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複雑な気持ちになったこと-豊かさとは?満足とは?-

■高級ホテルのレストランと移動販売のスイーツでは、
どちらが心が満たされるか?

先月、複雑な気持ちになる出来事があった。
タイトル通り、

高級ホテルのレストランと移動販売のスイーツでは
どちらが満足度が高いのか?

「満足度」というと大げさかもしれない。
どちらが「印象(記憶)に残るのか」のほうが近いかもしれない。

もちろん、答えは人それぞれだろう。

この出来事で、私が感じたことを書いてみたい。

■これを書きたくなったきっかけ

きっかけは、タイミーを利用して下記の”すきまバイト”をしたことによる。それぞれ別の会社だ。
・高級レストランでの朝食スタッフ
・スイーツの移動販売店での接客とレジ

*タイミーで働いた体験記的なことも別記事で書く予定。
*記憶が新しいうちに、先にこちらを書いてみたい。
*長いです(臨場感重視)

■高級ホテルのレストランでの仕事内容

ホテル内レストランでの朝食スタッフ
・バッシング(片付け)
・スタンバイ(準備)

私の主な仕事内容は、バッシング(片付け)。
お客様が食べ終わった後のお皿をバックヤードの洗い場まで運ぶ。
洗い場に出す前に、お皿に載っている食べ残しを捨てる。
捨てるときは、生ごみ、燃えるゴミ(紙など)、燃えないゴミ(プラスチック)に分別。その後、お皿の種類ごとに重ねて洗い場の担当者に渡す。

■高級ホテルのレストランで見た光景-1

朝食はビュッフェスタイル。その他にもメニューに記載のあるものは
注文できるようだった。

ビュッフェだから、好きな料理を好きなだけ取っていい。
レストラン内には、あらゆる料理が置いてある。
高級ホテル内のレストランだけあって、料理の配置も盛り付けも美しい。

土曜日の朝だったこともあり、お客様もそこそこ多い。
食器の返却エリアが狭いので、どんどん食器が溜まっていく。
冷たい飲み物用のグラス、コーヒー・紅茶用のカップ、
シンプルでステキなデザインのお皿。
お皿は種類も数も多く、何度もレストラン内とバックヤードを往復する。
お皿って、意外に重い。大きなお皿が10枚程度あるだけで、
私の腕力の7割ぐらいは使っている。

レストラン内を歩きながら、なんとなくお客様の様子を見る。
お客様にとっては、ごく普通の旅先での朝食なのだろう。
高級ホテルのレストランということもあり、お客様も品のいい方が多い。
みな、好きな料理を選び、和やかに淡々と朝食の時間を過ごしている。
中には海外(欧米や中国・台湾などのアジア系)から来たであろう方もいる。たまたま見かけた白人の男性が朝食をとっている様子は、映画のワンシーンのようにスタイリッシュだ。

そんな様子を横目で見ながら、返却口にある食器をひたすら運ぶ。
食器の数が多いので、何度も往復する。
中には、食べ残しもある。

--余談--
食べ残しをお客様の目に触れないように、運ぶ際は食器を載せたお盆に布をかぶせる。お客様への配慮が流石だと感心した。やってもやらなくてもなくても、どちらでもよいのだが。
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■高級ホテルのレストランで見た光景-2

食べ残しはバックヤードで生ごみ用のゴミ箱に捨てる。
まだまだコロナ禍ということもあり、誰かの食べ残しに手で触れるのは正直抵抗があるが、仕事なので仕方ない。できるだけ、スプーンやフォークを使って手で触れないように気をつける。

食べ残しがないお皿って、ほとんどなかったように思う。中には、キレイに盛り付けてあるパンケーキにほとんど手をつけずに返却されてるお皿もあった。これを注文した人はどういう気持ちで残したんだろう。お客様には家族連れも多かったから、もしかしたら、子供が喜ぶと思って親が注文したのかもしれない。複雑な気持ちになりながら、生ごみ用のゴミ箱にパンケーキを捨てる。

朝食の時間が終わり、ビュッフェに残っていた料理もすべてバックヤードへ運ばれる。もちろん、残った料理はすべて廃棄である。
(余談:ホテル側のスタッフさんはこっそりつまんでたが、、、)
内心、複雑な気持ちを抱きながら、機械的にゴミ箱に捨てていく。

高級ホテルのスタッフさんは、みな、穏やかでにこやかだった。
仕事をする上では、不明な点も相談しやすく、初めて来たバイトにとってはとてもありがたかった。

その反面、この光景についてはどう感じているのだろう?
お客様への”おもてなし”として、たくさんの料理を用意し、
それが食べられもせずに廃棄される。
すでに日常の光景で「当たり前」なのかもしれない。

そう考えると、にこやかな笑顔も不気味に感じた。

(*一緒に仕事をしたスタッフさんには単発のアルバイトにも
親切にしていただき、とても感謝してる。)

