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眼鏡だったか、ヌートバー!

WBCで優勝した侍ジャパンの一員ラーズ・ヌートバー選手。彼について書いた前回の記事の「予想」は半分当たりました。
ヌートバーのCMは近いうちに見られるのではないか、2009年のWBC優勝時に活躍した岩隈選手は大会後1ヵ月でCMが放送されたので、早ければ4月中に再び彼の笑顔に再会できるのでは?と書いた私。この予想はビンゴ!

ですが、広告主はハズレ。Zoffときましたか。眼鏡メーカーは想像もしませんでした。YouTubeで先行公開されたCMは米国で撮影されたそうで、彼が町を歩いていると何人もの通行人から「ヌート!」と声をかけられる(その中にお母さんが混ざっているのが隠し味)というもの。最後はお得意のペッパーミルポーズをしながら「行ってきます」と日本語で言うシンプルなストーリー。「ヌート」は彼の米国でのニックネームで日本人にはなじみがないのですが、ここでセンスのない広告屋なら通行人に「たっちゃん!」と呼ばせたかったはず。そうするとCMの印象が一気にベタになって商品まで安っぽく見えてしまいます。なので「ヌート」で良かった。このCMの放送は4月27日から。駅貼りのポスターなども出るかな?楽しみです。

普通、タレントのキャスティングは商品や広告のアイデアが先にあって、それにフィットするタレントを探すという流れで決まります。公式サイトを見ると、ヌートバーの代名詞「ペッパーミル」に引っ掛けて「見る」、だからの眼鏡CM起用ということのようですが、これはどう見ても後付けの理由っぽい。広告のコンセプトより何より、まずヌートバーの起用ありきのキャスティング先行案件だったのは間違いないでしょう。

WBCが始まってヌートバーという日系選手が注目を集めた。ルックスは悪くないし明るいキャラクターもいい。何よりこれまでほとんどの日本人は知らなかったという点でフレッシュなのも最高!こいつはCMに使えないかと広告関係者は考えるでしょう。ただ、3月の時点で4月からのキャンペーンに起用しようと考えた企業はあまり(いやほとんど)なかったと思います。現実的に考えれば非常識なくらい厳しいスケジュールです。

それをものともせず、Zoff担当の広告代理店はしっかりヌートバーとCM契約を結び、大急ぎで撮影の段取りもつけて、1ヵ月以内(おそらく「とりあえず」のヌートバーの賞味期限)の放送開始を実現してしまった。前回記事の岩隈のCMは、相手が日本人で撮影は国内、それでも1ヵ月というのは超タイトです。それを外国人相手に米国での撮影ですよ。もちろんCMだけでなく販促グッズの制作やポスターなどの印刷も同時進行です。これ、ムチャクチャに凄いことです。舞台裏を想像しただけで胸が熱くなります。話をつけた時期はWBCの東京ラウンドで彼が日本にいた間と思われますが、ヌートバーはエージェントがいないので直接交渉したのか、やはりWBCの広報を通じて話を通してもらったのか、呼び屋としては気になるところです。

それにしてもヌートバー、その後どこかの芸能事務所と契約したのでしょうか。残念ながら大手の仕事が少ない私にそんな噂は流れてこないのですが、森永製菓とも契約したそうなので、スポーツマンや文化人に強いホリプロあたりが押さえたのではと睨んでいます。メジャーリーグのシーズンも始まり、野球に集中したい時期にいちいち広告会社と契約関係でやりとりするのは大変。米国のエージェント会社でもいいですが、彼に接触したがるのはほとんど日本企業でしょうから日本の芸能事務所にマネージメントを頼むほうがベターです。

ただ、ヌートバーはまだまだこれからの選手。メジャーでスターになるか、伸び悩んでマイナー落ちするかは誰にも分かりません。後者ならあっという間に忘れられて「あの人は今どこに」な存在になる可能性もあります。スポーツ選手の広告起用を考える際、大谷やダルビッシュのように盤石の実績と知名度を築いていれば問題ないですが、若手はフレッシュさと将来の不透明さが背中合わせなのがの難しいところ。なので、使うなら今しかない、というのが広告屋の心境のはず。「とりあえずの賞味期限」などという失礼な言葉を使ったのはそういうわけで、他意はありません。

で、今私が予想しているのは・・・
「ヌートバー、紅白歌合戦の審査員に呼ばれるんじゃね?」

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