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私は『シン・ニホン』をどう読んだか

こんにちは。レタススタッフの三宅です。
レタスが行っているニュータイプの相談援助職のための読書会で、8月は2回『シン・ニホン』を取り上げています。スタッフ2人とも公式アンバサダー養成講座に参加したことで、それぞれが「残すに値する未来」について、今まで以上に考えるようなっています。
今回は、6~7月の養成講座に参加した三宅が『シン・ニホン』を読んでどう感じたか、臨床心理士である自分がこれからどうしてきたいかを書いてみようと思います。

何を感じたか?

率直に、今のままではまずいと思いました。沢山のデータが示され、著者の解説を読んでいくと日本の現状が少しずつ理解できました。でも「ああ、日本はもうだめだ…」と感じて終わるのではなく、現状を踏まえて『伸びしろがある』点も指摘されています。単なる現状を憂いて、批判することに終わらず、代替案が示されているので読んでいて前向きな気持ちになれました。そして、自分だったらどんなところで動けるか、社会を「ちょっと前向きに」変えられるかを考えてみたいと思うようになりました。

本を読むのにも、理解するのにも時間がかかる私にとっては、今までにないくらい読み応えのある1冊です。繰り返し読み返した中で、今改めて印象に残っている箇所は、①エンジニアや専門家がそもそも足りていない、②こころの教育についてです。

パラダイムシフトが起きている最中、あなたなら何をする?

2章にある『エンジニアや専門家がそもそも足りていない』という節から、この問いが浮かんできました。データサイエンティスト、エンジニアなどの専門家を育てるには一定の期間が必要です。自分がその専門家にならない場合、専門家が増えるまでぼーっとしていていいのか?何をやっていたらちょっとでも社会が良くなるのだろう?と考えました。

これはデータサイエンスに限らず、何か状況や価値観が変化している間であるなら同じことが言えるのではないでしょうか。変化に追いつけるように情報収集したり、知識のアップデートと学び落としをしたり、専門家でなくてもできることを見つけないと、専門家層が増えるまで状況は悪化するのではないかと思います。

私の専門は臨床心理学なので、それに関することは自主的にインプットし続けています。ですが、専門領域のインプットだけに偏っていないだろうか?と最近よく自問自答しています。井の中の蛙になってしまわないように、あえて専門領域とは少し違う本や記事を読んだりしています。また、色んな人と交流するようにしています。日々の活動の一部として続けておくことで、いざパラダイムシフトが起きた時に波に乗り遅れずに済むのではないかと思います。そんなことも思いながら、8月の『シン・ニホン』の読書会をやっていました。

こころの教育を捉え直す

ここで言う『こころの教育』は、単なるメンタルヘルス、学校で行われている道徳教育とは違うのではないかと思います。2章のほんの数行で触れられていますが、ここで言う「こころの教育」とは、やる気そのものがくじかれてしまっている大人たち、周囲の環境に恵まれない子どもたち、現実的なロールモデルが見えない人たちにこそ必要だと書かれています。ここを読んで、「こころ」と向き合う職種として考えたい箇所でした。

やる気がくじかれているときは、やはり自分の「こころ」は傷ついています。そんな時、周りを見たり優しくできる精神的な余裕はなかなか生まれず、何かチャレンジしようとしている人に対して揚げ足取りしたり、「何でそれをやるの?」みたいな感じでやる気をくじくような発言をしたりしかねません。そうなっては、家族はもちろん一緒に仕事・活動していくグループ内においても、お互いメリットはないと思います。

あとは、経験値だけで人を評価することも、やる気をくじく要因の1つだと思います。確かに、経験がある人からこそ学ぶべきこと、有益な情報は沢山あります。しかし、経験が少ない人から学ぶことはゼロなのか?初学者だからこそ感じること、気づけることは沢山あります。そして、経験の少なさは「専門領域において」の話であって、子どもの頃から今に至るまで、人それぞれ五感をフルに使って経験を重ねてきたことを活かして生きているのではないかと思います。なので、経験が少ないから、環境が恵まれないからチャンスが減ってしまうとしたら、それは勿体ないと思います。

これらのことを踏まえて、私が考える『こころの教育』でポイントになる点は次の2つだと考えています。

①年齢や性別、どんな経験をしてきたのかを問わずフラットな関係を築けること
②お互いにやる気を維持し続けて、未来をちょっとでも良くしていけるサポートをしあえること

未来を担う子どもたちを育てる保護者、相談業務を日々頑張っている人に向けて

1人でも多くの人が「ちょっと前向きに」なれるような働きかけをしたいと思っています。ただ、上記2点の印象に残った点を踏まえると、まずは未来を担う子どもたちを今、育てている保護者に「ちょっと前向きに」なってもらう働きかけをしていきたいです。たとえば、普段は子どもや家族に意識が向きがちであり、仕事で遅くまで頑張っているお父さん・お母さんに、1日のうち少しの時間を自分自身のために使ってもらう企画…。

忙しい日々が続くと、心身ともに疲れが残ったままだったり、不満や葛藤を解消できないまま過ごしてしまいます。そんな精神的な余裕がない状態が続くと、子どもや家族、周囲に苛立ちをぶつけてしまうかもしれません。また、苛立ちといったネガティブな感情を抱えることは悪いことではありませんが、苛立ちが募ったままだと、頑張ろうとしている子どもたち、周囲にやる気をくじく言動をしてしまうかもしれません。なので、早めに苛立ちに気付いて、なぜ感じたのかを振り返ることは大切です。最近ネガティブな感情を抱えていることが多いのなら、普段の生活や行動を「ちょっと」変えてみるチャンスです。そんなきっかけを作り、子どもや家族と余裕を持って関わってもらえたらと思います。

そして、私と同世代の専門職の人たちには、経験の少なさを否定せず、自分らしい活動のあり方を探していけるサポートをしたいです。たとえば、ニュータイプの相談援助職のための読書会で専門以外の本を読んでみること、自分たちが日々感じている社会課題について問いを立てて対話してみること。カウンセリングの中でしか私たちは支援してはならないわけじゃないことを感じてもらうきっかけを作れたらいいなと思っています。

こんな『妄想』をカタチにできるように、これからもレタスで活動し続けます。

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