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すずめの戸締まり

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『すずめの戸締まり』は今まで観た映画の中で、トップクラスに良かったです。多くの人が感想や考察を書いていますが、私が読んだ中で共感できるものやハッとさせられたものを集めてみました。…
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2023年11月の記事一覧

すずめの戸締り

映画館に行けなかったので、絶対観たいと思ってた作品✨観ました。 この作品は、観るのが辛い方もいるかもしれないですね…ただその方にこそ観てほしいと思いました。忘れないよ。ちゃんと覚えている。と。 そもそも、神が善と悪との考えがあるか?は分からないけど、この話での神は、混合していると思った。 光と闇。 自分のその時々で、神にも悪にもなる。 深海誠監督の作品は、実は全部観ているわけではなくて、題名に惹かれ、あらすじで観るか決める。 主人公を、取り巻く登場人物に惹かれることが

すずめの戸締まり

今更なんだけど、プライムビデオで新海誠監督の『すずめの戸締まり』を観た。 小学生のころから、今でいうTwitter(今はXか…)みたいな雑多なネット空間に身を投じていたので、新海作品との出逢いは早い方だったと思う。 当時は秒速5センチメートルが新海作品の真骨頂みたいな感じで、ああいったエモーショナルなアニメ、それにあれは子ども向けではないし、なんというかこう、当時は恋愛物語の小さな未知を見つけたような気持ちだった。 その後しばらく時間が経って『言の葉の庭』がリリースされ、

新海誠ひとりきりの卒業式『すずめの戸締まり』

 数はさほど多くないだろうが、『君の名は。』(2016)以降の作品に違和感を覚えている新海誠ファンもいることだろう。  お気に入りの作家がブレイクを果たすと、置いていかれたような気がして、古くからのファンはさみしくなってしまう。これはアニメーションや映画に限らず、どんな分野でも起こることだし、こうした(ありふれた)喪失感こそが新海誠的、と言えるかもしれない。  それは、他人から見れば小さなさみしさに映るかもしれないが、本人はそれなりに傷ついている。いや、これは、かなりの喪失感

『すずめの戸締まり』新海誠は1対多で表現することの恐ろしさを知っている(日本の歴史)

 1対多で何かを表現することは震えるような恐ろしさがある。1対1のコミュニケーションの場合は相手の反応を見ながらアジャストすることが可能だが、1対多のコミュニケーションは相手の心を一方的に破壊する暴力的な側面がある。作り手はそれを意識するとき、震えるような恐怖を覚える。  新海誠はその恐ろしさを知っているからこそ、この映画がつくれたのだと思う。この映画を観た熊本地震の犠牲者の親族、阪神大震災の犠牲者の親族、東日本大震災の犠牲者の親族の心をつかんで揺らす。この恐ろしさを知らず

『すずめの戸締り』のあるシーンが響いた話(写真等なし長文です)

こんにちは、トンボです。 実は私が住むマダガスカルでも数カ月前に新海誠監督の『スズメの戸締り』が放映されました。 私は大学生の頃から新海誠作品が好きで、たしか協力隊合格が決まった後に『すずめの戸締り』が公開されることが発表され、「公開する頃にはマダガスカルに居て見ることはできないかな~」と予想していたら、結果的に昨年の公開直前に日本を発つことになり、ひどく残念に思っていました。たしか一週間もずれれば日本で見ることができていたような日程だったと思います。 ところがなんと、

読書感想:小説 すずめの戸締まり (角川文庫) 著 新海 誠

【災いの扉を締めに行こう、失った大切な物を取り戻そう】 母と死に別れ、九州の叔母に引き取られた鈴芽は、閉じ師である草太と出逢い、要石である猫を追う中で、過去と未来が繋がる物語。 震災の爪痕は、人々の心に大きな傷を残した。 人を脅かす災疫は、後ろ戸を通って常世から現し世に齎される。 戸を締める事で、土地の神に災いを返して鎮める。その大切な宿命を草太と鈴芽は背負った。 なぜ、「扉」が開いて災いが訪れるのか。 それは、人の想いが土地を鎮めているからこそ、人がいなくなると重しが無

『すずめの戸締まり』

日本のアニメ映画で長らく業界を引っ張ってきたスタジオジブリの宮崎駿ですが、その年齢や作風の変化から、最近はその後継者、あるいは後継者的な別のアニメ制作会社に注目が移っているように思います。 私もジブリの作品をいつも楽しみにしていましたが、『崖の上のポニョ』を最後に興味を急激に失いつつあります。年齢による作風の変化はしょうがないと思うのですが、年々「昔はよかったなぁ」とか「未来の子どもたちに考えてほしい」というメッセージが強くなっている気がして、それが説教じみたものに思えてしま