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免疫力を高めるサプリメント


病気を予防したり治療するサプリメントはないとはいえ、ビタミン、ミネラル、ハーブなど、感染症に対する免疫反応の改善が図れる製品は多数あります。

ビタミンC
ビタミンCは一般に、不調を感じたらまず手に取るサプリメントですが、確かにそれなりの理由があります。ある科学委員会は、食事によるビタミンC摂取と正常な免疫機能との間には因果関係があると結論付けています。
アスコルビン酸とも呼ばれるこの必須ビタミンは、免疫細胞に高濃度で存在し、免疫系の調整に数々の重要な役割を果たしています。抗酸化物質であるビタミンCは、炎症を抑える働きもあります。また、ビタミンCは食細胞の活性を高め、リンパ球の増殖を促進します。
現時点で、ビタミンC摂取により風邪の発症確率が下がるという研究結果は出ていないものの、29件の対照試験のメタアナリシス(過去に行われた複数の研究データを統合して解析した統計手法)で、ビタミンCを1日200mg以上摂取した場合の効果を調べたところ、風邪の持続期間と重症度を減少させる可能性があることがわかりました。別の研究では、寒冷下で運動をした人のうち、風邪予防にビタミンCを摂取した群は、風邪を発症する確率が半減したことが明らかになりました。

ビタミンD
ビタミンDは「太陽のビタミン」とも呼ばれ、全身の細胞で使われる重要な脂溶性ビタミンです。このビタミンDは一部の食物(脂肪の多い魚やシイタケなど)にしか含まれておらず、乳製品などの食品にも添加されていますが、皮膚が日光を浴びると体内で生成されるビタミンでもあります。
カルシウムの吸収と骨の成長を促進するビタミンDは、同時に自然免疫系を刺激する重要な存在です。ビタミンDは、細菌と闘う白血球の能力を高め、炎症を抑えます。計11,321人の被験者を対象とした24件のランダム化比較試験の解析では、「ビタミンD補給は安全であり、ARI(急性呼吸器感染症)を予防する」という結論に至りました。
実は、世界人口のほぼ半分がビタミンD不足で、現在のところ、ビタミンDの最適摂取量や安全上限量に関する合意はありませんが、米国医学研究所は、成人で1日あたり4000 IU(100mcg)までなら安全であるとしています。

ビタミンE
植物油、ナッツ類、種子類、葉物野菜などに含まれる強力な抗酸化物質であるビタミンEは、免疫力向上に大きな役割を果たしています。ビタミンEを補給することで、特に高齢者の細胞性免疫を高めることが研究で示されています。
健康な人ならビタミンE欠乏はまれですが、不足量を補うのに便利なのがマルチビタミン・ミネラルサプリメントです。

亜鉛
魚介類をはじめ、豆類、ナッツ類、赤身肉、鶏肉など、多くの食物に含まれる亜鉛は、免疫系が適切に機能するのに欠かせない必須ミネラルです。亜鉛は、ウイルスや細菌を死滅させるのを助け、自然免疫に関与する細胞に必要とされる栄養素です。細胞や組織が炎症を起こすと、亜鉛は抗酸化物質としても働き、膜組織を安定させ、フリーラジカルが正常な細胞を損傷するのを防ぎます。
亜鉛の補給は、これまで風邪やインフルエンザなどさまざまな気道感染症の治療および予防に使用されてきました。風邪の治療または予防に亜鉛を使用した研究の解析では、「症状が現れてから24時間以内に亜鉛を投与すると、健常人の風邪の持続期間と重症度が低下する」という結論に達しています。
世界人口のうち、20%以上が亜鉛不足とされています。研究では、わずかな亜鉛欠乏でも免疫系に悪影響を及ぼす可能性があることがわかっています。一般に、成人は1日の摂取上限量(40mg)までなら安全とされています。

オリーブの葉エキス
オリーブの葉は、古くからヨーロッパや地中海沿岸地域の伝統療法として、エキス、お茶、粉末などの形で使用されてきました。オリーブの葉に含まれるオレウロペインという天然の植物化学物質には、免疫刺激、抗ウイルス、抗菌、抗真菌、抗酸化といった作用があるようです。
オリーブの葉エキスが免疫系に与える影響についてはさらなる研究が必要ですが、このエキスには抗ウイルス作用があり、カンジダや大腸菌などの有害微生物を死滅させる能力があることが試験管内研究で示されています。

プロバイオティクス
善玉菌であるプロバイオティクスは、腸の健康を向上させる他、一部の精神疾患を改善し、消化器疾患を緩和する力があることで知られています。一方、意外と知られていないのは、免疫系の大部分が消化管に集中して存在するため、プロバイオティクスを摂取することで免疫系を強化できるということです。
プロバイオティクスは、サプリメントとして摂取しても、発酵食品(ヨーグルト、味噌、ザワークラウト、ケフィアなど)から摂取しても、免疫力に多大な効果をもたらします。それは、プロバイオティクスが免疫系を刺激し、サイトカインの生成を促進するためです。さらに、これらの善玉菌は腸を強化するため、潜在的な有害細菌の増殖阻止にもつながります。研究では、プロバイオティクス摂取を習慣づけることで、上気道感染症にかかる可能性が下がることが示されています。

ニンニク
ニンニクは昔から病気の予防や治療に使用されてきました。ニンニクはスープや炒め物など料理の風味を高めるだけでなく、特定の細胞を刺激することで免疫機能を高める働きもあるとみられています。研究では、熟成ニンニクエキスのサプリメントを摂取した被験者群は、対照群と比較して自然免疫細胞の増殖が増え、風邪やインフルエンザの重症化が少ないとみられることがわかりました。
免疫系へのニンニクの効果を実証するには、さらなるヒト臨床研究が必要ですが、ニンニクには抗炎症、防腐、抗真菌、抗生、抗酸化作用があり、ウイルスなどの有害微生物を撃退するのに役立つ可能性があります。
風邪・インフルエンザの季節やパンデミック禍において特に重要なのは、感染症に対処できるよう免疫の状態に気を配り、強化する方法を見つけることです。


上記の対策をすべて実行する必要はありません。まずは、鼻がグズグズするなど風邪の症状がある時だけでなく、常に体のケアを怠らないことが肝心です。免疫系の健康を最優先にすれば、心身の健康全般を最適な状態に維持できるようになるでしょう。

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