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すずめの戸締まり

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『すずめの戸締まり』は今まで観た映画の中で、トップクラスに良かったです。多くの人が感想や考察を書いていますが、私が読んだ中で共感できるものやハッとさせられたものを集めてみました。…
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#映画感想

『すずめの戸締まり』に通底する精神は『日月神示』に通じる

『すずめの戸締まり』には日本の根源的精神が流れている 新海誠『すずめの戸締まり』はご覧になったでしょうか。普通に日本で暮らしている人であれば、この映画には神道の発想が根底に流れていることを感じたのではないかと思います。神道の発想の中でも、特に古神道あるいは幕末明治維新期に生じた新興神道(形式化した神道に対する本来の神道復活の動き)に通じるものがあると感じました。 そうした古来の本来の神道のエッセンスは『日月神示』(「ひつきしんじ」と読みます)に凝縮されて示されていると思ってい

返還される未来 『すずめの戸締まり』

 3.11震災と日本神話的要素を中核にして、一人の少女の変容を描く。それが今回の新海誠作品でした。宗教的な意味での「後戸」と、セキュリティホールとしての「バックドア」とかなんか関係あんのかなとか考えましたが、それはいいや。  大きな感想としては主人公・岩戸鈴芽の「奪う者から返す者」への変化・変容が中心です。  震災で母を亡くし、叔母・環に引き取られて九州に引っ越した鈴芽は、結果的に環個人の時間や可能性を奪うことになってしまいます。この事実は鈴芽の中でずっと小さく引っかかって

すずめの戸締りの感想(⚠︎ネタバレ)

すずめの戸締りはよかった。具体的に言うと映画館に入ってからというもの、期待しすぎていて、期待しすぎて不安になり吐き気を催すほど期待していた。 しかし蓋を開けてみると期待のハードルを二つ三つ軽く跳び越す程のものが出来上がっていた。古来からの新海誠とは少し違っていた(秒速原理主義と呼ばれるものだろう)が、多少の違和感を手放しにしてしまうくらいには良い作品だった。 とりあえずの感想。セカイ系SFとして最高だっただけではなく、現代人の描写がしっかりしており作品を通して人の可能性を信

「すずめの戸締まり」を観たお話

 「すずめの戸締まり」を観てきた。私はそんなに多くの作品を知っている訳ではないから、他作品との比較はできないけれど、本作の設定・脚本は私にとても馴染んで、心地良いなぁ、と素直に思った。以下ネタバレを含むので、未鑑賞の方は読まないで欲しい。  冒頭の数分でだいたい世界観がわかるくらい、テンポよく話が進む。後ろ戸、ミミズ、要石、閉じ師。なかなかファンタジーな設定ではあるけれど、気づいたら没入できていた。  かといって、冒頭の描写だけでは、幾つか疑問が残る。どうして扉があるのは

ただのアニメではないから、心が震えるのだろう【すずめの戸締まり】

母親を亡くした子どもの気持ちは、分かる。 子どもながらに、残された子どもも悲しいが、残していく母親も悲しかったはずだろう、無念であっただろう。 19歳で母親の死を体験した時、そんな事を思った。 しかし、5歳の息子が今、母親である 私の死に直面したら、そんな風には思えないだろう。 地震という恐怖の中、一人ぼっちになってしまったら、パニックになり、泣き叫ぶだろう。 5歳の子どもは大人がいないと出来ないことがまだある。 19歳になれば、親の手がなくても自分でどうにか生き

すずめの戸締まりの余韻を引きずる男

一昨日、新海誠監督の新作映画『すずめの戸締まり』が話題になってきたこともあり、公開1週間のタイミングでネタバレ回避のために見てきた。その作品が未だに少し心にシミのように残っている。新海誠はまだこんなものを作る力があるのか、ということに驚愕せざるを得なかったのだ。 一応言っておくと自分は新海誠作品はかなり見ている。新海誠展を観にわざわざ都内に出たほどではあるし、君の名はの聖地探訪に岐阜まで行っている。なんなら君の名は。の前に『秒速5センチメートル』を見ていたので、その映像美と

映画「すずめの戸締まり」を観て

9月24日、「すずめの戸締まり」という映画を観た。2022年の日本のアニメーション映画で、新海 誠 監督の作品だ。 登場キャラクターは、岩戸 鈴芽(いわと すずめ)、宗像 草太(むなかた そうた)、ダイジン、岩戸 環(いわと たまき)、岡部 稔(おかべ みのる)などである。 ***************************** あらすじは、 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込

