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オーバーン大生と一緒にPrimitive Hut(原始的な小屋)を作りました!

みなさん、こんにちは。広報グループのGです。
10月になり、すがすがしい青空が広がり、やっと秋らしくなってきました。

先週のキャンパスは、あちこちに小屋が建っていることに気づきましたでしょうか。
それは、建築コースの学生とアメリカのオーバーン大学の学生が共同で作ったPrimitive Hut(原始的な小屋)でした。

10月2日から6日までの週に、Primitive Hut Revisited: 21st-century follies with “cladding”と題しての共同プログラムが行われました。

Primitive Hutとはなにか、オーバーン大学のキム先生に話を聞いてみました。

Primitive Hutは、建築とその実践の起源を探るコンセプトであり、18世紀にフランスの建築家マルク・アントワーヌ・ロジエ(Marc-Antoine Laugier)によって理論化されたそうです。 
ロジエ、典型的な建築には主に自立柱、水平梁(エンタブラチュア)、単純なペディメント(傾斜屋根の三角形の端)の三要素だけが必要であり、建築はもう一度原点に立ち戻って再考されるべきだと主張していました。このとき理想的な建築の原点として示されたのが「Primitive Hut」(原始的な小屋)です。

なるほど!面白そうです!

今回、オーバーン大学の学生12名が来日し、デザイン学部建築コースの学部生27名と、デザイン研究科建築専攻の1年生5名が一緒にこのプロジェクトに取り組みました。

今回のプロジェクトの課題は、三つの条件を満たしたPrimitive Hutを作ることです。
・15mm×1820mmの柱を使う
・手作りの麻ひもを使う
・キャンパス内の自然素材で屋根等の外壁を作る

作業は、オーバーン大学の学生と、京都精華大学の学部生・大学院生1名が混在する、6チームに分かれて行いました。京都精華大学の学生の中にも、中国や韓国、台湾、アメリカからの留学生が多数います。このような日本人学生、留学生、オーバーン大生の混合チームで、小屋のコンセプトやそれに合わせた場所について、国籍も言語もごちゃ混ぜで早速ブレーンストーミングが始まりました。

次に、キャンパスを歩き回って、木の枝や葉っぱ等を集めて、身近にある自然素材で原始的な小屋づくりに取り組みます。

小屋作りの様子

心配していた言語の壁も、ジェスチャーを使ったり、使える単語で会話に挑戦したりして、お互いに笑顔で乗り越えていました。同じ作業に取り組んでいると、自然と心が通じたそう。

明るい笑顔を見て、思わず「メラビアンの法則」を思い出しました。メラビアンの法則によると、視覚・聴覚・言葉の内容のうち、聞き手に最も大きな影響を与えるのは視覚であるということです。態度や仕草が言葉以上に影響を与えますので、笑顔やあいさつは万国共通だと改めて思いました。

オーバーン大学のキム先生は作業の様子を見ながら、「価値観も発想も違う人たちとのコミュニケーションは苦痛を伴います。しかし、とことんぶつかることでストレス耐性も生まれます。チームメンバーとのディスカッションで、チームの中で自分の役割を見つけます。このような体験が学生を成長させます。来年もまた共同プロジェクトを行いたいですね。」と期待を込めて語ってくれました。

ディスカッション中のキム先生と学生

最終日の講評では、各チームはまず英語、そして日本語で小屋作りのコンセプト及び使い方についてプレゼンテーションをして、教員たちのコメントを受けました。

多くの人に休憩場所として利用してもらうため、既存の陶芸作品を活用しながら、ほとんどの学生が通る道に建てられた「Rest for Meiro」。ミニチュアフォレストをイメージした色鮮やかな樹間と静寂な雰囲気に包まれた「A Pocket Forest」。木組みの枠の土台に屋根を葺き、「わびさび」という美意識を反映している移動できる「Green Movable Box」など、多様な作品が完成しました。

「Rest for Meiro」
「Looking Up」
「A Pocket Forest」
「Green Movable Box」
「Spider Web」
「Contrast」

それぞれ特徴がありましたが、垣間見える自然への愛があふれ出てくるのだと、学生たちの発表と先生の講評を聞いて思いました。

プロジェクト終了後の小屋をどうするのか、建築コースの葉山先生に尋ねたら、木の枝や葉っぱを元の場所に戻して、柱は木のおもちゃにして子供向けイベントで活用すると教えてもらいました。
学生はこのプロジェクトを通じて、設計から施工まで一貫して作っていく貴重な体験ができただけではなく、自然との関わり方についても学んだのではないかと思います。

講評会後に懇親会が行われました。一週間のプロジェクトに取り組んできた仲間たちはすっかり友達になって、楽しい雰囲気の中で様々な情報交換をして、大変盛り上がりました。

懇親会

「このプロジェクトを通じてたくさんのことを学びました。同じものを見ても、日本人とアメリカ人、中国人では考え方、感じ方が異なることがあると知りました。疑問に思ったことを仲間たちと共有することで、お互いが深く知り合うことができ、視野が広がっていきました。来年も同じようなプロジェクトがあったら、ぜひ参加したいです」と大学院一年生のシン シコウさんがはじける笑顔で語ってくれました。

今回のプロジェクトで楽しそうに小屋作りをしている学生たちの姿は大変刺激的でした。
大学には、国籍を超えての交流や、やりたいことや新しいことが見つけられるチャンスがたくさんあります。これからも、皆さんが新しい経験をして成長するのが楽しみです。