二十四節気の養生法【2022 大雪】
いよいよ12月になり、今年も残り1か月足らず弱となりました。12月7日から12月21日(冬至の前日)までの2週間が「大雪」です。暦便覧には「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」とあります。今秋は暖かい日が多かったのですが意外と京都の紅葉も早く色づきましたが、12月に入って急に寒くなり本格的な冬が来た感じです。やはり12月1週目にはシーズン最初の寒波が来て平野部でも雪が降り、本格的な冬の到来を教えてくれます。
今月の癒しの庭園 二ノ瀬「白龍園」
今回の庭園は、京都の人でもあまり聞いたことがないという鞍馬の手前、二ノ瀬というところにある「白龍園」をご案内します。「白龍園」を知ってるという方は、なかなかの京都通ですね。
ここはお寺の庭園ではなく個人というか青野株式会社という京都にある衣料雑貨企業の創業者が手に入れられた土地で、もともとこの地は霊域で御祭神があったそうですが手に入れられた当時は荒れ果てた地になっていたのを、社員の方や地元の方と協力して整備し「白髭大神(不老長寿)」と「八大龍王(商売繁盛)」を祭る祭壇と鳥居を作られ、この二文字をとって白龍園と名付けられたそうです。
なぜ京都の人もあまり知らないかというと、普段は公開されておらず春と秋だけ特別公開されているからです。今秋の特別公開も私が行った12/1が最終日でした。
今年は京都も紅葉が早く、特にこの辺りはかなり北になるので紅葉も早かったようです。
あずま屋の屋根や地面には枯れ落ちた紅葉のもみじがいっぱいに敷き詰められていましたがこれを「敷もみじ」というそうです。苔の緑とコントラストが効いてとても綺麗です。
苔の上に散らばる紅葉のもみじも侘び寂びの趣がありますね。
手水に飾られた山茶花の花もとても綺麗です。山茶花と椿はよく似た花ですが、花びらがパラパラと散って落ちるのが山茶花で、花びらごとひと塊でボトリと落ちるのが椿だそうです。
祠の手前には手を清める手水と鹿威しがあります。鹿威しの音を聞きたくてしばらく待っていましたが、水がチョロチョロしか落ちてなくてなかなか溜まらずコットーンという心地良い響きは聞けませんでした。
あずま屋「鶯亭」の屋根の上にも苔がびっしり生え、その上に敷もみじが折り重なってとても綺麗です。
鶯亭の隣のあずま屋「彩雲亭」の軒先にかかるもみじは、太陽の光を受けて色鮮やかに輝いています。
「彩雲亭」の窓は、白龍園のシンボルプランツのカンアオイをモチーフにした「カンアオイの窓」がとてもユーモラス。
「鶯亭」の横には、明治時代の軍人「東郷平八郎」が二ノ瀬村に立ち寄った際に送られた「百発百中」という字を書いた掛け軸から書き写した砲弾型の石碑が建てられています。
あずま屋「龍吟亭」から「鶯亭」に続く綺麗に整備された庭が広がります。大きな桜や枝垂桜の木がアチコチにあるので、春もとても綺麗でしょうね。
右手の石垣沿いにある池面に浮かぶ紅葉と鏡のように映る紅葉が織り交ざって綺麗です。
左手の階段を降りるとあずま屋「清風亭」がありその向こうはすぐ鞍馬行の京福電車が走ります。清風亭の屋根や前庭、前にある灯篭も青々とした苔がびっしり。
清風亭から玄関口に続く石畳。両側に青々とした苔と地面に重なる敷もみじが美しい自然を彩っています。
徳川家光公に由来する大きな石灯篭の上にも苔が生え紅葉が重なっています。
玄関を入ったとこにも大きな古い桜の木があります。春には綺麗に咲くでしょうね。また春にも来てみたいです。
今日のお庭はいかがでしたか!?川床で知られる清流貴船川と合流する鞍馬川の畔に作られた名園。この地にご縁を得られて以来皆さまで大切に作り上げ、守って来られた庭園です。機会があればぜひお越しくださいね。
白龍園 http://hakuryuen.com
師走になって慌ただしい毎日をお過ごしだと思いますが、名残惜しい紅葉の美しさを愛でながら自然の移ろいを感じに出掛けてみてください。
大雪の養生法
今年はなんとなく紅葉はまだかなぁと思っているうちに何かあっという間に京都の各地も見ごろが終わってしまった感じです。12月になって急に寒くなりもう本格的な冬が来た感じですね。日本の冬は、特に寒邪に湿邪を伴った「陰冷」に気をつける必要があります。この季節は早く眠り、ゆっくり起きる「早寝遅起」がおすすめ。この時期は夜更かしや睡眠不足は避け、しっかりと陰気を養うためにも常にゆっくり休むよう心がけましょう。
冬至に向かって太陽がどんどん遠くなっているので、ますます寒くなりますね。晴れた日に陽当たりの良いところにいるとポカポカと太陽の暖かさを感じます。夏至と冬至の気温差を考えるとやはり太陽のエネルギーは強大で万物の命の母ですね。
冬の養生法は温補腎陽
