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プレゼンスライドに使うフォントの選択は重要なので慎重に

プレゼンスライドのテキストに適用するフォントの選択は非常に重要です。フォントが見る人に与える影響は大きく、慎重にフォントを選ぶ必要があります。しかも日本語フォントにはバリエーションが少なく選択肢は限られます。ビジネスにおいては主張が小さく、自然で美しいフォントが望ましいでしょう。

プレゼンスライドのテキスト部分に適用するフォントの選択は非常に重要です。フォントが見る人に与える影響はとても大きく、慎重なフォント選びが求められます。しかも日本語フォントには英語フォントに比べるとバリエーションがそれほど多くなく、選択肢は限られています。どのようなフォントがふさわしいかについては、そのプレゼンの目的にも依存するためケースバイケースと言わざるをえませんが、ビジネスにおいては、個性的で主張が強いフォントは避けて、標準的で汎用性が高く、バランスのよい美しいフォントが望ましいでしょう。

図1 フォントの選択は慎重に

太字のフォントは、力強い印象で確かに目立ちますが、多用しすぎると知的さが失われます。細字のフォントは、目立たず弱々しい印象になりがちですが、使い方によってはインテリっぽくなり、クールなイメージを演出できます。明朝体は一般に線が細くて視認性が悪いという理由で、これまでプレゼンスライドには不向きとされていましたが、テレビやパソコンディスプレイ、液晶プロジェクターといった映像機器の解像度の向上にともなって、最近のプレゼン環境においては必ずしもそうではありません。明朝体はシャープで知的な感じになるので、使い方を誤らなければプレゼンスライドでも十分に実用的です。

図2 フォントによって受ける印象は様々

基本的に、和文には日本語フォントを、英文には英語フォントを使うことをお勧めします。そもそも英語フォントでは日本語文字を表示できないので、和文には英語フォントを使えません。一方、日本語フォントでアルファベットを表示することは可能ですが、日本語に最適化されているフォントなので、アルファベットを日本語フォントで表示すると文字間隔などのバランスが悪くなる傾向にあるので、注意が必要です。

では、日本語の文章の中で使われているアルファベットに対してはどうするのがいいのでしょうか?できることなら、そのアルファベット部分だけ、そこで使っている日本語フォントと見た目がよく似た英語フォントを使いたいところです。しかし、日本語フォントと英語フォントでは、同じフォントサイズを設定しても実際の文字サイズが微妙に違っていることがよくあるので、お互いに相性がいい日本語フォントと英語フォントを見つけ出さなければならず、かなり大変です。その場合は、もうあきらめて、アルファベットに対しても日本語フォントを使うのがよいでしょう。

ちなみに、筆者が日本語と英語が入り交じったプレゼンスライドを作るときには、漢字、ひらがな、カタカナには日本語フォントのNoto Sans JPを、アルファベットや数字には英語フォントのOpen Sansをよく使います。この2つのフォントが同一文章の中に混在していても文字サイズや文字間隔に違和感を感じさせることがなくて、相性がとてもよいため、この2つのフォントの組み合わせを気に入って使っています。日本語と英語でフォントを変えるのは手間がかかって大変ですが、その分、テキストの見た目は美しく整います。

いくつか具体的なフォントをいくつか紹介します(図3)。筆者が好んで使う日本語フォントは、Noto Sans JPとM PLUS 1pです。英語フォントなら、Open SansとLatoとRobotoです。どれも見た目が標準的で、汎用性が高く、バランスのよい美しいフォントです。フォントの太さ(Weight)もバリエーション豊かです。どのフォントもWindowsでもMacでも使えて、さらに、PowerPointでもGoogleスライドでも使えるという点も、筆者が好んで使う理由のひとつです。最近では、プレゼンスライドファイルを複数の人が共同で編集することもめずらしくありません。様々な環境下でトラブルなく編集作業ができるようにするためには、様々な環境で使える汎用的なフォントを使うようにするとよいと思います。

図3 筆者が好んで使うフォント

ただし、これらのフォントはWindowsやMacには標準でインストールされているフォントではないので、各端末に別途インストールする必要があります。Google Fontsのサイトから誰でも無料でインストールできるので、確かに誰でも使えるのですが、そのインストール作業がやや手間になります。フォント問題を気にしなくて済むというデザイン上のメリットから、筆者は、プレゼンアプリとして、PowerPointよりもGoogleスライドを使うのがよいのではないかと考えています。それについては別のnote記事でお話ししているので、ご興味あれば、そちらの記事も参照してください。

標準的に使うフォントを選ぶとき、筆者がもうひとつ気をつけていたことがあります。それは、誰が見てもそれとわかってしまうフォントを出来るだけ避ける、ということです。「ああ、よく見るあのフォントね」といったように、使っているフォントが何かばれてしまうのは、つけている香水のブランドを言い当てられたときのような恥ずかしさがあります。例えば、Windowsで長い間にわたって標準フォントになっていたメイリオや、Microsoft Officeで太字といえばこれという印象のあるImpactなどがそうです。もちろん使い方にもよると思いますし、そういったフォントは決して美しくないわけではありませんが、あまりにメジャーすぎて、何となく使うのがためらわれます。

やはりクセがないフォントで、そのフォントが何かということに、見ている人の注意が向かないような、自然なフォントを使いたいところです。内容にぴったりとマッチしたフォントであればすっかりスライドに馴染んでしまって、それを見た人はそもそも、どのフォントを使っているかなんてことを気にすることなく、内容に集中してくれることでしょう。

ちなみに、もっとも無難で美しい日本語フォントはヒラギノだと世間では言われていて、筆者もできればヒラギノを基本の日本語フォントとして使いたいところですが、ヒラギノのフォントを自由に使えるのはMac環境だけです。Googleスライドにおいては使うことができませんし、ヒラギノのWindows用フォントセットは高額すぎて手が出せません。様々な環境下でプレゼンスライドの作成・編集作業をしなければならない昨今のワークスタイルにおいては、残念ながら、ヒラギノがベストなフォントだとは言いづらくなってしまいました。ただ、フォント環境は日々変化しているので、またすぐに状況は変わっていくことでしょう。

図4 日本語フォント「ヒラギノ」

別のnote記事に書いたように、プレゼンスライドにおける色の選択に関しては、コーポレートカラーを基準に配色を決めるというアプローチがありますが(こちらの記事を参照)、フォントの選択に関しても、同様の方法があります。あなたが業務に関するプレゼンスライドを作るとき、自身が所属する組織で標準的に使っているフォントがきっとあるはずです。例えば、あなたが所属する会社のウェブサイトやパンフレットで使われているフォントです。それと同じフォントを使う、もしくはそれに近いフォントを選択するというのも悪くありません。あるいは、もし会社ロゴに文字が使われていれば、そのフォントに合わせる、それに似たフォントを選ぶ、という手もあります。

このやり方でフォントを選択すると、プレゼンスライドの中でのデザインを統一できるだけでなく、ウェブサイトやパンフレットも含めた、様々な媒体のデザインの雰囲気全体を統一できるという効果があります。そして何よりありがたいのは、フォントの選択に悩む必要がなくなるということです。所属組織に決められたデザインのルールに従う形でプレゼンスライドをデザインすれば、整ったデザインに仕上がる、という法則はフォント選びにおいても成立します。




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