京都自死・自殺相談センターSotto設立10周年リレーコラム 第3回(リメンバー名古屋自死遺族の会共同代表 野村清治)
私たちは、認定NPO法人京都自死・自殺相談センター Sottoです。
京都で「死にたいくらいつらい気持ちを持つ方の心の居場所づくり」をミッションとして掲げ活動しています。
HP: http://www.kyoto-jsc.jp
note: 改めまして。Sottoってどんな場所?
今年で京都自死・自殺相談センターSottoは設立10年目を迎えます。
10周年という節目にあたって、Sottoを様々な形で支えてくださってきた理事の方にリレー形式で、Sottoへの想いをコラムにしていただくという企画を今回からスタートします。
一口に理事と言っても、お一人お一人様々な背景を持ち他団体で活躍されている方も多いので、多様な視点からSottoという団体について改めて浮き彫りにしていただければと思います!
前回はコチラ→京都自死・自殺相談センターSotto設立10周年リレーコラム 第1,2回
第3回(リメンバー名古屋自死遺族の会共同代表 野村清治)
振り返ってみると、2010年2月に聞法会館で行われた―まだ名前のない―Sotto の立ち上げシンポジウムに、現代表の竹本さんと一緒に登壇させていただいたのが、最初の大きな関わりでした。
当時は、自殺対策基本法を受けて「自殺防止」が盛んに叫ばれていた時期でした。
自死を防止=防ぎ止めるべき対象として、拒絶し、撲滅していこうという流れに違和感を抱き、必死に抵抗していた時期でもありました。
「自殺防止」につき進む世の中に、どんなに心から叫んでも通じないことに、何度も心が折れ、疎外感を募らせていました。
そんな中、Sotto は「自殺防止」センターではなく、「自死・自殺相談センター」という看板を掲げることになりました。
少しほっとし、共感してくれる人がいることに救われた気持ちになったのを覚えています。
「相談」という言葉から、「どうやって自死したらいいのかを相談する場所?」と皮肉られたこともあったかと思います。
しかし、そんな話でさえ否定せずちゃんと聞く場所であると、勝手に理解しています。
あれから10年が経ちました。
世の中で大いに認められ、脚光を浴びる活動というわけではありません。
活動の成果もとても見えにくいものでもあります。
嬉しいことよりも、しんどいことの方が多い活動ではないかと思います。
それでも、10年間続けてこられたセンターのみなさん、共感し支えていただいた方々に敬意を表し、感謝したいと思います。
最後に告白するならば、「拒絶」とは、かつて自分自身が、身近で自死した者がまだ生きて苦しんでいる時に、とった態度に他なりません。
自死を、「あってはならないもの」として拒絶・否定する―かつての自分自身のような―世間がある一方、その価値観によって、より疎外感を感じるのは、現に苦しんでいる人であり、自死の遺族のように思います。
その人に生きていてほしいという願いと、死にたいという当人の思いは、拒絶・否定によって繋がりあう道は閉ざされ、離れていくばかりなのでしょう。
ソット傍らに居続けることは決して楽な、簡単なことではありません。
それでも、何もできなくても、誰かがそこに離れず居てくれる―Sotto が、そんな存在として、これからもあり続けることを願っています。
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