さて、中医学では冬は腎を補うことが大切と言います。これは中医基礎理論の陰陽五行学説により、この世の存在する万物はすべて五つの気質を持って存在するとして5つのグループに分類します。五つの気質とは「木・火・土・金・水」で、「水」の気質は『潤下』と言い、主に「下方に流れ、固まる、滋潤、向下、寒涼」のような性質を持っているものと考えます。
そして冬、寒、北、黒、腎、膀胱、耳、骨、髄、髪、鹹、恐驚、豆、豚(肉)、栗(クリ)などはすべて同じ「水」に属します。
このことから、「冬は腎が寒さで傷められやすく、腎が傷むと膀胱や耳や骨や髄に異常や症状が出やすくなるので、身体を温める食べ物や黒い食べ物や鹹い食べ物や豆、豚肉、栗などを食べて腎を補いましょう。」という考え方があるのです。
温める食べ物は温熱性の食べ物…羊肉、豚肉、桂皮(シナモン)、乾姜、ネギ、生姜、ニンニク、ニラ、エビ、山芋、栗、クルミなど、
黒い食べ物は黒米、黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、烏骨鶏、黒酢、黒砂糖、ひじきなど、
鹹い食べ物は、精製塩ではなく魚介類や海藻類などの海産物などの自然な塩分を含む食べ物
これらを食べると腎を補い寒さで傷められにくくなりますよと考えます。
ただし魚介類や海藻類は寒涼性(カラダを冷やす、熱を冷ます性質)の物が多いので、生で食べるより焼く、煮る、揚げる方が順に温熱度合いが上がるので、そのような調理法で食べるのがオススメとなります。冷え性の人は、美味しいですが甘エビのお造りや生牡蠣より、私の大好きなエビフライやカキフライなんかが良いですね。ただしカロリー過多に気をつけてくださいね。
アンチエイジング(老化予防)は『補腎』が基本
この頃つくづく実感する、『寄る歳波には勝てないなぁ』…気持ちは今でも若いつもりなのに!
しかし、寒い冬を健康に過ごすためにも温補腎陽が大切ですが、それよりもさらに、老いたくなければ補腎はとても大切なのです。
中医学で「腎」とは、腎蔵精と言って精を蓄えておく倉庫と考えます。西洋医学の腎臓とはずいぶん違う認識です。
「精」とは生命活動を行う(つまり生きる)ための根源的エネルギーで、生長・発育・生殖・老化にとても影響を与える物質と考えています。
精は父母からいただいた「先天の精」があり、生まれてから先天の精を使いながら生命活動を維持し、そしてやがて自分の飲食や呼吸から「後天の精」を作って、減ってきた先天の精を補充して生命活動を続けます。
…なんかスマホの充電が減ってきたのをチャージするイメージですかね。
お父さんお母さんが精が少ない人だったり病弱だった父母から少ししか先天の精がもらえずに生まれた人は、生まれながらに虚弱な体質ということになり、また生まれた後に大病をしたり不摂生をし続けるとどんどん先天の精を浪費しさらに後天の精もチャージすることが出来ません。
一方、たとえ父母から少ししか先天の精がもらえず虚弱な体質で生まれても、節制した生活で倹約(睡眠不足や過労、ストレスを防ぐなど正しい生活習慣)し、さらに正しい食生活や綺麗な水や空気の場所(良い食生活や生活環境)で暮らすことで後天の精をどんどんチャージすることが出来、やがて先天の精が豊富で元気に生まれてもその後浪費している人を上回るほど丈夫で健康で長生き出来る心身を手に入れることが出来るのです。
このあたりはお金も全く同じ感じですかね。大きな遺産を相続しても自分は働かず浪費ばかりしているとすぐに底をついてしまいますが、相続はなくてもコツコツ真面目に頑張って働いていると少しずつでもやがて大きな貯金が貯まっているのと同じイメージです。健康もお金も「アリとキリギリス」のアリさんが正解のようです。
この腎に蓄えられるエネルギーを腎精と表現します。腎精は浪費でも減りますが、加齢でも減っていきます。
腎精の加齢による変化は、男性は8歳ごとに女性は7歳ごとに変化すると2000年以上前に書かれた黄帝内経という書物に書かれています。
この腎精の減りが早いと老化が早くなり、腎精をチャージし続けられると老化は遅くなります。
あなたの腎精チェックしよう
[男女共通]
1.以前に比べて疲れやすい
2.やる気が出ない、意欲がない
3.白髪が目立つ、ハリがない
4.歯のトラブルが多い(抜ける、出血、歯周病)
5.肌が乾燥しやすい
6.腰痛・膝痛がある
7.難聴・耳鳴り、聞こえにくいなどを感じる
[男性]
8.昔より寒さが気になる、特に足や腰が冷える
9.朝立ちがしなくなった、勃起力が弱ったと感じる
10.夜中にトイレに2回以上行くことが多いと感じる
[女性]
8.上半身はのぼせるのに下半身は冷える
9.生理が無くなった(閉経)
10.落ち込みやすい、漠然とした不安感がある
3つ以上当てはまる方は腎精が不足してきています。老化が早まりますよ!
