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いま、コーチングを通して学生たちに伝えたいこと:【カツコチ】Behind the Scenes of “シンイチさん就活体験記”

きょうも楽しんでますか?「きょうとあした」代表の「たかコ」こと、どいたかふみです。コはコーチのコですW 

就活コーチング「カツコチ」は、おかげさまでスタートから10ヶ月を迎えました

2021年12月31日現在で、継続クライアント学生37名、完全無償ボランティアによるコーチング累計セッションは230時間を超えました。賛同してくれるプロフェッショナル・コーチ陣は11名、カウンセラー1名、学生事務局1名体制となり、益々元気に楽しく運営できていること、みなさまにこころから感謝申し上げます。

きょうは、ひとりのカツコチ1期生の就活完了を祝して、心を込めて振り返り記事を書きました。改めて、コーチングとの出会い、仲間との出逢い、そしてクライアントの皆さんと過ごした時間にたくさんのありがとうを!2021年の締め括りに、この記事をみなさまにお届けできることが何より嬉しいです。

それではいってみましょう!

神話の起源

12月のある朝、就職活動を終えたカツコチの1期生・同志社大学4年生のシンイチさん(仮称)から就活体験記が届いた。時間をかけてじっくり紡いでくれた「生の声」が嬉しい(以下のリンクから体験記ご参照)。

シンイチさんらしい素直さ溢れる瑞々しい文章に思わず微笑むたかコ。すぐにいつものLINEで御礼と同時に追加インタビューへのお誘い連絡を入れる。

待ちきれずに心が躍ってワクワクしていた。このストーリーの裏にあるコーチングの文脈と、シンイチさんの内発的動機や在り方の変容に纏わるエピソードに迫りたい。これは、シンイチさんにとってのたいせつな<気づきと行動変容の物語り>であると同時に、たかコのコーチ人生にとって、そして「カツコチ」のプロジェクトチームにとって、なにものにも変えがたい宝物のようなプロセスの記録、そうまさに「神話の起源」なのだ。

手探りのなか、飛び込んだ初回セッション

いちばん印象に残っているセッションは、やはりなんといっても初回セッションです。大袈裟ではなく、人生変わったと思っています。

インタビューのはじまり、シンイチさんの声は少し弾んでいた。サークルの同期から「カツコチ」の案内を受けて、緊張と不安のなかZoomに入ったと言う。かくいうコーチの側も、実はこのセッションは特別だった。なにせ、たかコがコーチングの道を志して、ICF(国際コーチ連盟)認定のコーチング資格講座に入る以前の、まさに人生最初のコーチング・セッションだったのだから(もちろん素人無免許運転でのプロジェクトスタートを自己開示した上ですのでご安心をW)。

総合商社へのあこがれを持ちながらも、エントリーを始める前から諦めていた自分に明確に気づいた感覚が忘れられません。たかコと話すうちに、「自分にもできるかもしれない、限界を決めずに就職活動に挑戦したい」という思いが一気に沸きあがってきました。

たかコは、コーチングに関しては駆け出しの素人だったけれど、これから社会に出る学生に対して、「ワクワクする仕事に全力で取り組むことの素晴らしさを伝えたい」という思い入れは、ずっと誰よりも強いものをもって生きてきた。その思いがほとばしる・溢れ出す感覚があった。だから自分は、カツコチをはじめたいんだ!そう叫び出したいような衝動があった。

未来の自分の可能性を信じきることができるか

「6月の自分が、どうやって笑っていられるかを考えるようになりました」

その頃はまだ、たかコは「バックキャスティング」と言うことばは知らなかったけれど、シンイチさんには既にそれが起きていたらしい。つまり、まず最初に「なんだか自分にもできそうな気がしてきて」、その次に「6月に笑っている自分をイメージ」した、と言うのだから。あとは、「理想と現状のギャップを埋める行動を習慣化」すれば、それこそがコーチングの基本ステップだ。

商社や金融、メーカーのOB/OG訪問を紹介されたとき、正直全く準備が整っていなくて、自分はアポ取りのメールがなかなか出せずにいました。その時、たかコにこう言われて、目が覚めました。

「人生で、ほんとうの意味で準備が整うことなんてないよ。たいてい整ったときには既に遅すぎてチャンスは逃げている。だから、〈迷ったら行け、そこに出会いがある〉自分の可能性を閉じるのは、自分以外には居ませんよ」

