京都自死・自殺相談センターSotto設立10周年リレーコラム 第1回(まちとしごと総合研究所 東信史)・第2回(曹洞宗総合研究センター 常任研究員 宇野全智)
私たちは、認定NPO法人京都自死・自殺相談センター Sottoです。
京都で「死にたいくらいつらい気持ちを持つ方の心の居場所づくり」をミッションとして掲げ活動しています。
HP: http://www.kyoto-jsc.jp
note: 改めまして。Sottoってどんな場所?
今年で京都自死・自殺相談センターSottoは設立10年目を迎えます。
10周年という節目にあたって、Sottoを様々な形で支えてくださってきた理事の方にリレー形式で、Sottoへの想いをコラムにしていただくという企画を今回からスタートします。
一口に理事と言っても、お一人お一人様々な背景を持ち他団体で活躍されている方も多いので、多様な視点からSottoという団体について改めて浮き彫りにしていただければと思います!
第1回(まちとしごと総合研究所 東信史)
10周年を迎えて
私のSottoとの出会いは、京都市が実施するプログラムでの「活動の伴走者」でした。Sottoから「より活動を広げ様々な方と連携していくには?」という相談に対し、改めて活動の始まりや、運営メンバーの皆さんの想い、そしてアクションについて伺いました。
話を聞き、団体として「自死・自殺にまつわる苦悩を抱えた方の心の居場所づくり」を行ってこられていましたが、僕にはそこから見つかった「他者とのコミュニケーションのあり方」や「いきやすさとは何か」ということも、Sottoの価値のように感じました。
ボランティア養成講座で学べる、スタッフの皆さんが大事にしているコミュニケーション方法、各活動のなかで出会える他者の価値観。1つ1つの場に多くの人が学び、理解し合う機会がある活動だと思いました。
当初の「連携していくには?」という問いの答えは、まだまだ探しているところですが、どんな団体や組織、そして個人の方でも、Sottoのみなさんに出会い、話を聞いてもらう機会があれば、少し心が軽くなるのではないかと、そんなふうに思います。
そして、その気持ちで自分の周りの世界を見聞きすれば、色んなものが見えてくるような気がします。そんなSottoの10周年を祝うとともに、いままさに不安が世界を覆う中だからこそ、様々な人たちと手を取り合い活動を続けて欲しいと願います。
第2回(曹洞宗総合研究センター 常任研究員 宇野全智)
私は全国に約1万5千ヵ寺ある「曹洞宗」という仏教教団の本部で研究員をしています。
研究テーマは「現代社会における寺院の役割」で、お寺や僧侶が、この時代のこの社会でどんな役割を果たすことが出来るのかを、主に実践活動を通じて模索し、各地の僧侶に提案するような仕事です。
Sottoとの出会いは、代表の竹本さん達と「教団付置研究所懇話会」という宗教・宗派を超えた研究会でご一緒し、「自死」の問題についてみんなで考え、行動していこうと研究グループを作ったことに始まります。
その後曹洞宗でも、僧侶や寺族(主に僧侶の家族)向けの研修会・講演会などを開催し、自死の問題に関する活動に取り組んできましたが、Sottoの講師陣にも「出前研修」で東京に来ていただき、講義や模擬ロールなどを通じて学びを深めて来ることが出来ました。
自死の問題に関わるとき、仏教者としての視点から見ると一度は大きな矛盾にぶつかります。
それは、人間は誰しも遅かれ早かれいつかは必ず死んでいかなければならないという宿命を背負っているという、仏教が根本に据える課題に由来します。
「四苦八苦」に代表される「思い通りにならない事」の最たるものが「死」という、誰にでも必ず訪れる現実です。
そしてどんな場合においても「死」は、善悪でも勝敗でも価値づけられるものではないはずです。
「どうして死んではいけないの?」という問いに対する答えがもしあるとすれば、「一日でも長く生きる事」に価値があるという思い込みから離れる必要があります。
ただ闇雲に発せられる「命は大切だから、自殺をしてはいけない」という言葉に乱暴な印象を持つのは、仏教者としては当然なのかもしれません。
その点、Sottoの理念は実にシンプルです。
「ひとりぼっちにしない」「そっと寄り添う」という姿勢は、自殺の数を減らすというよりも、今のその人をホッとさせることに視点が向いています。人と人との温もりある触れ合いを通じて、一人でも多くの方に「心の居場所」を感じて頂けるよう、これからも一緒に活動していきたいと願っています。
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