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プレゼンスライドでカラフルな色使いをすることは難しい

プレゼンスライドにおける色の使い方はじつは難しい。つい気軽にカラフルにしてしまいがちですが、本当にその色を使う必要があるのかどうか冷静に考えてみてください。最初はモノクロで作ってみるのもよいでしょう。色は他の要因(コーポレートカラーなど)によって制約を受ける場合も多々あります。

プレゼンスライドにおける色の使い方は、じつは非常に難しいものです。つい軽い気持ちでいろんな色を使ってカラフルにしてしまいがちですが、わかりやすく美しいプレゼンスライドにするためには、本当にその色を使う必要があるかどうかを、冷静に考えてみてください。まずは色を使わずにモノクロですべて作ってみるというのも、一つの方法です。また、色は、他の要因(例えばコーポレートカラー)によって制約を受けることもよくあります。なのでじつは、カラフルにすることが必ずしもよい効果をもたらすわけではない、ということを認識しておく必要があります。

図1 プレゼンスライドでカラフルな色使いは難しい

あまり出来のよくないプレゼンスライドは、往々にしてカラフルです。文字や矢印、長方形の枠、イラスト、背景、そのほとんどすべてに何かしらの色がつけられています。なぜでしょうか?じつはとくに深い理由はないという場合がほとんどではないでしょうか。とくに理由もなく、その色を使ってしまっていることが大きな問題です。図2を見てみましょう。例えば、PowerPointにおいて、データを棒グラフで表示してみた場合を考えてみましょう。そのグラフには色がついていませんか?何かねらいがあってその色にしましたか?おそらくそうではなく、デフォルトで勝手につけられた色ではないでしょうか。

図2 典型的なカラフルなスライド

本来、理由がある部分だけに色を使って、理由がなければ、そこに色をつける必要はないはずです。まずは、色をつける前に、色が必要な理由が何かを考えるように習慣づけるとよいです。また、色をつけるにしても、なぜその色にするのか、その理由も必要なので、それもよく考えなければいけません。

色を上手に使えるようになるための有効な方法として、まずは図3のようにモノクロでそのページを作ってみる、という方法があります。強調したい箇所とそうではない箇所、重要な箇所とそうではない箇所、それらの強弱をつけるために、例えば、文字の大きさや線の太さで表現してみます。あるいは、色を変える代わりにグラデーション、つまり薄いグレーや濃いグレーを使ってみてください。矢印や図形もすべて色はとりあえず黒にします。図形を塗りつぶしたい場合は、黒、白、グレーのいずれかを使います。

図3 色を使わずにモノクロで表現してみる

モノクロでデザインしてみると、色を使わなくても意外と、表現したいことを表現できてしまうことに気がつくと思います。図3のような色味のないモノクロのスライドにおいて、一番強調したい箇所に満を持して色を使えば、その部分は非常に際立つことになります。その色が差し色(アクセントカラー)となり、それによって、もっとも主張したいことを相手に効果的に伝えることができます。そのあとのページにおいても、他の色を一切使わずに、同じ差し色を強調したい箇所に使い続ければ、見ている人は、その差し色の部分が重要だと認識してくれて、差し色の効果がずっと続いていくことになります。

次に、使う色を1色か2色に限定して、あらかじめその色を決めておく、という方法も効果的です。図4には使う色が1色だけのモノトーンの例を示しています。企業の場合は、会社のロゴなどに使われているコーポレートカラーを使ってみるとよいと思います。それ以外は、先ほどと同様、黒、白、グレーのみを使うことにします。色をつけたい部分、例えば強調したい重要な箇所にのみ、その事前に決めておいた色を使います。その色の濃淡を変えた色も、必要に応じて使ってよいでしょう。このように自ら色の使い方に制約をつけることで、プレゼンスライド全体の配色が統一されて、不必要な着色がない、すっきりしたデザインにまとまります。

図4 使う色が1色だけのモノトーンで色味を統一

コーポレートカラーを基準にしたスライド配色を採用するメリットが、じつはもうひとつあります。プレゼンスライド全体における色の調和を考えるならば、イラストや写真などスライド内に配置されるコンテンツで使われている色との相性も考慮するべきです。せっかくスライドの配色をすっきりとかっこよくまとめてみても、そこに全く色味が異なるイラストや写真が割り込んでくると、せっかくのデザインが台無しになってしまいます。

プレゼンスライドで使うイラストや写真などのコンテンツにはコーポレートカラーがしばしば使われています。例えば会社ロゴや、会社の製品の写真をイメージしてみてください。それらはきっとコーポレートカラーを使ってデザインされているはずです。その結果、プレゼンスライドに配置するそういったロゴや製品写真の色味は、自然とコーポレートカラーと近くなるので、コーポレートカラーを基準にしたスライド配色にぴったりフィットするというわけです。そういう意味でも、コーポレートカラーを基準にしたスライド配色の採用は、妙手と言えます。

お気づきの方もいると思いますが、筆者のこのプレゼンスライドデザインに関するシリーズ記事においても、スライドっぽい図を多用していますけど、そこにはほとんど色を使っておらず、一部を除いてそれらの図を、モノクロで作っています。もちろんそれは意図的です。はっきり言ってこのぐらいの図であれば、色を使う必要はありません。コーポレートカラーのモノトーンでデザインする方法も考えられますが、弊社のコーポレートカラーは一応、黒なので、そういう意味でも、できるだけモノクロで統一してみました。

図4 弊社のコーポレートカラーは黒

カラフルな色使いでプレゼンスライドをデザインすることは非常に難しく、デザイン上級者向けです。実際、ほとんどの場合、カラフルにする必要はありません。まずは、理由もなく色を使うことをやめる、そしてなぜその色を使うのか根拠を考えてから色を使う、それだけであなたのプレゼンスライドが与える印象はずいぶんと変わります。色相・彩度・明度や補色カラーといった色に関する専門的なことは、ひとまず脇に置いておきましょう。それらの専門的な知識やテクニックは、本当に必要になったときに調べて学べばよいことです。



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