ヤクルト1000のエビデンスを検証① ストレスをやわらげる効果
ヤクルト1000はものすごく流行っていて、今は買えない状況ですね。なんと発売後半年で2億本も売れたようです。
このヤクルトですが、機能性表示食品であり、
・ストレス緩和
・睡眠の質の向上
が謳われています。
これらのエビデンスはどうなのか、元論文を見て調べてみたいと思います。今回は、「ストレス緩和」について調べます。
なお、睡眠の質についても記事を書きました。
元論文
ヤクルト1000のストレス緩和の論文は、
Probiotic Lactobacillus casei strain Shirota relieves stress-associated symptoms by modulating the gut–brain interaction in human and animal models
(プロバイオティクスLactobacillus casei strain シロタ株は、ヒトおよび動物モデルにおいて、腸と脳の相互作用を調節することによりストレス関連症状を緩和させる)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nmo.12804
という論文です。今回紹介する内容はこちらの論文を基にしています。
実験条件
この論文内では、ヒトに対する介入試験と、ラットを用いた動物試験の二種類が行われています。
その中でも、この記事での説明はヒト試験にフォーカスします。
結果
心理学的パラメータの変化
被験者の不安状態はSTAIで測定したが、試験前日が最も不安が高くなることが分かった。こちらは両飲料の差は見られなかった。
一方で、唾液中コルチゾールでは、乳酸菌飲料を飲んだ方が、プラセボ飲料よりもコルチゾール増加を抑えられた。ストレスを受けるとコルチゾールが増加することが分かっているが、それが抑えられたことから、被験者のストレスが減っていることが分かる。
身体的症状の変化
乳酸菌飲料群では、風邪・インフルエンザ症状の発現率が介入5-6週目に有意に低く、腹部症状の発現率が7-8週目に有意に低く、プラセボ群に比べ顕著であった。
筆者考察
この論文を読む限り、
・8週間毎日、乳酸菌を1000億個摂取すると、
・強いストレスがかかる試験前日に唾液中コルチゾールの増加が抑えられ、
・風邪・腹痛などの症状が減った
ことが分かります。
ここでは紹介しませんが、ラットを使った動物試験の結果も含めると乳酸菌シロタ株を1000億個飲んでストレスが減りそうだ、というのは示せそうです。
ただ、一方で、以下の疑問が残ります。
試験条件に対する疑問
上記の試験条件で、プラセボ群は一切の乳酸菌を摂っていないので、
①プラセボ群では乳酸菌を摂らない生活により腸内環境が崩れ、ストレスを溜める結果になった。
②乳酸菌アリ/ナシしか試験条件がないので、乳酸菌1000億個という量に効果があるのか分からない。他の乳酸菌食品・飲料との差が分からない。ヨーグルトや普通のヤクルトでも同様の効果が得られる可能性がある。
結果の対する疑問
③即効性は結果を見る限りはなさそう。
④8週間の摂取後に、試験前1日のみコルチゾールの量が抑えられているが、試験2週間前のコルチゾール量には差が見られない。コルチゾールが抑えられる条件は、強いストレスがかかるときだけ?
⑤コルチゾールが減るものの、STAIによる不安スコアは減らない。ストレスの減少に実感があるのか全く不明。
実際ヤクルトのHPにはこういう細かいところまで記載されていないので、一般消費者はコルチゾールのグラフを見て、「ストレスが抑えられるんだな」、というくらいしかわからないかもしれません。
ここまで読んで、まぁ、私は一本30円の普通のヤクルトでいいかなと思ってます。
ちなみに私は毎朝普通のヤクルトを飲んでます。OKストアで10本入り332円で安いんですよね。1年前はピルクルを飲んでましたが、ヤクルトの方がおいしい気がしてます。とても腸の調子がいいです。
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