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【のほほん音楽閑話Vol.5】本と 楽器と それから私

 アマチュアオーケストラは、仕事を持ちながら音楽を嗜む人の集まり。本業ではない楽器練習に割ける時間は限られるはずなのに、周りはべらぼうに上手な人ばかり。練習すれどうまくならざりぢっと手を見る。同じ人類なのに何故? 往年の疑問にひとつの答えを見つけました。

 きっかけは、地域情報誌にコラムを書く機会をいただいたこと。楽器をペンに持ち替えるだけで、なんということでしょう。演奏では残念なポンコツが、文章にすると楽しみに読んでもらえる連載に大変身。脳内では劇的ビフォーアフターのBGMが流れ、匠の素質が私にも!?と幸せな勘違い。 

 思い返せば、授業中も教科書の下に本を隠し、先生の話そっちのけで読み漁っていた常習犯(良い子はマネしないでください)。読書量に比例して書くことも好きになり、今に繋がっている気がします。そうか、楽器がうまい人は、膨大な量の良い音楽を聴いてきたのか。山本周五郎氏を崇拝するようにブラームスに心酔し、司馬遼太郎作品に高揚するようにワーグナーに熱狂し……そりゃかなうわけないわ~。インプットしてないものがアウトプットできるはずがありません。すとんと腑に落ちた瞬間でした。

 積み重ねてきたものが十人十色なのだから「みんな違ってみんないい」。心からそう思えるようになってから、音楽はもっと楽しくなりました。

 最後に小噺を。ある編集者さんに「あなたの文章にはリズムがある」と褒められました。しかし嗚呼、なんということだ。楽器を持つとリズム感がない。ち~ん。

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