謹賀新年 noteを再開した理由

私の職業は「物書き」である。ちなみに「職業」を辞書で引くと「生計を立てるための仕事」と書いてある。生計を立てられるほど稼いでないので、職業欄に「作家」と書いていいのか悩むところだ。たまに出版社から「支払い通知書」なるものが届くけれど、この一二年は、小学生に「はい、お小遣いよ」と渡したら「ジャポニカ学習帳とチロルチョコしか買えねえじゃないか」とブチ切れられるくらいの金額である。
娘達は漫画家(キリエ)で、「ヤングアニマル」と「月刊チャンピオン」で連載していてそこそこ経済力があるので、私は娘の「扶養家族」になっている。ぶっちゃけて言うと、娘に食べさせてもらっている身だ。
一年中ほとんど休みなく朝から夜遅くまで、時には徹夜で一コマ一コマ魂を削って描いている娘達の姿をそばで見ていると、一円たりとも無駄遣いはできないと強く思う。
本当に心からそう思う!……んだけどね、私はちょっと高価な化粧品でないと追いつかないくらいのお年頃になっちゃったし、私の車は古くて自動ブレーキがついてないからそろそろ買い換えたいし、前期高齢者だから、骨密度を上げるためのサプリとか飲んだ方が良さそうだし。娘達だって、働くモチベーションみたいなのがあった方がいいんじゃなかろうか。だからそのために私はせっせと娘達の貯金通帳をかじって損害を与えているのである。東京ドーム六個分くらいの、ものすごく広い意味で「母の愛」と言えなくもない。
ここまで書いて「金銭援助を断る大谷翔平選手の家族を見習え!」と心の声が聞こえてくる。無視するけど。
現在私は来年出版予定の小説の改稿作業中である。担当さんが鉛筆を入れてくれた原稿を横に置いて毎日パソコンに向かっている。
 この数年、紆余曲折あって出版にまでこぎつけなかったので、前作から四年も経ってしまった。ベストセラー作家は別として、本が売れない時代に小説を書籍化してもらうのはとてもとても大変である。作家デビューして十年。小学館から本を三冊出していただいたが、このペースで行くと、すでに書きあげている作品(時代小説、エッセイ、BL小説、猫短編、『おっさんずラブ』の二次創作)も、これから書きたいと思っている作品も、ほぼ日の目を見ぬまま、私は人生を終えてしまうだろう。 
そもそも私は『おっさんずラブ』にどハマりして、ドラマが終わった後「春たーん、牧く〜ん、カンバ〜ック!」と泣き濡れながら二次創作を始めたのだけれど、これがもう楽しいったらなかった。書いているうちにやっとロスも癒された。
そして二次創作を続けているうちに、自分でもオリジナルのBL小説を書きたい! と強く思うようになったのだ。
 時代物はというと、もともとデビュー作の舞台は戦前戦中で、その後も時代物ばかり書いていた。江戸時代との出逢いは九大の大学院生だった時で、出島研究の第一人者である片桐一男先生の特別講義を受けて鎖国中の出島の虜になってしまった。三本マストのオランダ船、美しい丸山遊女、遊女とオランダ商館員との恋と別れ……。無数の宝石をまき散らしたように夢とロマンに輝いているではないか。というわけで、出島を舞台にいくつか小説を書いたし、これからも書き続けたい。今構想中なのは、オランダ商館員とオランダ通詞(日本人の通訳)のBL小説だ(私利私欲、欲望全開)。
時代小説やBL小説の世界には素晴らしい作家さん達がたくさんいらっしゃって、私が生息できる隙間なんぞないかも知れない。それでも私は書きたいし、読んでもらいたい。
とにかく、腰痛、老眼、物忘れをものともせず、これから毎週どんどんnoteにエッセイや小説をあげていく。少しでも楽しんでいただけたら、本当に嬉しい。 
 今日は元旦。どうかどうか平和な一年でありますように。
 皆様にとって、新しい年が笑顔いっぱいの一年になりますように!
 
 

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