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歯医者さん

写真は僕が所属している演劇ユニット、「ヒュー妄(もわ)」のパーティ。山木さんと映えるチーズ。ちびちゃんもいたけど見切れてしまった。

ちゃんと歯を磨いているんだけど、とことん歯が悪い。ちゃんと歯を磨いているんだけど。

銀歯が5つとブリッジがひとつ、親知らずは4箇所抜き、隣接していた歯軒並み虫歯。歯が悪い。ちゃんと歯を磨いてるんだけど。

だから稽古がない日々に歯医者に行くことが割とよくある。A.「オフの日は、そうですね、ぶっちゃけ特に何もしていません(笑)あとは歯医者に行ってますよ。ちゃんと歯を磨いてるんですけどね。」状態だ。どんな状態だ。

ていうか普通に稽古がある日も稽古前に行くことがある。「ま!そんなにひどくないっしょー!そうれぱぱぱーっと治療して下さ〜い!^ ^」っていう舐めた気持ちで行って「レントゲンとりまーすはいもうヤバヤバなんでえぐりまーす麻酔入りまーす^ ^」ってなって、結局「ましゅいのシェいでまっひゃくしぇりふがひえまひえんやしゅみます^ ^;」は幾度となくやってしまってる。ちゃんと歯を磨いているのにだ。

ちゃんと歯を磨いているのに、こんなに歯医者に行くもんだから、もう流石に慣れたもんですよと言いたいところなんだけど、歳を重ねるごとに歯医者に行くのが怖くなってきた。我の歯の未来の不安みたいなそういう怖いじゃない。子供的な「歯医者こわーい><」だ。

トラウマというべきか、そんな感じの歯医者さんの思い出がある。ちびっこ遠藤にとって歯医者は怖いところじゃなかった(気がする)。きっと歯医者さんの配慮で無痛にしていただいていたんだ。歯医者さんが優しくちょっとずつ治療し10分くらいで解放していただいてたんだ。なんなら不思議な機械もたくさん置いていただいて、かいだことないにおいがあっていただいて、特別な感じがしていただいて、歯医者さんってなんだかとってもかっこいいぞ!と思っていたくらいだった。

ある日突然、歯医者さんは破痛死叉さんになった。

若干中学生の遠藤くん。「歯医者怖がっているやつこわがりさん過ぎワロタwww」の精神で訪問した何度目かの治療。町内会が同じの行きつけ歯医者さんの「遠藤くんもう中学生やからこんくらいの痛みなら大丈夫やろ。」と言わんばかりの超絶ダイナミックドリルテクに、体と心に激震が走った。

「違う!話と違う!!!こ、こ、殺される!!!痛みで!!!!!」逃げなければやられ、今逃げても大変危険である。大人が僕を取り囲み、マスク奥で笑っている(気)。いまだかつて感じたことのない激痛の闇の中、皮肉にも診察台の真上から降り注ぐ一点の眩しい光だけが僕の目いっぱいに広がる。悶絶は永遠に続く(思い出しただけでまだ続いている)。

当然周り景色も180度変わる。魔改造前提かのような仰々しい黒い皮のリクライニングチェア。「君達は知らなくていい薬品だよ君達は知らなくていい」と主張する不安なにおい。泣き喚く子供。側には僕のどこに使われるのかもわからない金属。唾液と共に魂も吸い上げてしまうと言われている(言われていない)管、管、管。如何なる手段でも人を苦しませられる自信と凄みがあるどリュリュリュリュリュからのじゅパパパパパパパパジュパじゅババババからのギョエーんギュイーン。そして、泣き喚く子供。

あの日から歯医者さんは変わった。マッドサイエンティスト達の人体実験台に変わった。僕が変わったのではない。歯医者さんが変わったのだ。なんていうことだ!あんなに優しかった歯医者さん。どこへ行ったの、歯医者さん。

現在、僕は懲りずに歯医者さんに通っている。虫歯だ。僕は相変わらず過呼吸一歩手前の状態で祭壇に運ばれ、僕の目と耳と脳に一番近い、でも僕の一番見えないところの痛覚を奪われて、人体に使用してはいけないような音にただじっと耐え忍んでいる。自分の唾液が糸を引いてなかなか切れないのが恥ずかしい。麻酔の後のうまくうがいができなくて口からピュッってなるやつが恥ずかしい。これはちょっと面白い。金曜日も歯医者だちくしょー。

これを読んでいる人は歯を磨こうね!(ちゃんと磨いてるんだよ!?)




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