平均寿命は男性が81.47年、女性が87.57年となり世界一長い日本人ですが、健康寿命はというと男性が72.68年、女性が75.38年となっています。
寝たきりで生きていても楽しくありませんよね。出来るだけ腎精を蓄えて老化を遅らせ死ぬまでピンピン元気で過ごしましょう。
女性のカラダが7歳ごとに変化すると書かれた黄帝内経が出来たのは2000年以上も前です。その頃からすでに腎精の変化が老化に影響すると考えていたのはすごいことですが、当時の女性の寿命は今よりもっと短かったため49歳で記述が終わっています。人生100歳と言われる現代では、腎精を浪費しないよう心掛け、もっともっと腎精を補って老化を遅らせ健康寿命を長くしましょう。
腎精を浪費しないためには、からだを冷やさないこと、過労、ストレス、睡眠不足は避けること、そして腎精をチャージするには健脾が大切。脾の働きが健やかなら、飲食から後天の精をたくさん作ってチャージ出来ます。
脾の働きを健やかにするためには、暴飲暴食、偏食を避け、お腹を冷やさないように心掛け、温かくて消化に良いものを食べるようにして、湿を溜めないこと。健やかな脾胃は良い腎精をたくさん作る工場なのです。
京都伝統中医学研究所の"大雪におすすめの薬膳茶&薬膳食材"
1.「温陽補腎」の薬膳茶&食材
温陽を補い気血を巡らせるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「気血巡茶」など
薬膳食材では、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「蓮の実」、「松の実」、「マイカイ花」、「桂花」、「茉莉花」、「紅花」など
薬膳鍋セット「薬膳火鍋紅白スープセット」、「手足冰凍改善鍋」、「冬の美薬膳鍋」、「四物鍋」は、薬膳食材もセットになってお得です。
腎を補い働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「肝腎かなめ茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「からだを温める黒のお茶」など
薬膳食材では、「黒きくらげ」、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「金針菜」、「紅花」、「マイカイ花」など
2.腎精を補う黒い食べ物…「黒きくらげ」が手軽でオススメ
薬膳食材で黒い食べ物と言えば「黒きくらげ」。黒きくらげは免疫力を高め、血を浄化する働きがあるとされ古くから食べられてきました。
また黒きくらげにはビタミンDが豊富に含まれており、日本食品標準成分表(文科省)によると乾物キクラゲ100g当たり128.5マイクログラムで食品の中ではトップクラスです。ビタミンDは感染症の予防にも効果的だと証明されています。
黒きくらげは、苦みや臭みなどがなく、どんな料理にも使える常備菜ですが、これからの季節はさっと洗っていつものお鍋に投入するだけで薬膳鍋に早変わり。子どもたちには水で戻して細かく刻んでハンバーグや餃子、鶏肉団子などに混ぜ込んじゃえばOK!
最近の研究では、感染症患者の血中ビタミンD濃度が著しく低いことが研究の結果証明されています。WHO(世界保健機関)でも、上気道炎の予防にビタミンD摂取を推奨していますが、ビタミンDには免疫作用があり感染症に効果的だということが研究で確認されています。インフルエンザなどもまた流行の兆し、感染症の予防にも効果的。
3.漢方入浴剤 ヨモギがたっぷり入った「ポカポカあたため乃湯」もこの季節の養生にオススメ。ヨモギの香りが浴室いっぱいに広がり、香りに癒され芳香浴の効果も抜群です。ヨモギは昔から冷えを取る「婦人科の要薬」として女性の血の道証のさまざまな症状改善に使われてきました。
中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材専門店 京都 楽楽堂
https://www.kyotorakurakudo.com (ただいま開店準備中)
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/
中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
次回は、12月22日「冬至」ですね。もう自然界の気は陰が極まり、一陽来復。師走で一番忙しい時期ですが、くれぐれも事故やケガの無いよう気をつけてお過ごしください。
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