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コロナ禍|短歌二十首

コロナ禍で短歌をやめた人だつて言はれていいやコロナ禍だもの

まぼろしの牛乳パンが山積みで不要不急だけど三つ買ふ

欠品のハンドソープの本体を探し流れてゆく人の波

小麦粉の棚がからつぽになつてゐるスーパーみのりパンケーキ焼く

風薫る窓辺に母とスカートを字ぢよきぢよき切つて布マスク縫ふ

巣ごもりにカゴ収納の乾物を発掘して見つけたたらをさ

パフェ食べに行かうと誘はれたけれどインスタに休業のお知らせ

インスタントドライイースト死滅してゐて餅になるお米のパンは

十日間新規感染者がゐない人人人のスーパーへ行く

主婦二十年目初めて唐揚げを揚げたいつもの店閉まつてて

人混みは元々嫌ひなんだソーシャルディスタンスみんな守れよ

イースト菌どこにも売つてゐないからみんながパンを焼いてるのだらう

〈漠然〉に〈とした不安〉と候補出るさうか誰しも不安なんだな

知らぬうちに参加しちやつてゐる人もゐるんだらうなツイデモとふに

正しさをネットに検索するわれの脳の空白広がつてゆく

布マスクの効果の有無はどうだつていいよ受診の目安が変はる

筋力が落ちてゐたんだひさびさに運動したらお腹が痛い

トーキョーのことだけやたら知つてゐる毎日都知事の会見を見る

病院へ行くみちみちにアマビエの描かれた赤いのぼりはためく

うまいなあ生きてて良かつたラーメンを食べつつ無精ひげのオッサン

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