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その昔、小児科で「母の勘」みたいなものが働いたこと

この時期になると、いつも思い出すことがある。

大学生の息子が、4,5歳くらいだったときのこと。前日から、発熱、発疹、喉の痛みなどの症状があった。舌も赤い。私は、これは前に何回か、かかった溶連菌感染症では?と思い、すぐかかりつけのH小児科に連れて行った。

この小児科には上の娘が生まれたときから、ずっと通っていて、ここのH先生は60代くらいの、やさしく温厚で紳士的なドクター。私の2人の子どもの性格や体質、好きなことなど、すべてを把握されていて心から信頼していた。

息子を連れて行ったとき、たまたまH先生はお休み。代診は、お若く清楚な感じで、大きめのイアリングがとても似合う女性のドクターだった。初対面だったけれど、私は息子の症状を詳しく話した。

「発疹のところも、かゆいみたいなんです。・・・なんか、溶連菌感染症に似ているような気がするんですが・・・」

おずおずと私は言った。自分から病名を一方的に言わない方がいいのかもしれないと思ったけど、気になってしかたなかったから。

「あー、かゆいというのがねえ。溶連菌は、かゆくはならないですから。」

と言われて、別の薬を処方された。ちょっと腑に落ちなかったけれど、ともかく、様子を見ることにした。

数日、息子に薬を飲ませていたのだが・・・・やっぱり、良くならない。かゆみもあるし。また、受診すると今度はH先生だった。

「先日の女性のお医者さんにお話したところ、溶連菌にはかゆみが出ないとおっしゃって。でも、まだ全体的に症状が良くならないんです・・・」

H先生は、私の話に耳を傾けた後、おもむろに一冊の医学事典を取り出し「溶連菌感染症」のページを開いた。

「見てください。溶連菌感染症には、熱、のどの痛み、イチゴ舌(舌の赤いブツブツ)の典型的な症状の他に、かゆみもあるんです。」

やっぱりそうなのか!私が子どもを育てている中で、実際に見ていて気づいたことは、間違いではなかったんだ!

私は、そのとき「母親としての勘」みたいなものも、大きな意味があるんだなと思わずにはいられなかった。考えてもみれば、毎日毎日、子どもと顔を合わせない日はない。私の心の中にある子育てデータは、毎日毎日、子どもが成長するにつれて、どんどんアップデートされていく。蓄積されていく。だから病気や変わったことがあったら、すぐに気がつくし、気づくきっかけにもなるわけだ。

今も、お母さんをはじめ、子育てに奮闘されている多くの保護者の方々。きっと、毎日が嵐?のようだと思うけれど、その毎日の積み重ねが我が子の異変にすぐ気づき、希望がある未来をつくっていることを、忘れないでいただきたいなあと、心から思う。

H先生から新しく処方された薬を息子に飲ませ、安静にしていたら、数日で元気になった!ああ、良かった!

それからも、ことあるごとにH小児科には行っていたが、女性ドクターにはあのとき以来、一度もお会いしていない・・・








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