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自然界の生物の生きざま・死にざま

先日、こんな本を読んだ。

はっきりとは覚えていないが、大学生の時の教授がこの本を薦めてくださり購入したものである。

生物たちの懸命に生きる姿に触れる珠玉の一冊


この本は、私たちにとって身近な生物やそうでない生物を含め、どのような生涯を送るのかをショートエッセイで書き綴っている。私は生物に詳しくはない。詳しくないからこそ、この本に書かれている「生物の生きざま・死にざま」に胸打たれたのだ。今回は、私自身が特に胸打たれた生物を紹介する。

ハサミムシ

自分の身体をも犠牲にして子どもに身を捧ぐ生物。どういうことかと子どもが母親の身体を食べるというのである。子どもたちは自分で食料を得ること、食することができない。そのための最終手段として、母親の身体を食べるという行為に行きつくのだという。「目的のために手段を選ばない」という言葉がある。その「目的」が生物にとっては「生きること」「生き残ること」なのだ。我々人間ではとても想像できない世界があるのだ。

タコ

私たちにとって聞きなじみのあるタコ。そのタコも、オスとメスとの交接後は、果てしない時間との戦いが始まる。タコが住んでいる海は、海水温の低いところもある。その地域では卵の発育が遅れ、通常は1ヶ月ほどのところだが、6ヶ月~10ヶ月ほど要することがあるのだという。その間、メスのタコはどうするのか。ただただ卵が育つのを待つのである。しかもその場を離れることなく。そして食料も取ることなく。ずっと岩にしがみつくのだという。
人間の生活ではどうだろう。「人間は1人では生きていけない」と言われる。自分がしんどくなったとき、助けを求めるときは、誰かに頼ることができる。しかしタコはそうはいかない。「自分が守る」のである。そして、無事子どもが生まれると、親ダコは、役目を終えたと同時に生涯を終えるのだ。

ネズミ、ニワトリ

私たち普段、食材を手に入れ食している。また、万が一体調が悪くなったときは、薬を手に入れ処方する。よくある日常の出来事である。しかしこうした行為の根源をたどると、想像を絶する世界があるのだ。
まず、ネズミである。人類の進化の中で、人々が長生きしていくために、新薬が作られる。その過程で、「動物実験」が繰り返し行なわれているのだという。その実験対象こそ「ネズミ」である。ネズミの身体に薬物を入れたり、細工をするのである。その結果から証明されたことが、今日の私たちの「薬」などのものとして届けられているのである。
食材はどうだろう。クリスマスの時期などでは、チキンがよく食卓に彩られる。そのチキン、すなわち鶏肉はどのような過程で育っているのだろう。生まれてまもなく、鶏舎に入れられ、餌を与えられる。外の世界を見ることはない。一瞬外の世界を見る。しかしその時は出荷されるとき。このような結末になることを鶏は知っているのだろうか。知っているだとしたらどのような感情になっているのだろうか。私たちが生活を営む上では、こうした生物たちの犠牲の上で成り立っているものもあるのだと心に刻んでおくことはとても大事なことだと思う。

その他にも、様々な生き物の生きざま、死にざまを知ることができるのでぜひ本を開いてみてほしい。自然界は色んな意味でドラマチックである。感動、残酷、、そのような言葉では語り尽くせない物語が数多くある気がする。また、自然界の生態系の頂点に君臨しているのが人間である。その人間に何ができるのだろうか。まずはこうした本を手に取り、自然界を生きる生物の生きざま・死にざまを知る。それが自然界に向けて奉仕できることのスタートラインに立つということであると思う。では。


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