■スイーツの移動販売店での仕事内容

大型ショッピングセンター内にて、期間限定で出店しているスイーツ店で
下記の仕事
・商品の袋詰め
・接客
・レジ打ち

商品は一口サイズのミニたい焼き。7種類のフレーバーがある。
たい焼きはその場で焼く実演販売。
焼きあがったたい焼きを店頭の大きなカゴに盛って、
ショーケース越しにお客様に見えるように並べる。

--余談--
「できるだけ高く盛ったほうが美味しそうに見えるので、
(盛ったたい焼きの)この山を崩さないように、左側から取って
袋に詰めてください」との指示。
今まで販売職はほぼやったことがなかったので、
このような「売る工夫(テクニック)」に関心した。
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まず、各フレーバーの配置を覚える。ざっくりとメモ帳にフレーバーの
配置を書き、お客様から見えない位置に置く。
商品のカゴの中にも一応フレーバー名を記載したシールが貼ってあるが、
文字がかすれてて見えにくい。また、商品の見た目からはフレーバーが分からない。

■スイーツの移動販売店で見た光景-1

印象的だったお客さんがいる。
サングラスをかけた50代ぐらいのおじさん。
(以下、「おじさん」と記載する。)
注文内容の詳細は忘れてしまったが、各フレーバーをたくさん注文してくれた。どうやらこのお店の常連さんらしく、出店してると毎回買ってるようだ。

おじさん 「知り合いに配ると喜んでくれて、いつも全部食べられてしまうんだよ〜(苦笑)。だから俺は食べたことないんだよね~」
なんか微笑ましいなと思った。

おしゃべりなおじさんで、こちらの状況はおかまいなしに話してくる。
正直、商品を袋に詰めている最中に話しかけられると、困るのだが、、、。
(どのフレーバーを何個詰めたかが分からなくなる)

1個ずつトングでたい焼きを掴みながら袋詰めしていくので、
時間がかかる。そして、そのおじさんの後ろにもお客さんが何組かいる。
内心焦りながらも、おじさんはマイペースに会話を続ける。

おじさん 「まだ、時間かかりそう?後で取りにこようか?」
私 「もう少しなので、あと3分ほどお待ちいただけますか?」

後で取りに来られると、注文内容を忘れてしまうし、お会計の金額もあってるか自信がなくなる。今、終わらせたいので、待ってもらうように促す。

おじさん 「店長いる?いつもおまけしてもらっててさ~。」
私 「すみません。お昼休憩で席を外してまして、、、。
1時間ほどで戻ると思います」
おじさん 「そうか。挨拶しに来たんだけどな~。俺この後、仕事で来れないからさ~」

定期的に出店してるとはいえ、全国を周っているお店なので、
このショッピングセンターにくるのは数か月 or 数年に1度のはずなのだが、
お客さんとしては覚えてるもんなんだな。

と、店長がちょっとうらやましくなった。

私「お待たせしました。お会計は1800円になります」
おじさん「(2000円を出して)おつりはいいから」

そういうわけにもいかないので、おつりを渡そうとするが
「おつりはいいからいいから。店長によろしく~」
と、どこまでもマイペースなおじさんに振り回されつつなんとか接客を終えた。

■スイーツの移動販売店で見た光景-2

もう一組、印象的だったお客さん。
大学生ぐらいの女子2人組。
(以下、ミキちゃん、リサちゃんとする。どちらも仮名)
2人とも、メイクばっちりでオシャレでイケイケな感じの女の子だった。

どのフレーバーを何個買うか、2人で楽しそうに選んでいる。
2人からのオーダーを受け、私はたい焼きを袋に詰めていく。

袋詰めしている間も、2人のおしゃべりは続く。

リサ 「この子(ミキ)がね、これ(ミニたい焼き)めっちゃ好きで~、
でもこのお店、なかなか出店しないから、今日すっっごい楽しみにして来たんです☆。(ミキのほうを向いて)買えてよかったね!」

ミキ「(ニコニコ笑いながら頷いている)」

お会計を終えて商品をお客さんに渡す。帰り際に、
リサ 「ありがと~おねぇさん☆」
と言われ、最後までおもしろい子たちだったなと思う。

10代の女子ということもあり、思っていることをストレートに話す
年頃なんだろう。
数か月(or 数年)に1度しか出店しないお店に、
あんなに期待を込めて買いにくるんだな、と軽く感動を覚えてしまった。

■スイーツの移動販売店で見た光景-3

お客さんも、幅広い年代の方、また、いろんな方がいた。
(10代~60代ぐらいの方、学生さん、仕事中なのか会社の制服をきた人、
休暇中の家族連れ、仕事帰りの主婦の方、買い物中の年配の方など)

