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二十四節気の養生法【2022 立冬】

 いよいよ冬のはじまりですね。本格的な冬の寒さはもう少し先で、これからいよいよ錦繍の秋が深まり山が紅葉に色づく頃です。
一番自然の移ろいを感じられる季節ですかね。ココロもカラダも本格的な冬が来るのに備え、大切な気を漏らさないよう気をつけ、今の間にしっかり正気を補充しておきましょう。

今月の癒しの庭園 南禅寺「虎ノ子渡しの庭」

 今回の庭園は、南禅寺方丈庭園「虎ノ子渡しの庭」です。東山にある710年余り前に創建された臨済宗の大きなお寺です。このお寺も若い頃から何回も前や横を通ってきましたが、改めて中に入るのは久しぶりです。

 この門をくぐって左側に続く道は、東山高校や永観堂に繋がり車でも通れる普通の道路なので、普段でもたまに通ります。
左に曲がらずまっすぐ進むと有名な三門があります。膝ぐらいまである敷居をまたいで三門をくぐります。

 現在の三門は1628年(394年前)に藤堂高虎が再建したもので「天下竜門」とも呼ばれ日本三大門の一つとなっています。

 三門に上がると、石川五右衛門のように「絶景かな、絶景かな!」と叫びたくなるほどに京都市内が一望されます。

 こちらは東山から北山を望みます。境内のもみじも少しずつ色づき始めてきた感じです。真っ赤に染まるのはこれからですね。

 山門をくぐって右手に巨大な灯篭があります。今までに見た中で最も大きな灯篭ですが、これも1628年に三門が落慶した際に奉献されたそうで、400年近くも倒れずすごいですね。高さが6メートルもあって東洋一だそうですが西洋に灯篭があるんかな?世界一でいいような…!?
 法堂はたびたびの火災などで焼失し、現在のものは1895年(明治28年)に再建されたそうですが、天井には禅寺の象徴ともいえる竜の絵が描かれています。

 方丈に向かって進むと右手にレンガ造りの疎水が見えます。
1890年(明治23年)につくられた琵琶湖と京都を結ぶ水路で、今も水路の上を水が滔々と流れ京都市民の生活水源として利用されています。

 そしてようやく国宝の方丈に到着。大きな屋根です。

国宝 大方丈

 1611年(411年前)に御所の建物を遺構再建されたそうですが、たくさんの部屋がありその襖には狩野派の絵師による障壁画が飾られていますが(現在公開されているのはデジタル復元されたものです)、建物内部は撮影禁止ですので、ぜひお越しいただいて実物をご覧になってください。虎の襖絵など本当に壮観で見応えがありました。

方丈の前に広がる虎ノ子渡しの庭

 小堀遠州作と伝えられる「虎ノ子渡しの庭」。虎に見立てた岩が配され、親虎が子虎を連れて川を渡っているイメージだそうです。正面のもみじも色づき始めていますが、真っ赤になるととても綺麗でしょうね。
 やはり枯山水の庭園は、侘び寂びを感じ、心が癒されます。
豪華なものや華やかなものも良いですが、質素やもの静かさに囲まれてひっそり暮らしたり、季節の移ろいから儚さを感じることなどで、心の充足を感じることが日本の美意識や文化なのでしょうね。

 奥の小方丈は1624年頃の建物で伏見城の遺構を移築されたもので、小さなスペースに「蓬莱神仙庭」(左)、や「鳴滝庭」(右)が配され、こじんまりとしていますがキレイにお手入れされています。

鬼瓦や巨大な硯?もオブジェのよう

 本当の自分とは何なのかを知るためには、心を窮めていかなければならないという意味の込められた茶亭「窮心亭(きゅうしんてい)

独特の風情を醸す南禅寺垣
両側を庭園に挟まれて続く回廊
途切れることなく続くせせらぎの音に癒されます。 
色づき始めたもみじ
まだまだ青いもみじとのコントラストもキレイ