誰しも、最初は未知の世界に飛び出す勇気なんて持てないし自信なんてない。たかコは、むしろ自信なんて、<ないくらいでちょうどいい>と思っている。慢心や油断の弊害、或いは、自信を持たなければならないという「べき論」の呪縛を見つめれば、<自分に自信がない状態に気づき、そこから逃げ出さずに、常に謙虚で居続けること>はとてもたいせつなことだと人生を通して学んできた。

ほんとうに必要なのは「自信」ではなくて、「自分の中にある、無限の可能性を信じること」、つまり積極的に高めたいのはEfficacy(エフィカシー):「自己効力感」の方だ。シンイチさんが自分自身を探究し、まさに日替わりで変容していく姿は、駆け出しのコーチであるたかコに、自分の信念や価値観に照らした「コーチとしての在り方」=たかコのコーチングスタイルへの確信を与えてくれた。

6月の総合商社への挑戦から得たもの

できる準備は全部やって、集中して面接に臨むことができた。そのことを誇らしいと思っています。そして、総合商社は残念な結果でしたが、一方で当初は到底歯が立たないと思っていた大手専門商社からの内定を得ることができました。商社ビジネスへの憧れや、商社マンになりたいという内なる思いを、かき消さずに丁寧に聴いたことで、自分の限界を、自分自身で超えた実感があります。

コーチングにおける目標設定は、「現状の延長線上で100%努力すれば出来るであろうこと」よりもさらに遠くに置くのが効果的と考える。つまりそれは、「現状の外」にある未知の自分になると言うこと。シンイチさんは、まさに実現可能性を一旦横に置いて現状の外に明確な“Want-to”のビジョンを描いたからこそ、当初は到達できるイメージのなかった自分に辿り着いた実感を語っている。その意味で、このコメントはたかコにとって大きな気づきを与えてくれた。そう、「やれること」よりも「やりたいこと」をやろう。

就職活動は終わった、そして本当の人生の選択が始まる

すべての選考を終えて、結果的に絞り込んだ内定先は、金融機関・メーカー・専門商社の3社でした。どの会社も、人事担当者が親身になって相談に乗ってくれ、自分の将来に期待し、根気よく待ってくれた方々。今でも、それぞれの人事の方に、恩義を感じています。

仕事の内容も、会社の業容も、給与体系も就労条件も三者三様で甲乙つけ難い。はたから見れば羨ましいような状況ではあるものの、シンイチさんの心の内は穏やかではなかった。そしてそれは、彼の誠実さ、正直さ、慎重さの資質の裏返しでもあった。思い切った選択ができないことを嘆く必要はないのかもしれない。その裏側には必ず、たいせつなあなたの価値観があるから。

「どの会社に決めても後悔する気がする」

シンイチさんからの連絡を受けて、久々のコーチングセッションを持つ。テーマはズバリ「どの会社に行きたいのか自らの声を聴く」つまりどの会社の内定を受諾し、どれを断るかの一大決心に向けた真剣勝負の1時間が始まる。今回のインタビューで、2人が同時に声を揃えて一致した。「これぞコーチング・セッションの真髄だったよね」と。

冒頭、何を選んでも後悔することは避けられないというプログラムを断ち切るべく、たかコはコーチとして異例の踏み込みと介入を見せた。

「その思考パターンはシンイチさんの役に立たないから、きっぱりこの瞬間に捨てるってのはどうですか?」

たかコにとって、コーチとして最も核心をついた、思い切った提案だったように思う。不思議なことに、ためらいはまるで無かった。全身全霊で、クライアントのために必要だと思うことができていたからだろう。

その瞬間から、シンイチさんの中に重要なセルフトークが芽生えた。

自分の中にある答えを、丁寧に聴く

「ほんとうの自分は、なにをしたいか?」静かに落ち着いて、心の声を聴く。
「その決断は周りの声によってなされるのではなく、自らが下す決断だ」

そのセッションを境に、シンイチさんの行動が加速する。3社に関するあらゆる情報の収集。ネット情報はもとより、人事部経由紹介いただいた社員の方の話を直接聞いたり、知り合いのネットワークからOB/OGの生の声を聴く。そのたいせつなプロセスの中で、シンイチさんはひとつの重要な事実に気づいたと打ち明けてくれた。

