「人生を丸ごと応援するレストラン」 Petite maison de Harry 開店 #羅針盤のつくりかた
“Coucou!!" ただいま!!
ああ、おなかすいた!
アリー、今日のごちそうなあに?
本日2019年7月20日(土)、本郷三丁目駅にフランス家庭料理のお店「Petite maison de Harry(プティット・メゾン・ド・アリー)」がオープンします。
グランドオープンを迎え、オーナーである針ヶ谷祐介さんに、「アリーの店」づくりへの想いをインタビューしました。
長年の夢であった、奥様ちづるさんとの夫婦2人のお店。
フランス料理ではなくフランスの“家庭料理”にこだわるその裏には、提供する一皿への並々ならぬ愛情が詰まっていました。
#羅針盤のつくりかた ー このシリーズは、LA BOUSSOLEと共にお仕事をしてくださるクライアントさんのご紹介を、記事にしてお届けしています。
まるで自宅のように、お気に召すまま
ーー針ヶ谷さん、ちづるさん、オープンおめでとうございます! まずはこのお店のコンセプトからお伺いできますか?
針ヶ谷さん(以下:針ヶ谷):店の名前が「Petite maison de Harry=アリーの小さな家」であるように、思わず「ただいま」と自宅に帰ってくるようなお店にしたかったんですよね。フランスの家庭料理を気軽に味わえるお店にしたかったので、お店作りも何よりくつろげる空間を重要視しました。
ーーロゴにもなっている「アリーちゃん」や、店内いたるところに描かれているイラストは、奥様のちづるさんが書いたものなんですよね?
針ヶ谷:そうです! 僕は彼女のイラストが大好きなので、お店の構想段階からふんだんに取り入れるというのは決めていました。
ちづるさん(以下:ちづる):このイラストで覚えてくださるのか、オープン前から小さな子供に「アリーちゃんのお店」と呼ばれていて、すごく嬉しいんですよね。
ーーメニューを拝見するとベルギー料理もありましたが、お店のジャンルはフランス料理でよろしいのでしょうか?
針ヶ谷:フランス家庭料理ですね。僕が提供したいのはフランス人が日頃自宅で食べている料理なんです。ヨーロッパは陸続きなので、イタリアのピザやパスタも食べるし、ベルギーのムール貝だって食べる。
なぜか「フランス料理=フルコースで高い」と思われがちですけど、僕たちだって、日本人だからって毎日懐石料理ばかり食べているわけじゃないですよね。
ーーなるほど。それにしても、お刺身がメニューに並んでいるのには驚いたのですが、これはなぜですか?
これは、僕自身のルーツですね。実家が割烹料理屋をやっていることもありますし、日本人にとってやっぱりお刺身は身近なもの。毎朝豊洲市場から旬のものを仕入れていて、ソースは魚に合わせてバルサミコ酢やバジルソースなどで手作りしています。
ーー思わず日本酒が飲みたくなる…と思ったら、結構な種類を揃えているんですね。
東京ではなかなか手に入らないという珍しい夏酒も。
針ヶ谷:お酒はワイン・ベルギービール・日本酒などを中心に揃えています。日本酒って女性があまり好まないせいかなぜか日本人に敬遠されている気がするんですけど、それって美味しい日本酒に出会えていないだけじゃないかなと思うんですよね。
僕自身が試飲して、どれを仕入れるかを厳選しています。ご縁があって、本来であれば地元で消費されてしまうような珍しい日本酒もあるんですよ。気になるものがあれば飲んでみて欲しいし、自分にあった日本酒が見つかればいいなと思いますね。
ーー西洋料理と日本酒の掛け合わせはあまり見かけない気がするのですが、合うのでしょうか?