家族連れのお客さんは、どれにするかその場で相談しながら決めることが多い。小さなお子さんのいる家族連れは「○○ちゃんはどれがいい?」と子供の好きな味を選ぶ。その様子を見ていると、こちらまでほっこりする。

意外にも、高校生や大学生ぐらいのお子さんのいる家族連れのお客さんが多かった。家族であーだこーだ言いながらも楽しそうに選んでいる。10代後半ぐらいのお子さんのいる家庭でも仲良くいられるのはいいことだなぁと、見てて思った。

--余談---
個人的に、バリキャリ風のOLさんが真剣な顔つきでたい焼きを選んでいる
様子がなんか微笑ましかった
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上記に記載した、印象的だったおじさんや女子2人組のように、おしゃべりなお客さんばかりではない。淡々と注文してお会計して帰っていく方のほうが多い。また、常連さんばかりではなく、たまたま通りかかって買っていく方もいる。

それでも、実演販売ということもあり、お客さんの様子やリアクションをダイレクトに見れる。このお店に関わらず、スイーツを買うときはみんな楽しみにして買いに行くのだろう。

お客さんの「ワクワク感」や「期待感」を目の前で見てると、こちらまでそれが伝わってくる。(私も甘党なので、その時のワクワク感にとても共感できてしまう。)

商品の価格は500円~、高くても4000円ほど。
(好きな個数で購入できる。購入する個数によって合計額が変わる)

今まで販売職や接客業、飲食業で働いたことがなかったからかもしれない。

数百円ほどのスイーツ、しかも、「たい焼き」という庶民的なスイーツに、
あんなに「想い」をもって買いにくる方がいたり、皆さんワクワクしながら期待しながら買うんだな、と軽く感動した出来事だった。

■比較しても意味はないが、、、

冒頭にも書いたが、「満足」というと、大げさなのだろう。

高級ホテルのレストランでは、お客様と直接関わることはなかったから、
どのような「想い」で食事をしていたかはわからない。

場所がレストランということもあり、マナーも必要とされる。お客様も品の良い方が多かったので、どのようなことを感じていたのかは表面的にはわからない。

毎日仕事を頑張ってるご褒美で、高級ホテルでのひと時をワクワクした気分で過ごしていた人もいたのかもしれない。

料理を残すのがいけない、わけではない。
ステキな空間で好きな料理を好きなだけ取り、食べきれなくて残しても、
その時の食事に満足してた人もいるのだろう。

(タイミーから他の飲食系のバイトにも行ったことがあるが、この高級ホテルに限らず、飲食店では食べ残しなんて日常茶飯事だとわかった)

たい焼きを買ったお客さんの中にも、食べきれずに捨ててしまった人もいるのかもしれない。

■この出来事で感じたこと

でも、どれぐらいその人の記憶に残っているのだろう。
またこの料理を楽しみたい、この時間を楽しみたいと感じてた人はいたのだろうか。

「単なる日常の出来事」で終わるのか、
「嬉しさや喜びなどの感情が乗った”思い出”」として残るのか。

例えば、私の舌(味覚)はかなり庶民的なので、
コンビニのおにぎりや弁当でも充分おいしいと感じてしまう。
仕事終わりでお腹が空いてるときにコンビニで買った「肉まん」を
食べたときのほうが、美味しさをリアルに思い出せる。
その時にはきっと、「美味しさ」だけではなく、どれを選ぼうかという期待感、その日の仕事が終わった「安堵感」や、今からウィンドウショッピングしてこようとか、帰ってから何しようか?とイメージしてる「ワクワク感」とかも含まれてる気がする。
(まぁ、コンビニ肉まんの方が何度も食べたことがあるからかもしれないが、、、。)

■今さらながら、個人的な前提として

私は今までの人生で食うに困ってきたわけではないが、食べ物を粗末にすることにとても抵抗がある。買ったものは全部食べる、食べきれない量はとらないし買わない、好奇心で買ったけど好みではなかった場合でも、仕方なく食べる。そのような、価値観なので食べ物を平気で残す(捨てる)人の気持ちがあまり分からない。

■おわりに

食べ物が潤沢にあり、好きなものを選び、好きなだけ食べることができるのは豊かな証拠だろう。ただ、それを平気で残して捨ててしまうのは「豊か」なんだろうか?心に残る出来事なのだろうか?

世間では「Sdgs」がいわれて数年が経つが、あまりそれは感じられない。

選択肢がたくさんあることは、「喜び」につながる一つの道だと思うが、
案外、身近に「喜び」はあったりするのではないかな、と庶民の私は思ってしまう。

■メモ
ヘッダーの写真は
IVAN SVIATKOVSKYIによるPixabayからの画像

■余談
ちなみに、その高級ホテルはSdgsへの取り組みで食品ロス対策として、
”廃棄食材を利用した飼料で育ったラム肉の提供”
をやっていたようです。
(※現在、一時的に提供を休止しております。とのこと)

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