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プレゼンスライドで使う色やフォントに対して自ら「しばり」をかけることでデザインしやすくなる

プレゼンスライドの中で使う色数やフォントの種類を自ら制限すると、デザイン的に統一されて全体として美しくなります。これらの制限によってデザイン上の「しばり」が生まれ、余計なことをしなくてすむため、デザインするのがより簡単になります。スライド全体の統一感を出すためにも効果的です。

プレゼンスライドの中で使う色数やフォントの種類を自ら制限すれば、デザインにおける「しばり(制約)」をかけることになります。そのしばりによって、スライドのデザインが統一されて全体として美しくなるという効果が生まれます。しばりを設けることでデザイン的に余計なことをしなくてすむため、結果的に、デザインするのが容易になるというメリットも生まれます。この方法は、スライドデザインの作業を単純化し、短い時間でそれなりにかっこよく美しいスライドに仕上げたいときにとても役に立つ方法なので、覚えておいて損はありません。

図1 デザインに「しばり」をかけてみる

色やフォントなどのデザイン要素は、選択肢が多ければ多いほど自由度が高くなって、いいデザインにできると考えがちです。優れた美的センスを持っていれば、あるいはデザインのアイデアが次から次へと湧き出てくるならば、確かにそうかもしれません。しかし、実際はそんなことはありません。この記事を読んでいる人の多くは、どうすればいいか、アイデアの引き出しが少なくて困っていると思います。

プレゼンの本質はその中身です。装飾としてのデザインに気をとられて、そればかりに時間と手間をかけているわけにはいきません。それに、多くの場合、自身のデザインのスキルアップを待つ時間の余裕もありません。

そんなとき、このデザイン上のしばりを設けるという方法が効果を発揮します。デザインのシンプルなルールを自ら決めて、制約を課してしまえば、あとはそれに従うだけでデザインできるので、手間を大幅に省くことができます。これは何も、楽をしたいからというだけでなく、スライド全体の統一感を出すというねらいもあります。

スライド全体における統一感については、別の記事で説明しているので、ここでは省略しますが、プレゼンスライド全体で色やフォントなど、様々なデザイン要素が揃っていることはとても重要で、プレゼンスライドをかっこよく美しく見せるための有効なアプローチのひとつです。

例えば、使う色を1色に決めて、他の色が必要な場面ではその濃淡を変えた色を使うという方法があります。所属組織のコーポレートカラーに基づく配色に統一したいときに有効な方法です。強調したいときにはこの色を使う、矢印や枠など構造を表現する図形にはこの色を使う、といったルールを決めておくと便利です。色味の統一感が生まれ、さらにいったん決めてしまえば、そのプレゼンスライドの中ではその配色ルールに従うだけなので、作業がはかどります。配色の重要性については、こちらの記事でも紹介しています。

フォントの選択も同様です。基本的に使うフォントは1種類で十分です。必要に応じて、特別な目的があるテキストに対しては、もう一つぐらい別のフォントを用意しても構いません。プレゼンスライドのフォントに関しては、こちらの記事も参照してみてください。

忘れてはいけないのが、図やグラフの中で使っているフォントです。専門的な内容を説明するプレゼンでは、図やグラフを多用すると思いますが、その中で使われているフォントも、プレゼンスライドで使うフォントに合わせるのが望ましいです。あるいは、図やグラフで使うフォントは常にこのフォント、といったように別のフォントで揃えても構いません。もしも、あなたが今まさにスライドに貼り付けようとしているその図やグラフに、おかしなフォントの文字が埋め込まれてしまっていれば、できることなら図やグラフを作り直してでも、同じフォントに揃えた方がよいです。

他にも、スライド表題の文字サイズやテキストボックスの位置、箇条書きの行頭記号、矢印の形状、四角で囲むときの枠線の太さ、ページを切り替えるときやクリックして何かを登場させるときのアニメーション効果、といったデザイン要素を、あなたなりに決めてしまえばよいと思います。あとはそれに徹底的に従うだけです。

なお、以上のようなデザイン要素のしばりを決めて、一度スライドをデザインしてしまえば、それ以降のあなたのプレゼンスライドでも、それを踏襲していくことができます。デザインテンプレートとして設定できる部分はそうすればよいですし、できない部分はスライドをコピー&ペーストしてください。そうすることで、あなたが作るプレゼンスライドはいつも同じデザインに統一されることになります。

いつも同じ制約のもと、スライドをデザインしていれば、過去のスライドを再利用したいときや、過去のスライドを少しアレンジして新しいプレゼンに使いたいときにも、非常に便利です。過去に作ったスライドをCtrl+CでコピーしてCtrl+Vでペーストするだけで、スライド表題は必ず同じ位置になり、配色もまったく同じ、フォントも文字サイズも揃います。毎回、労せず同じデザインに統一することができます。

さて、そうなると今度は、自身が所属する部署やプロジェクトチームでもプレゼンスライドのデザインを揃えたくなってきませんか?同じ目標のもと活動しているなら、同じデザインで統一されていると、かっこよく見えますし、一体感も生まれます。さらに、見る人に与える印象やイメージも統一されますので、チームや組織全体に共通する考えや思いも相手に伝えやすくなります。

まずは自分自身のプレゼンスライドのデザインから始めてみて、そのあとはぜひチームへも広めていってください。そのためにもっとも大事なことは何か?それは、チームや組織としてデザインを統一することに効果があるということを、誰もが認識することです。まずは、スライドのデザインに対するみんなの意識を高めていきましょう。





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