【EURO2024 試合分析】 圧倒的完成度のドイツがスコットランドを粉砕
両チームスターティングメンバー
ドイツ スコットランド
1.ノイアー 1.ガン
6.キミッヒ 2.ラルストン
2.リュディガー 13.ヘンドリー
4.ター 15.ポーテウス
18.ミッテルシュテット 6.ティアニー
23.アンドリッヒ 3.ロバートソン
8.クロース 8.マクレガー
10.ムシアラ 4.マクトミネイ
21.ギュンドアン 7.マッギン
17.ヴィルツ 11.クリスティ
7.ハヴァーツ 10.チェ・アダムズ
開催国のドイツは、10分に21歳の若武者ヴィルツがボックス内からのワンタッチシュートを決めて、完璧なスタートを切った。その9分後、同じく21歳のムシアラがゴールを決め、初の国際大会グループステージ突破を目指すスコットランドを突き放した。さらに、前半ATにはポーテウスがギュンドアンへのタックルでPK献上&退場となった。そのPKをハヴァーツが決め、ドイツが3−0でリードして前半を終えた。
ドイツは後半、積極的な選手交代を行い、68分には、交代で入ったフュルクルクのスーパーなシュートで4-0とする。終盤、リュディガーのオウンゴールでスコットランドはなんとか1点を返したが、エムレ・ジャンが終了間際に見事なシュートを決め、試合は5-1で終了。開催国ドイツは好調な滑り出し、一方のスコットランドは直近10試合でわずか1勝と厳しい現実を突きつけられた。
スペースを必要としないドイツ代表
前半立ち上がり、ドイツは2列目からどんどん選手が飛び出していき、果敢にスコットランドゴールを目指し攻撃を仕掛けます。対するスコットランドは5-4-1のブロックを作り、選手全員が自陣に戻り守備を固めます。
ドイツはボールを持った選手の前方でボールを受けようとする選手が多く、かつ横や後ろでも全選手が短い距離間でボールを受けられる体勢を整え続けていました。ここまでボールを持っていない選手が受ける動作ができると守備をする側は後手に回らざるを得ません。とにかく中央を固め、ゴールを守ることを最優先します。
ここで、サイドにいるムシアラとヴィルツが非常に効いてきます。彼らにボールが渡るとドリブルで簡単にゴールまで迫られてしまうので、この2選手がサイドでボールを持った際には2人で守備にいきます。そうすることで1人分のわずかなスペースが生まれます。ドイツの選手たちはボールを扱う技術が非常に高いのでこれくらい狭い場所でも簡単に前を向くことができます。こうなると人数をかけて固めたスコットランドの守備ブロックが崩壊し始めます。
また、ドイツの選手たちはスコットランドの選手の死角、背中側に立ちボールを受け続けていました。そうすることでスコットランドの選手が視界を取り戻す前に、対峙すべき選手はもう次のプレーに移っている、というタイムラグが発生します。この時間差をうまく生み出し、利用することで簡単に中央を突破してゴールに迫ることが可能になります。2点目のムシアラのゴールなどがまさにこれを体現しています。
スコットランドの失態
スコットランドがここまで大差をつけられ、敗北した理由はドイツが好調だったから、だけではありません。開始早々にハイラインの背後を取られていたり、簡単に縦パスを差し込まれたり、と守備の甘さが際立っていました。それに加えて、せっかくボールを奪っても守備から攻撃の切り替えが非常に遅く、ボールの前方には受けることができる選手が全くいません。仕方なくチェ・アダムスにロングボールを蹴り、パワープレーを試みるのですが、何にせよ対峙するのはリュディガーとターなわけで、パワープレーでは勝ち目がほとんどありません。そんなこんなで簡単にボールを奪われてしまい、攻め立てられます。
また、選手間の距離も非常に遠く、ボールを前進させることができません。何とかドイツ代表のプレスを回避しても中盤で詰まってしまい、中距離の横パスをせざるを得なくなり、ミスが起こります。守備時にコンパクトな陣形を形成していますがそれが全く活きていません。せめて中盤にボールキャリー能力に長けた選手がいれば個人技頼みでどうにかなるかもしれませんが。
開催国ドイツは素晴らしい出来だっただけに、これで優勝への期待値がグッと上がったことでしょう。次戦はハンガリー代表とのゲーム。この試合の完成度であれば圧勝となりそうですが、果たしてどんなゲームになるのでしょうか。スコットランドは予選で良い成績を残していただけに残念ですが、タレントはある程度揃っています。次戦での復活が楽しみです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?