【映画感想】すずめの戸締まり

■「すずめの戸締まり」観た! ギャー! 打ちのめされた! リアルとファンタジーのどちらにも寄り過ぎず、 それを超えてくるリアリティと幻想。 新海誠が描く風景のあの感じが物語に発揮されているのだ。 ロードムービーで日本を、人々を振り返って行って。 災害の可視化。 激情の納得。 未来の私。 ■なんというか映画には 「正しさ」 「面白さ」 の二点があって。 正しさは正確な描写とか全ての人に配慮した物言いとかで。 面白さは人が感動する仕組みとか仕掛けとか、 これは勢いがあれば嘘

すずめの戸締り、やっと観た

夕方、WOWOWで偶然、映画「すずめの戸締り」を観た なんとなく観そびれてしまった作品だ 見終わった感想は、映画館で見たかったなぁ 神様の扱い方がとても好き あんな風に無邪気で気まぐれで素直で人の近くに居たがる神様は、とても日本的だなぁと思う そして 「いってきます」は 「ただいま」とセットだなと思った 映画の終盤に たくさんの「いってきます」があるのだが それらと対になる「ただいま」は叶わない それがわかっているから そのシーンで涙が出そうになった だけど、そ

「ネタバレ⚠️すずめの戸締まりの感想」2022年11月18日

すずめの戸締まり・滅茶苦茶に泣いた、これでもかというほどに泣いた。刺さりすぎてしまったな。 ・このテーマに正面から、この期間でアニメーション作品で挑むの凄い。攻めてる。かっこいい、新海誠。この立場になってからコレができるのは凄い。 ・賛否両論の作品になることは間違いないのに、この作品をつくりたかった理由がわかる。 ・重くなりすぎず説教臭くならず、でも大切なことはちゃんと伝えて、"エンタメ"になっているの凄い。 ストーリー ・最初の数分から最後まで、中だるみが一切なか

すずめの戸締まり、続きの感想など

すずめの戸締まりのサントラをApple Musicで聴いています。 音楽も素晴らしいですね。 https://music.apple.com/jp/album/suzume/1651183497 一夜明けて まだ余韻に浸っている。 Twitterのフォロワーさんの間では、芹沢くんに堕ちてる人、多数みたい(笑) 一見チャラ男なんだけど、根はとっても優しくて、すずめの旅に最後まで付き合ってくれる。 叔母の環さんも、ダイジンもサダイジンまで、受け入れて、遠距離運転してく

すずめの戸締まり、後ろ戸・要石・閉じ師について

昨夜拝見した考察で、要石は幼い人間の人柱では? みたいなのがあって、めちゃくちゃ怖くなりました。 わたしは無機物のその辺の石であり、そこに神格や魂が宿ったような物と思っていたのです。 なので、そもそもの後ろ戸とは何か、要石とは、閉じ師とはを自分なりに整理してみようと思います。 後ろ戸とは何か 要石とは 閉じ師とは 仏堂の背後の入口のこと。この入口は本尊の背後にあることから宗教的な意味をもち,後戸を入った正面に本尊の護法神やより根源的な神仏を安置する。 後ろ戸を

新海監督の伝えたかったこと

監督がこの映画で言いたかった事、概ね受け取ってたようです。 自分は監督のこういう作品が見たいのだという期待から行くと、その期待通りの作品でない場合、大きな期待外れでがっかり、次はこういうのを期待する、みたいになるでしょう。 そういう見方もアリです、もちろん。 人それぞれですから。 余計な期待なしに、フラットな気持ちでいくと、その時に受け取れるものがストレートに入ってくる気がする。 その時代その時代でその時に一番必要な作品が生み出される とわたしは思っています。 な

すずめの戸締まりの些細なエピソード

これは多分、普段富士山を実際見ない、西の民の気持ちだと思うのですが、 すずめと椅子になった草太さんが新神戸駅から東京に向けて新幹線に乗るエピソードがありますよね。 その中で、思わずクスッと笑いが出て、そうそう!って頷いてしまうのが、 すずめが富士山を見逃したシーンです。 ホント、新幹線や飛行機に乗ると必ず、富士山を通過する時、窓の外を凝視します。 見れたら幸せ。 見れなかったときは、ほんとガッカリなんですよ。 九州民、よっぽどの旅好きとか仕事とか用事がないと九州