色褪せた先
愛は祈りのようなもの
遠くで、どこかで誰かに差し出している
何年も前に少しだけ逢えたそれだけの人だとしても、季節が変わってもう覚えてなかったとしても、ふと思い出す記憶を花束にして、贈りたい
祈りは強さで意志であるということを、鮮やかさの失われた記憶の中で噛み締めていたい
枯れてゆく鮮明さを、朧げながら覚えている道を、もう一度歩いて出逢ってきた数々の愛する人と視線を交わしたい
美しい山々を、果てることのない大地の鼓動を、活気で満ちる市場を、永遠に続く荒野を、風に靡くタルチョを、湖のように静かで澄んだ空気を、またこの目に焼き付けたい
どこかへ辿り着く必要もない、
ただただ知らない場所を自分で選んだ道に沿って歩いて、
自由を手にして砂に還っていく、
そういう自分を信じているし、信じるために旅をしてきたんだろう
自分を丸ごと感じることで自分を取り戻している、きっと。
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