だいたい、看取りってどういう事ですか?
いつもありがとうございます。よく看取りという言葉を使っていますが、そもそもどういう事なのか、普段、知る機会も少ないと思います。
看取りとは
『近い将来死が避けられないとされている人に 対して身体的苦痛や精神的苦痛を緩和、軽減すると共に、人生の最期まで尊厳ある生活を支援する事』 (全国老人福祉施設協議会より)です。
ただ死の瞬間を見守るだけではなく、本当に大事なのは、本人にとって、何が幸せな最期かを 本人に選んでもらう事です。大変難しい事ではありますが、これはとっても大切な事かもしれません。
病院勤務をして間もない頃、癌の末期で もう積極的な治療はしない事になっている80歳台の男性が入院されていました。その方は、自分の命が長くない事を自然に悟っておられたようでしたが、いつも看護師が身体を拭こうと言っても、爪を切ろうと言っても首を振って拒否し続けておられたので何もして差し上げることがなく、ただ症状を見守る事しかできなかったのです。
身体を拭いたら気持ちいいはず、しんどくないように細心の注意を払ってもう一度勧めてみようと皆で話し合って、ある日体調の良さそうな日に お身体を拭きましょうか?とおすすめしたら その人は、つぶっていた目を開いて、こちらを向いてジッと目を見返して、ゆっくりと
『もう、いいんだよ。ありがとうね』と言われました。思わず手をにぎって『何か出来ることはないですか?』と言うと首を振ってニコッと笑ったのです。
その方の本当の気持ちを掴むことはできませんでした。ただしんどくて何もしてほしくなかったのかも知れません。ただその態度に弱々しくても私を打ち負かす、凛とした強さを見た想いでした。
死を受け入れることのできた人の強さだと思います。その方は、息子さん夫婦に見守られて数日後にロウソクの火が消えるように亡くなりました。
逝き方に正解なんてありません。看取りも決まった形なんてありません。積極的な治療をやめて 何もせずに静かに逝きたいと思ったなら、それがその人の望む事なのでしょう。
そんなことを感じた昔の体験でした。
最後まで読んで頂いてありがとうございました
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