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『すずめの戸締り』のあるシーンが響いた話(写真等なし長文です)

こんにちは、トンボです。


実は私が住むマダガスカルでも数カ月前に新海誠監督の『スズメの戸締り』が放映されました。

私は大学生の頃から新海誠作品が好きで、たしか協力隊合格が決まった後に『すずめの戸締り』が公開されることが発表され、「公開する頃にはマダガスカルに居て見ることはできないかな~」と予想していたら、結果的に昨年の公開直前に日本を発つことになり、ひどく残念に思っていました。たしか一週間もずれれば日本で見ることができていたような日程だったと思います。


ところがなんと、マダガスカルでも見ることができました!
びっくり嬉しい!


前情報はほとんど仕入れず(なんか椅子と扉があるな?くらい)に見に行きました。自分自身最近とても涙もろくなっている自覚があるのですが、終わるころにはぼろぼろ泣いてました。いやもう、本当に人に会えないくらいには。



詳しい内容はきっと僕と同じように海外にいて見ることができていない方々への配慮として描写しないようにしますが、大きく二つ、今の心に響いたセリフがあったのでそれについて書いていきます。

それが

「大事な仕事は人に見えない方がいい」
「(彼は)とても大切なことをしてる!」


というセリフです。


書いてて今思いましたが、これ全くのネタバレなしだと全然言いたいことが伝えられないので、ある程度は説明しながら書きます。なので嫌な人は読まないでください。笑




物語は主人公のスズメがあるきっかけで、世界に天変地異をもたらすような厄災を人知れず抑える人助けの仕事をしている男の子と出会うことから始まります。スズメ以外の一般人はそもそも彼が何をしているかであったり、彼が抑えている厄災の存在すら知りませんし、スズメだけはそれを知りますが彼からそれを他言することは禁じられます。


そんな中スズメが知り合った人に「彼は何をしているの?」と聞かれた時にスズメは
『(彼は)とても大切なことをしている!』


と、その場にいた彼に間接的に伝えるように言います。


一方別のシーンで、スズメが彼に対して、彼の仕事がもっとみんなに知れ渡ればいいのにというようなことを言ったのに対して彼が返したのが


『大事な仕事は人から見えない方がいいんだ』

というセリフです。



私はこれらのシーンについて、無意識に彼に感情移入しながら見ていて、心に来るものがありました。



というのも、自分は日本での仕事(リハビリや社会復帰の支援など)や現在の協力隊の立場でも、平たく言えば一般的に【人助け】と呼ばれることをしていると思います。これは自分が望んでしているものですし、いたく高尚なことをしているというような認識も特段持ち合わせていません(時々自分はなぜこんなメンタリティを持つようになってしまったのかと疎ましく思うこともありますが笑)。精神的な病気や障害を抱える人たちの力になりたい、協力隊になって途上国で生活する、途上国の困っている人に少しでも役に立ちたいという思いも、人に言われたことで感化されたものではなく、学生の頃に自分の心から湧き出た思いであることは間違いないと感じています。



こういった人助けのような仕事に関して、私も彼と同じように日の目を見ることは無くてもいいと思っています。自分でいえば患者さんや今の同僚が前に進んでいくための縁の下の力持ち的存在として、自分の働きかけで少しでもその加速度が上がっていけばいいなと考えています。というところで、自然と彼に感情移入していたように思います。


ただ特に今、日本から遠く離れたマダガスカルというお世辞にも住みやすいとは言えない国で、言葉も満足に伝えられないような状況で、「今日はうまくいった!頑張ったぞ!」という実感を得られることも少なく、手探りで日々目の前の事に立ち向かう生活を送る中、心のどこかに


【自分のしていることを他人に認めてもらいたい】


という思いが生まれていたのかなと思います。振るわない、手ごたえのない日々が続く中で【こんなに頑張っててすごい!偉いね!】って誰かに言って欲しいって心のどこかで思ってたんでしょうね。

おそらく日本で同じようにリハビリ職としてある種の人助けをしていただけでは生まれていなかった or 自覚することのなかった感情のように感じています。個人的にあんまり人に褒めてほしいと望んだり、褒められても素直に嬉しいと思うことが少ない性格でした。というのも【自分なんかでできることなんて他の誰にでもできるような事だし。】という思いがあるので。


この自覚、感情の揺れ動きがいいことなのか、悪いことなのか、はたまた善悪をつける対象ではないのかはわかりません。ただ、協力隊の活動は【誰かに認められたい】という気持ちだけで続けられないのは確かかなとも思います。あ、【自分はすごいことをしてるんだ!】と自負するようになったわけでもありませんよ、たぶん。


でもある意味、今置かれているようなチャレンジングな状況下ではうまくいかないときに自分自身で不甲斐ない自分を許してあげる、日々の中でポジティブな出来事に注意を向けながら心を平穏に保つ、このようなことをしていく大切さを痛感したように思います。これって自分自身よく患者さんに伝えていたような事なんですけどね。



ということで、予想よりもずいぶん長くなってしまったのですが『すずめの戸締り』が心に響いたよって話でした!

ちなみにこの週末にジブリの最新作『君たちはどう生きるか』もマダガスカルで公開されて見に行きましたが、そっちは話が難しくて『すずめ』みたいに心に響くようなこともなく、ぬるっと見終えました(笑)


両作品についての感想等あればみなさん教えてください!
ではまた!


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