ゼミの教授や、周りの方のアドバイスもあって、一旦メーカーへの就職を決断したんです。期限もとっくに過ぎていたので専門商社にはすぐに断りを入れたのですが、金融機関の人事の方には、どうしても内定辞退の電話をすることができないんです。まさに、身体が動かなかった。情報収集をする中で、いつしかメーカーに対する批判やマイナスの情報を仕入れたくて、あちこちに聞いてまわっていた自分に気づきました。まさに、僕の無意識が、断る決め手を探していたんです。そして、確信しました。ああ、自分は、最初からほんとうはこの金融機関に行きたかったんだ、と。

最後まで強くシンイチさんの心の支えとなったポイントは、「自分は決して嘘は言っていない」ということだったと教えてくれた。複数の内定を得て迷っていることも、他社のプロセスがどう進んでいるかも、いつまでお待たせして、その上でお断りをする可能性もあることも、伝える必要のあることは、偽りなく正直に打ち明けていた。後で聴くと、その背景にはたかコのこんなことばがあったと言う。

「嘘は決してつかないこと。ただし、ほんとうのことは言わなくてもいい」

これは、魑魅魍魎の価格競争と入札ビジネスの世界でたかコが教え込まれたたいせつな「自分ルール」だ。弱肉強食のマーケットの中で、誠実に誇りをもって立ち振る舞い、何よりも自分自身に対する信頼を失わずに走り続けることはとても難しいこと。ともすれば競争相手を裏切り、出し抜いたり騙したりして乱戦を仕掛けてくる敵にも出くわすことがある。そんなとき、大先輩が繰り返し体現し、教えてくれたこと。

それでも決して嘘はつかないと心に誓いなさい。卑怯な相手に対して、自分が卑怯な手を使って勝っても、なんの意味があるだろうか。嘘をつくと、自分の価値を下げてしまうから、とにかく嘘はつかない。問い詰められてどうしても言えないことは、「お答えできません」と勇気を持って伝えるんだよ。ただし、聞かれてもいないことをペラペラ自分から話す必要はない。ほんとうのことを全部伝える必要は、どこにもないだろう?」

答えは、最初から決まっていた気がします

「迷いに迷って、最終的に、一番最初に内定をくれていた金融機関に入社することにしました。今は入社前の資格試験の勉強に追われています」

シンイチさんの声は、まるで比叡山から展望する北山の峰々のように、雄大に浮かぶ雲、無限に広がるあの青く澄み渡る空のように、スッキリ晴れやかに響いていた。あの日、不安そうに小さな声で、ありきたりな面接対策用のことばで、自分ではない何者かのための「自己分析」を握りしめて語っていたシンイチさんの姿はどこにもない。

それは、紛れもないシンイチさんその人の声だ。シンイチさんの全人格が輝きを放っている。そういう瞬間に、コーチとして立ち会えることの、なんと幸せなことだろうか。

最後は直感を信じました。

確固たる理由や、根拠なんてない。ただただ最後の最後は「自分の直感を信じた」とシンイチさん。「答えは最初から決まっていた気がします」と彼は続ける。

簡単な道のりではなかったし、色々な方にご迷惑もかけてしまったけれど、この就活を通して自分は、「周りの声」ではなくて、自分の声を聴くことができたと思っています。
いまは、自分自身の生きる力を伸ばす会社はここだと思っています。自分は商社に入りたかった。商社のビジネス、国際プロジェクトに対する憧れは消えてません。ただ、今は、金融機関の立ち位置から、その仕事に関わることが自分のやりがいになるんだと思っています。

これほどに腹の底から出ている<ほんとうのことば>を、わたしは知らない。

迷いながらも飛び込んだ、あの日の自分を讃えたい

「迷ったら行け、そこに出会いがある」
たかコが繰り返し使うこのことばに出逢って、<飛び込んだ自分の勇気>、はじめの一歩を踏み出したことがすべてなんだと思っています。


こころからの感謝と祝福をこめて、この記事をシンイチさんに贈ります。そして、いま共に歩んでくれているみなさん、これから出逢う学生クライアントの皆さん、コーチ仲間たち、他職種連携に賛同してくれるカウンセラーのみなさん、運営に加わってくれる事務局メンバー、更にはカツコチを経済的・財政的に大きく強く支えてくれる協賛企業・学校・その他多くのカツコチ・サポーターの皆さん、本当にありがとうございます。


(プロジェクト開始当初のNOTE記事はコチラ)


きょうも、最後までお読み戴き、ありがとうございました。あなたの感じたこと、思いをぜひ、お聞かせください。  

それでは、きょうも、あしたも楽しんで!

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