 朝晩は気温もだいぶ下がってきましたが、京都では日中はまだまだ20℃を上回る日もあったりして冷え込みはそれほどでもなく、紅葉ももう少し先のようです。真っ赤に燃えるように染まるのは今月後半から12月初めぐらいでしょうかね。
 皆さまの地元でも少しづつ紅葉が始まっているでしょうね。日本人には当たり前の季節の移ろいですが、是非自然の移ろいを感じて天人合一してください。わざわざ出かけなくても普段通る道すがらに色づき始めた紅葉から侘び寂びを感じることでも、少しストレスを癒してリフレッシュ出来ます。

立冬の養生法

 冬の最初の節気。11月7日から11月22日(小雪の前日)までの2週間が「立冬」です。暦便覧には「冬の気立ち初めていよいよ冷ゆれば也」とあります。いよいよ冬のはじまりですね。本格的な冬の寒さはもう少し先で、これからいよいよ錦繍の秋が深まり山が紅葉に色づく頃です。
 冬になると、植物は葉を落とし春までエネルギーを幹に溜めて浪費しないようにし、動物たちも食料が手に入りにくい冬を生き延びるために無駄なエネルギーを使わないように冬眠して過ごすなど、すべてのものがじっとしてエネルギーを蓄える季節です。

冬の象形文字

腎精を消耗しないように心掛け「温補腎陽」する

 中医学では、冬は気持ちを外に出さずひそかに暮らすことが大切と考えます。新しいことを始めるのも控え、春に向けて「」気を蓄えることが大切です。
 人の生命力をコントロールしている根本は腎陽腎陰ですが、さらにその元になっているものは腎精という生命エネルギーです。成長・発育・成長・老化などはこの腎精が影響します。自分のカラダから腎陽の精気を漏らさないよう心掛け、出来るだけ補温することが厳しい冬を乗り切るために大切なのです。

 またアンチエイジングしたければ、補腎して腎精を消耗しないこと。
冬は「」が活発に働く季節ですが、毛穴を閉じて汗をかかないため水分代謝が腎に偏り負担がかかるため傷みやすくなる季節なのです。
特に寒邪(冷え)が苦手なので冬は余計に腎を傷めやすくなります。
ですので冬の養生法は「温補腎陽」が基本となります。寒邪の侵入を防ぎしっかり温めて冷えから腎陽を守り、そして腎陽を消耗しない養生法です。

女性は7歳ごと、男性は8歳ごとに変化する

 中医学では男性は8歳ごとに、女性は7歳ごとにカラダが変化すると考えますが、これは「腎精」の成長や老化による増減の変化によって変化することです。アンチエイジングは、中医学的には腎精を消耗させないよう心掛け、絶えず腎を補うことなのです。いくら外側から高級な化粧品を塗っても、腎精を消耗することをして入れば老化が早まりますよ。

温補腎陽の養生法

❶.徹底的に冷えからカラダを守る
  外出するときは防寒服にマフラーや手袋、レッグウォーマーなどで3つの首と首の付け根の大椎、腰の腎兪あたりやおへその下の丹田(関元)と言うツボをカイロで温めるとかなり保温できます。出来れば腹巻もしてお腹と腰を温めましょう。

ツボを推して気血を巡らせたり、カイロで寒邪の侵入を予防する

❷.カラダの内側からも冷えを防ぐ
 内側からの冷えは脾陽虚、肺陽虚、心陽虚、腎陽虚の4パターンあります。お腹が冷える、胃痛、下痢、軟便などは脾陽虚、冷たいものや生ものを控え、スープやお粥などでお腹を温めること。朝食抜きは冷えの元です。
前回(2022霜降)の「子午流注」でも話しましたが、脾胃は午前7時~11時に最も活動する時間です。この時間に空腹なままでいるとどんどん脾胃が弱り気血が作れなくなり、気虚や血虚体質になっていきます。お味噌汁やスープだけでも飲んでお腹を温めて出かけましょう。
 息切れや咳、顔色が青白い、風邪をひきやすいなどは肺陽虚、冷たい空気を吸い込んで肺を冷やさないようにマフラーやマスクなどで肺を冷気から守ること。
 胸痛、動悸、息切れ、手足の冷えなどは心陽虚、心を養い軽い運動や足湯などで血行を促進すること。
 腰痛や腰の冷え、頻尿、めまいなどは腎陽虚、カイロで腰を温め足湯やお風呂でしっかり温まること。
逆に冬でも私はあまり冷えない、むしろ熱い…なんていう人は腎陰虚です。腎陰が不足しているため陽が強いと感じて熱っぽいのです。
腎陽も腎陰もバランスが大切です。症状から自分の弱い五臓や陰陽を知り、その臓腑陰陽を補う養生法を行いましょう。 

