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私的デジタル教材開発史(1)パソコン通信

0.経緯

コンピュータの教育利用はCAIから始まり、30有余年を経てGIGAスクールへと変貌してきた。
筆者はこの変貌に、デジタル教材の開発と出版を行いながら併走してきた。
デジタル教材がどのように作られ発展してきたかを振り返ってみる。

1.CAIの始まり

CAIとはなにか、日本大百科全書(ニッポニカ)では次のようにまとめてある。
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学習者および教授者の活動を、コンピュータを中心とする機器によって効果的かつ効率的に進める、個別学習の考え方に基づく教育。そのように整備された環境をCAIシステムという。・・・ CAIは、コンピュータ・アシステッド・インストラクションComputer Assisted Instructionので、AssistedのかわりにAidedが使われることもある。文字どおりには「コンピュータに援助された教授」である。
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国立教育研究所が1974年に葛飾区立常磐中学校にCAIシステムを設置して木村捨雄氏が研究し、計測と制御Vol.15, No.9に「教育システムにおけるコンピュータの利用とその問題点」として詳細な報告をされている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/15/9/15_9_744/_pdf

1975年に都立小山台高校がCAIシステムを設置して授業に活用した。主にアナライザーによる生徒の解答分析であると私は記憶している。

公的な研究とは別に、PC8001、MSXなどを使って教育へのコンピュータ活用を研究する先生方が多くいた。

2.パソコン通信の時代

パソコン通信とはなにか、
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パソコン通信(パソコンつうしん)は、専用ソフト等を用いてパソコンとホスト局のサーバ(またはノード、ホスト)との間で、通信回線によりデータ通信を行う手法及びそれによるサービスである。
全盛期は1980年代後半から1990年代で、のちにインターネットが一般ユーザーに開放されたため、徐々に衰退していった。商用大手としては最後まで残っていたニフティが、2006年3月末でパソコン通信サービス「NIFTY-Serve」を終了した事で、パソコン通信は事実上廃止となった。
(wikipediaより)
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1986 年にNEC が商用パソコン通信サービスPC-VAN を開始。まもなくSIG「STS( 教育&ソフト)」ができあがった。

筆者は1987年にPC-VANに、その後STS( 教育&ソフト)に加入した。

SIGでは「掲示板」で情報交換がなされ、「開発室」でBASIC やKiT(後述) による教材が公開され、蓄積されていった。

筆者は、1989 年にSIGの活動をまとめた「CAI 実践とソフト開発」「教育に活かすパソコン通信」を、92年に「国際パソコン通信入門」を大日本図書から刊行した。

「教育に活かすパソコン通信」SIG STS(教育&ソフト)への道標
STS(教育&ソフト)/ライブラリ/ISHPDSファイル一覧

SIG STS(教育&ソフト)開発室に多くの教材が集まり、全国の教員が授業で活用し、レポートを寄せあい、教材の修正、改良がなされていった。ここに集まった先生方の中にはその後100校プロジェクトなどの国の事業にも参画して教育の情報化に寄与された。


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