針ヶ谷:そのイメージは本当に持たれがちなんですけど、合います。フランス料理だからワイン、日本料理だから日本酒じゃなくて、こういう西洋の料理にも日本酒は合うんだよっていうことをまさに伝えていきたいんですよね。
それこそ、ビールでもハイボールでもいいんですけど、お店に行くとそこの雰囲気に合わせて飲み物を頼んでしまったりするじゃないですか。
ーー特にフランス料理のお店に行くと、「ワインを頼まなければ…!」と思ってしまいがちですね。
あれが嫌なんですよね(笑)。自分の好きなものを飲んだらいいじゃないですか。それこそ自宅であれば、例えばローストポークを食べるとしても「今日はビールにしようかな、ワインかな」って何も気にせずに好きなように選べますよね。
そういうことを普通にできるお店にしたかったんですよね。もちろん、頼まれたお料理に合わせたペアリングはご案内させていただきますよ! でも基本的には、好きなものを飲んだらいい。料理も同じだと思うんです。
ーーコースメニューがなく、全てがアラカルトで選ぶスタイルなのも、そういった理由からなんですね。
この仔羊のロースト、実は付け合わせとして野菜料理がもう一皿付いてくるんです。この一品でもかなりの満足度!
針ヶ谷さん:フランス料理は、前菜・温菜・メイン・デザートって流れが基本ですけど、別にそういうのは関係なく、メインから頼んでもらっても構わないです。好きなものを好きなように、自分の好きなメニューを組み合わせて自分だけのコースを作っていただけたら嬉しいなと思います。
提供する一皿への熱すぎる想いとは
ーー料理を作るときのこだわりをお伺いしていきたいなと思うのですが。
針ヶ谷:気持ちが重たすぎて、言葉にできるかな…(笑)
ーー本日料理の撮影をさせていただいて、その全力感は感じております…(笑)
平日の日替わりランチ ¥980 がこのボリューム。「これが普通です」と話す針ヶ谷さん。サービスしすぎです。
針ヶ谷:うーん…伝わるかが不安なんですけど…お金を払ってお店に食事をしにいく以上、美味しいということは正直当たり前だと思っているんですよね。
これは料理に関してだけではないけど、なんというか作り手の苦労が伝わることって大事だと思うんです。「いい仕事をしているな、この人」って、提供される一皿の奥にある想いが感じられるような料理を作りたい。
ーーお料理を作っている姿を拝見して、勝手ながら一皿への並並ならぬ全力感を感じました。
針ヶ谷:極端な話、食べていて涙が出てくるような一皿を提供したいんですよね。この一皿は自分のために作ってもらえたんだなって、感じて欲しいんです。
ーーそれこそ、家でお母さんが自分のために作ってくれる料理のような感じですね。
針ヶ谷:まさに! まさにそうです。お母さんの料理が美味しいのは、腕がいいとかそういうことじゃないと思うんです。息子や娘が「元気に育ってほしい」とか、「昨日は元気なかったから今日は好きなものを作ってあげよう」とか、そういうその人そのものへの“想い”じゃないですか。
「ただいま」と帰ってきてもらう以上、一人ひとりの顔を見て料理を作っていきたいんです。基本的に調味料は手作りしますし、それこそオイル一つにもこだわる。お腹いっぱいで帰れるボリュームや出てきたときの驚きも楽しんで欲しいですね。もちろん、美味しいのは当たり前です。
ちづる:愛が重い…(笑)。
ーー(笑)。このお店がオープンキッチンであることも、それに関係しているんですね。
料理のこと・お酒のこと、質問を投げてみるとめちゃめちゃ返ってきます。
針ヶ谷:店内の様子が見える内装にはしたかったですね。作り手の顔が見えた方が、お客さまも安心するじゃないですか。コミュニケーションも取りやすいですし。
ーー料理やお酒のことを、シェフとお話ができるのは嬉しいですよね。
針ヶ谷:「料理は知識」。作り手はもちろん、食べる方も知識があればもっと美味しく食べてもらえると思うんです。それこそ自宅で気兼ねなく食事を楽しむように、お話しもしながらくつろいで欲しい。「ただいま」と帰って来てください。いつでも、お待ちしています。
<Petite maison de Harry のとくに! こだわりポイント>
◆豚半頭を仕入れ、店内でさばいて各部位が一番引き立つ料理への変化させていきます。シャルキュトリーも自家製。
◆デセールも店内で手作り。特にジェラートは「アイス屋さんになった方がいいんじゃない?」と奥様に言われるほどの本格派。
◆店内いたるところに飾られたイラストは、全てちづるさんの手書きのもの。小さな額縁から壁画、トイレに至るまでぜひチェックしてくださいね。
《ラブソルのお仕事》
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ディレクション : 柴山由香
サイト制作 / 動画撮影・編集 : 児島大
写真撮影 : 池田実加
ライティング : 柴田佐世子
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