❸.腎を補い、温陽を蓄えることを常に意識する
 寒邪(冷え)の他に過労、夜更かし、房事過多、偏食(生食や冷食)を避けを傷めないように心がけ、腎を補い温陽を蓄える食べ物でしっかり補いましょう。また、腎は「驚く」や「怖い」などの感情でも傷みますので、ジェットコースターなどの怖い乗り物やホラー映画などは腎が弱って老化が進みますよ。
 ココロを鎮めて穏やかに過ごすことが腎精を補いアンチエイジングにつながります。中国には「天寒、暖身、先暖心」という言葉があり、寒い時はまずココロを暖めるとカラダも暖まるということだそうです。ほのぼのと温かいココロで過ごすとカラダも温まり、老化も防げますよ~♪

❹.外から帰ったら、冷えたカラダを温めよう
 外で冷え切ったカラダは、外出から帰ったらしっかり温めて補温しましょう。漢方薬を配合した入浴剤や足湯でもしっかり温まります。
美容やアンチエイジングのために面倒がらずにやりましょう(^^♪
高級な化粧品よりずっと効果的です!
夜に寝る前にしっかり温まって寝ると、寝つきも良くなりますね。

京都伝統中医学研究所の"立冬におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「温陽」徹底的にカラダを温める薬膳茶&食材を!

 まずは腎陽を減らさないこと、そしてしっかり補うこと。長時間気温の低い外気に触れているとカラダはジンジン冷えていきます。長時間外に出かけるときや、帰宅が遅くなる時は完全防備で出かけましょう。そして温かい飲み物で「」を補給。
また「」は温煦と言ってカラダを温める作用があります。気血を補い、全身に「」を運ぶ巡りを良くすることも大切です。  
温陽を補い巡らせるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「気血巡茶」など。
薬膳食材では、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「蓮の実」、「松の実」、「マイカイ花」、「桂花」、「茉莉花」、「紅花」などがオススメ。 
お鍋が美味しい季節になりました。
本格火鍋をご家庭でも楽しめる「薬膳火鍋」、「手足冰凍改善鍋」、「冬の美薬膳鍋」、「四物鍋」は、どれも薬膳食材もセットになっているのでオススメです。あとはお好みのお肉や魚介類を加えてお楽しみください。

 2.「補腎」腎を補うための薬膳茶&食材

 腎を補う食材は、黒い食材鹹味食材。黒きくらげ、黒豆、黒米、黒ゴマ、黒酢、黒砂糖など黒い食材は腎を補う食材。
 鹹味は塩辛いという意味ですが精製塩ではなく、魚介類、海藻類など天然の鹹味で補給。牡蠣、ホタテ、アワビ、ナマコ、イカ、エビなどは平性または温性ですが、タコやカニ、アサリ、シジミ寒涼性で冷やす作用があるので生で食べ過ぎないように。昆布、わかめ、ひじき、海苔などの海藻類も寒涼性なので冷え性の人は必ず温かく調理して食べましょう。 
自分の今の体質に合わせて、それぞれの食材が持つ性味・帰経を選んで食べることが大切です。
腎を補い働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「肝腎かなめ茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「からだを温める黒のお茶」など、
薬膳食材では、「黒きくらげ」、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「金針菜」、「紅花」、「マイカイ花」などがオススメ。 

3.漢方入浴剤

 ヨモギがたっぷり入った「ポカポカあたため乃湯」がオススメです。浴室いっぱいにヨモギの香りが充満し癒されます。

薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材専門店 京都 楽楽堂
https://www.kyotorakurakudo.com (ただいま開店準備中)
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/

 中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

 次回は、11月22日「小雪」ですね。いよいよ紅葉も進み「錦繡の秋真っ盛り」でしょうね。
日中は気温も上がり過ごしやすいですが、朝晩はグッと冷え込んできますので、くれぐれも体温管理に気をつけてお過ごしください。 


 

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