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【エッセイ】彼女の「詩」 野宮ゆり

こんにちは。詩誌La Vague(ラ・ヴァーグ)です。
今回から何週間かにわたって、メンバーの詩作にまつわるエッセイをお届けします。第二弾は野宮ゆりさんです。

私にとって一度も読めず、これからも読めないだろう「詩」がある。

十年前に病で亡くなった友人の「詩」だ。

彼女は静岡の高校を卒業後に関西のデザイン学校に進み、そこで私と出会った。

彼女は造形以外の創作についてひとことも触れなかった。

ホスピスで亡くなったその日に彼女の遺体を運ぶ車を待つ間、彼女の兄との雑談のなかで詩作の過去をしらされた。

作品は静岡の実家にも残っていない様子だった。

もう決して見られない花のように
彼女の詩という言葉が今も私のなかで幻のように咲き続ける。

※野宮ゆりさんが詩「私の蛇」「貝に眠る月」を寄稿された詩誌La Vague vol.0はこちらより購入できます。


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