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寄稿詩人の紹介⑨ ~柊月めぐみ~

週に二度、詩誌ラ・ヴァーグに詩を寄稿している詩人を、一人ずつ、一問一答形式(10の質問)で紹介しています。

今回は、柊月めぐみさんです。

それでは、柊月さんへの10の質問をどうぞ。

             * * *   
 

1)あなたはどうして「詩」を書いているのですか?

何か書いて表現しようとしたとき、詩という形が一番自然に自分の言葉を語るから、でしょうか。
 6)に回答したように、初めは自分が読んでいるような児童文学作品を書く人になりたかったのですが、10歳の時に年間を通して詩の授業や哲学的な問いを深く学ぶ機会があり、正解が一つではない問いを考える人になりたいと思ったのが強いきっかけだと思います。あの時間がなかったら、今の私はいないだろうと思います。


2)「詩」とあなたに関する印象的なエピソードを1つ、教えてください。

1)の授業で学んだ詩の感想を書く時に、感想に加えて、自分だったらという詩を書いたことがありました。その詩人の方と知り合いだった家族が、私が書いたものご本人に見せたらしいのです。すると「なかなかよく読めているね。どんどん書いてごらん」という趣旨のメッセージをいただいたことがありました。まさかご本人にみせているとは思わずびっくりしましたが、当時も今もその言葉に励まされています。


3)詩を普段読まない人に、詩集をお勧めするとしたら?

 合唱曲集と絵本。合唱曲集は、聴いてイメージの湧きやすい抒情詩が多く、絵本の文は表現が削ぎ落されて、詩的韻律の美しいものがたくさんあります。


4)詩集以外でのあなたの愛読書は? 好きな理由も教えてください。

 世界の伝説・伝承・民話。イギリス文学・文化に関する本。法隆寺・厩戸皇子に関する本。
幼いころの読み聞かせから、グリム童話、ケルト文化等の民話・伝承、ファンタジー文学の基礎の世界が、今も好きです。
学生時代の学びの延長でイギリス文学・文化に興味があり、『ベルサイユのばら』の影響で無類のフランス好き、ピアノの詩人ショパンの影響で西洋音楽のエリアに興味津々、中東欧文化の本も見かけると手に取ってしまいます。
 また、各地の日本の民話への親しみや、日本古典への関心も興味が尽きません。


5)最も好きなことば・座右の銘は?

最も、と言って二つ挙げるのですが、
一つは、「高い志と熱意を持ち、少数だけでなく、より多くの人々との共感を持てれば、どんなに弱い者でも事を成し遂げることができるでしょう。」

一人でできることは小さくても、志と熱意を忘れずに、人と共感しながらその輪を広げていけば夢を叶えることができる。立とう、動こう、創ろう、と思った時にはいつも支えにしている言葉です。

もう一つは“A Thing of beauty is a joy forever” イギリス ロマン派詩人ジョン・キーツのもっとも有名な詩「エンディミオン」の中の一節で、詩を書く時にいつも心にとどめ、指標として入る言葉です。



6)子どもの頃、何になりたかったですか?

 小学校低学年…児童文学作家
 小学校高学年~…哲学者、詩人、ファンタジー作家、医者
 

7)最近のマイブームは?

 発声練習。合唱が好きなのですが、今は思いっきり歌えない時間が続きます。慣れるとマスクをしても問題なく歌えるそうですが、私はまだ苦手。自宅ではマスクなしで自由に歌えるので、呼吸も楽に喉の筋トレを楽しんでいます。


8)ご自身の代表作・自信作の詩を1つ読ませてください!(リンクも可)

「和菓子争議」
   
現代和菓子王者決定戦のお題は
落雁に決定しました

なぜお干菓子なのでしょう
賞味期限とは無縁の砂糖を押し固めて
可愛らしく微笑んだかと思えば
ほろほろとくずおれて溶け去る
実に頼りない粉の塊に過ぎないものを

お茶には主菓子と相場が決まっている
見た目にも鮮やかな練り切りの職人芸
四季折々の生きうつしは
その日限りの緊迫感
これこそが粋を凝らした伝統美

和菓子と言えば竿物に限ります
ぎゅっと詰まった濃厚な味わい
人数に応じられる柔軟さも兼ね備え
他の甘味とは格の高さが違うのです
中でも大粒の和栗の載った栗蒸羊羹

親しみやすい味わいといえば
クリーム大福にバター入り白餡のお饅頭
すぐにおなかの減る子供や
洋菓子派の方にも人気なの
売れ筋ランキングではいつも上位

甘いものばかりも面白くありませんから
おかきも控えて御座います
磯海苔小巻に昆布醤油
吹き寄せはあとひきなんで
へえ どうぞご贔屓に

和菓子屋のショーケースで
続く議論など誰が知るだろう
いらっしゃいませ
今日は何になさいますか

(『詩と思想』2022年10月号投稿欄 入選作品)


その他、読みやすい短詩を中心に、時折noteにもアップしています。よろしかったらご覧ください。


9)本誌でどんな詩を書きたいですか?
また、これから本詩誌をどんな詩誌にしていきたいですか?

La Vagueを通じて、詩って楽しいな、面白いな、なんかすごいな、と感じてもらえたら嬉しいです。そして、誰かの言葉を借りるのではなく、自分の言葉で表現することはとても尊く、気持ちの良いことだと、前向きな気持ちになれたら。何か考えるきっかけを感じられるような詩が書きたいです。そして、これまで詩を読むことがなかった人たちにも、ぜひ読んでみてほしいです。



10)そのほか、ご自由にどうぞ!

目覚めのときです。La Vagueという活動体が生み出す新しいうねりに、どうぞご期待ください。


                * * *

以上、いかがでしたでしょうか。この先も、詩誌に寄稿する詩人をお一人ずつ紹介していきます。
次回の更新もお楽しみに。


 


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