それから、5年。

自らの羅針盤を探す最中にいる青年のいまを、お届けします。

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堀 基晴(ほり・もとはる) 動画編集者
大学時代はオンラインサロンでの活動や移住体験など、興味があることにフットワーク軽く挑戦する学生だった。「早く社会人になりたい」という想いが強くなり、休学の末中退。現在はフリーランスの動画編集者として働いている。自分で認識している欠点は、飽き性。パンダが好き。


堀:僕、最近読んでいる本の影響で、時間に対する考え方が変わったんですよ。

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ーー時間に対する考え方! それは、どんな本ですか?

堀:『Range』という本です。あと、『7つの習慣』も読み返しました。今の自分の状況に合ったからか、改めて「いい本だな」と思って。

ーー『Range』からは何を得て、どんな風に考えが変わったんですか?

「一万時間の法則」ってありますよね。「一つの分野に一万時間投資すると、その分野で頭角を現す可能性が高い」というもので、逆を言えば成し遂げたいことがあるならとにかく手を動かして、一万時間やってみようという理論でした。

『Range』はこれに異議を唱えた本で、一つに限定せず幅広い技術やスキルを持っていた方が、ゆくゆくは何かを成し遂げる可能性が高いと唱えています。

ーー幅広い技術やスキルを持とうとすると、成し遂げるまでに時間がかかりそうな気がするのですが…?

僕も、そう思っていたんですよ!でも、ゆっくりと学ぶことこそ、人生を俯瞰して見た時に最も効果的だと書かれている。

例えば僕の仕事で言うと、若くして動画制作を始めた人の方が最初の収入は高いけど、そこからの伸び幅が狭い。対して多様な経験を積み重ねた人が動画も勉強していくと、将来的に収入の伸び幅が大きいらしいんです。

この本を読んだときに、今の僕は前者だと感じたんです。

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ーーなるほど。堀くんは大学在学中に動画編集を始めたんでしたっけ?

大学2年生の時に、アルバイト先でのイベントでオープニングムービーをつくったのがきっかけです! 

iMovieという無料の編集ソフトで、音楽に合わせて文字を動かす簡単なものでしたが、みなさんすごく喜んでくださって。自分が作った何かで誰かを笑顔にするって、こんなに嬉しい気分になるのだと知りました。

ーそれが、動画編集を仕事としている原点なのですね!

そうですね。その後オンラインサロンという場で活動するようになって、その中で動画を作ったり、自分で作品を作ってSNSにあげたりしはじめたんです。

最初は趣味程度だったのですが、それを見てくださった方が「仕事できる?」と声をかけてくださって。仕事として、動画編集をするようになりました。

ーー好きなことが仕事に! 自分の作ったものが誰かの目に留まって仕事になる。この流れ、憧れる方も多い気がします。しかも、一万時間をかけずとも、トントン拍子でうまくいっちゃってますよね?

ありがたいことに、そうなんです。もともと「早く社会人になりたい」という願望が強い学生だったので、お仕事になったと同時に、「どうして大学に行かなければならないんだろう」と思ってしまったんですね。悩んだ末に、大学を中退しました。

ーーフリーランスの動画編集として、生きていく道を選んだ。

中退すること、周りの大人たちにめちゃめちゃ反対されたんですけどね。そんな経緯がありまして、今はフリーランスで動画編集のお仕事をしています。

ーー…今のところお仕事もちゃんとあって、問題はないように見えますが…?

ありがたいことにお仕事もあるし、生活も安定している。ただ、今だから言えることなのですが、今年の春から夏にかけて、何にもやる気が起きない時期を経験したんです。

理由がわからないのですが、どうしても気持ちが上向きにならない。自分でもこんなことは初めてで、どうしたらいいかわからなくて。

ーー堀くんに、そんな時期が。

多分、明確な目標がなくて未来がぼんやりしちゃったんだと思います。学生って、勉強なら中間試験とか受験とか、程よいタイミングでみんなが越えるべき目標が常にあるじゃないですか。区切りみたいなものがなくなったからか、頑張れなくなってしまって。

ーー今は持ち直したのですか?

時間が解決してくれたとしか言いようがないのですが、今は落ち着きました。でも、この経験をして一つ決めたことがあって。インスタントな結果を求めるのは、やめます。

ーーインスタント?

自分のこれまでを振り返ると、すぐに成果が出ることばかり選んできたんだなと思って。その瞬間は没頭しているし楽しいんですけど、すぐに飽きてしまっていたんです。けど、またいつあの虚無感に襲われるかもしれないと考えると、何かを変えたほうがいいのかなと思い始めました。

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ーーそれで、本の内容が響いたんですね。

『7つの習慣』は、読んだのは2回目なのですが、今だからこそ響きました。この学びを実践したいと思ってフランクリン・プランナー(※7つの習慣を習慣化するための手帳型のツール)を買いました。これを使うようになってから、仕事の進め方も変わったんです。

これまで、どうしても納期ギリギリの作業になってしまうことが多く悩んでいたのですが、時間ごとにタスクを細かく設定することで、納期までに着実に編集作業を進められるようになって。

クライアントさんにも細かくチェックしてもらえるので安心していただけますし、自分の精神的にもかなり助かるなと。この方法は、今後も続けていこうと思っています。

ーー辛い時期が続いたと思いますが、一歩でも良い方向に行こうと行動して得た結果ですね。

あとは、最近ストレッチを始めました! 僕すごく体が硬いんですけど、それでも毎日続けていると手が遠くまで届くようになって。めちゃめちゃ些細なことなんですが、変化を実感できることが嬉しいなと思えるようになったんですよね。


「自分で選んでいいよ」と委ねられる怖さ

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ーー堀くんがそんな状況になっていたとは、意外でした。でもどうして、インスタントな成果を求めるようになってしまったのでしょう?

