見出し画像

Octoparseを使って3ヶ月先までの京都のホテル販売価格を調査してみた

緊急事態宣言を受けたホテル業界の対応

先月末頃から各国との往来が規制されたことで外国人観光客が激減し、激的な被害を受けているホテル業界ですが、今月の緊急事態宣言を受けて国内観光客までもが自粛に追い込まれたことで、いよいよ窮地に陥ることになってしまいました。軽く検索してみただけで、下記のような動きが出始めております。

ファーストキャビン、破産申請 新型コロナで客急減
プリンスホテルが全国の36ホテルを臨時休業 京都や大津のホテル含め
京都ブライトンホテルなど3ホテル休館 新型コロナ感染拡大で
からすま京都ホテル、粟田山荘が一部臨時休業へ 14日から5月6日まで
京都「新風館」/新型ウイルス影響で開業延期、エースホテルも

とくに、昨日のファーストキャビン倒産は驚きをもって報じられましたが、これらは氷山の一角に過ぎず、すでに多くの宿泊施設が休業や倒産に追い込まれています。

こんな状況でも宿泊予約は受け付けられている

とはいえ、レストランなどの一部施設を閉鎖しつつ、宿泊に関しては感染予防対策を徹底しながら営業を続けている施設もまだ残っています。実際、宿泊予約サイトを確認してみると、予約可能なホテルはまだまだあるようです。

こうして予約サイトを眺めていると、やはり価格がどう変化しているのかが気になってくるのが、マーケターの性。下記のような記事も出ていることから、おそらく、本来であればもっと高い金額であったことが想像できます。

破格「1千円~」の宿も、急落する京都のホテル宿泊料の事情 新型コロナとダブル苦境

センセーショナルな見出しではありますが、これはあくまで一部の施設を抜き出して紹介しているだけであって、全体の傾向までを説明しているわけではありません。全体の傾向を把握するためには、宿泊予約価格を網羅的に調べる必要があります。ということで、今回は予約サイトに掲載されている価格を調べてみることにしました。

販売価格を調べる方法

掲載されている価格をひとつひとつチェックしてると夜が明けてしまうので、ウェブスクレイピング(クローリング)を行って自動的にデータを抽出することになります。一昔前であれば、ウェブスクレイピングはRubyやPythonといったプログラム言語を用いて行うものでしたが、数年前からコーディング知識がなくてもウェブスクレイピングができるツールが普及し始めています。

なかでも代表的なのがOctoparseParsehubです。どちらもある程度の機能は無料で使用できます。有料プランは、Octoparseが月額75ドル~、Parsehubが149ドル~となっています。Parsehubのほうが高機能ですが、複雑なことをしないのであればOctoparseのほうがシンプルに目的を達成することができ、一応日本語対応もしているので、まずはOctoparseから試してみるのがおすすめです。

Octoparseは直近のバージョンアップデートによって、調べたいWEBサイトのURLを入力するだけで、ユーザーが抽出したいであろうデータを自動的に検出する機能が実装されたため、ほとんど何も設定をいじることなく、目的のデータを取得することが可能となっています。もはや、この記事のなかで操作方法を説明するまでもないかと思いますので、少しでも興味があるかたはインストールしてみていただければと思います。

今回は、宿泊予約サイト大手Booking.comに掲載されている京都市内の宿泊施設を対象に、4月21日を検索日として、その後3ヶ月先までの毎週末の販売価格(大人2名、一泊二日)を抽出してみました。無料プランの場合は、週末ごとにデータのダウンロードを分けることになるため少し手間がかかりますが、それでも全ての作業を終えるのに2時間程度で終えることができます。有料プランを使えば、1回の設定だけで全てのデータを落とすことができる(はずな)ので、最初にボタンを押したあと別の作業をに映ることができる分、実際の作業時間を大幅に圧縮することができます。

今回の集計の条件

抽出されたデータに含まれる情報には、主に以下のような項目が含まれています。
・施設名
・エリア(行政区など)
・中心部からの距離(アクセス利便性)
・クチコミ点数
・クチコミ件数
・部屋タイプ
・販売価格(掲載されている価格であり、予約に至った際の金額ではない)
・税・手数料の有無
・朝食などのオプションの有無

ダウンロードしたデータには、朝食などのオプションが含まれているプランが混在していて、そのまま集計しても正しく評価できないので、今回はオプション無しのプランのみに絞り込みます。また、税・手数料などは全て含めた料金を対象にして集計することとしました(手数料不明のプランもあるので、これに関しては過小評価ということになってしまいます)。最後に、部屋タイプの整理を行います。スイートルームなどの高価格帯のプランもあれば、ドミトリールームなどの低価格帯のプランもあるため、これらを区別して同じような部屋タイプごとで比較できるようにします。

スタンダードタイプの場合

はじめに、1泊2日大人2名にとって標準的と考えられる部屋タイプの集計結果を見てみましょう。

画像1

4/21(火)時点で4/25(土)にチェックインするとして検索を行った場合、該当する施設は325件となり、週を追うごとに件数は増えていく傾向にあることがわかります。今週末の販売価格の平均は12,671円でした。大まかな分布を把握するため、中央値と四分位値についても算出してみました。5月2日のゴールデンウィークに少し値上がりしており、その後緩やかに上昇し、7月に入るとまた1段上昇していることがわかります。先行きが不透明であるため、もはや3ヶ月も先の価格はコントロールしていない施設も多いのかもしれませんが、夏頃には回復が始まっていることを期待して価格を下げないようにしているとも解釈することができます。

では他のタイプの場合はどうでしょうか?今回は、ラグジュアリー系、バジェット系、町家・和室系の3タイプについても集計してみました。

ここから先は

1,081字 / 4画像

¥ 100

続きに興味を持っていただけましたら、サポートをお願いします。一定の金額が貯まったら、独自の調査活動資金に充てたいと考えています。