正直に言うと、「失敗が怖い」からだと思います。だから、簡単にできることしか選ばなかった。

もともと僕、人生を減点方式で捉えていたんです。僕の人生は、中高一貫校に入って部活をしていい成績をとり、いい大学に入って、いい就職先に入ることが目標でした。

その中で、「もし受験に失敗したらマイナス1」、「就活でうまくいかなかったらマイナス1」と、何か失敗するたびに正解から遠ざかる気がしていました。

それこそ、学生時代勉強はできた方だし、スポーツも頑張ったし、流れは悪くなかったはずなんです。最初の“失敗”は、休学だったと思います。

大学って入ればみんな卒業できると思っていたのに、いざ履修から何から自由にしていいよと言われたらだらけてしまって。

学校に行って授業と試験を受けて単位を取るという、「みんなができることができなかった」んですね。僕としては、マイナスでしかないんですよ。

やばいと思った時点で頑張ればよかったのだけど、代わりに成果の出やすいバイトを頑張ってしまって。

ーー私も大学時代バイトに夢中になりすぎて留年しかけたので、何も言えない…。

スポーツジムでアルバイトをしていたのですが、そこでのバイト+トレーナーの資格を取ってパーソナルレッスンを受け持つようになったら、稼ぎもどんどん増えていきました。学校は頑張れない、なのに、バイトは頑張れる。「働く方が向いている」と思ってしまったんですよね。

ーー親御さんには、休学や退学をどうお伝えしたんですか?

僕にとっては人生のレールを外れる宣言をするようなものだったから、緊張しながら新潟の実家に帰りました。親に心配をかけてしまう、どうしよう、と。

拍子抜けしたのは「そんなことはLINEでいいよ」と言われたことです。そして、「お前が選べ」と。

ーー選択肢をくれる親御さんなんですね。

初めて気がついたんですよね。自由な環境にいる方が、自分を律しなければならないことに。学生ってすごく窮屈だと思っていたけど、管理されていた方が楽な部分もある。自分で決めていかなければならない怖さを知りました。

ーーお話を聞いていると、これは堀くんだけが抱えている問題ではないというか、生き方が多様化してきた時代に迷う人が多そうな問題になってきました…。

でも、人生を長い期間で見られるようになったことで、成果を焦らなくてもいいんだとも気がつきました。これから先、30歳で会社に入ってもいいし、50歳で大学で学び直してもいいんだなと。そう思うと、焦るのを辞めて、一度立ち止まることもありなのではと思えるようになりました。


将来はまだわからない。でも、つくり手でありたいと願う

ーーこれまでこの #羅針盤のつくりかた では、「自分の羅針盤を見つけた方」にその見つけ方を聞いてきましたが、堀くんはまさに、探している最中ですよね。話しづらいこともあったかと思いますが、話してくれてありがとうございます!

取材してもらって何か良いことを言いたいんですけど、正直に将来何がやりたいかとかは、全然見えていないんですね。

 でも、動画編集はこれからも続けていきたいです。

例えば、今ラブソルとご一緒しているお仕事ではアニメーションに挑戦していますが、自分が勉強することで力になれるのであれば、技術を習得していきたい。

ーーそういえば、1回目の取材のあと、ラブ(ラブソル公式キャラクター)の3Dを作ってくれましたよね!(※この取材、実は追加取材も含め2回行っています)

アニメ制作も楽しそうだなと思って、3Dの勉強も始めたんです。アニメーションのお仕事の時に、サンプルとしてデザイナーのでらみ(小野寺美穂)に僕の似顔絵を書いてもらったので、お返しになったらいいなと思って。

ーーラブソルとしては、業務委託であってもクリエイターの経験になるお仕事をご一緒したいというのが代表たちの想いです。後から振り返った時に、この取材が何かの節目になったらいいなと願いつつ、何かが見つかった時には、また取材させてください。

明確な夢はまだわからないけど、「作り手でありたい」という想いは強いです。

高校生までスポーツ一筋だったせいか、クリエイター的な一面を持つ人に憧れがあるのだと思います。

今はまず、やりたいことを試してみたり、やりたくないことを認識してみたりしながら、いつか「これだ」と思った時に、そちらに向かえる自分でありたいです。

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取材・執筆:柴田 佐世子
編集:柴山 由香
撮影:池田 実加
バナー制作:小野寺 美穂

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