オシャレ気分で吉祥寺に行ったらジジババデートになった
うちの彼は人混みが大嫌い。都心に行くなんてもってのほか。地元から出ようとしない。地元外で遊ぶとしたら立川、遠出するなら奥多摩といった具合に中央線の下り方面を目指す。都会が好きな私からしたら物足りないが、人のペースはそれぞれだし彼となら楽しいから、まぁいっかと思っている。
そんな彼だが、先日買い物で吉祥寺に行きたいと言ってきた。ありゃ珍しい。ということで、かなり久々に地元外、しかも都心方面の吉祥寺に行くことにした。私としては久々の地元外デートということで嬉しさ極まる。地元から出てデートすること自体がオシャレに感じた。
最初に行ったのはスニーカーのセレクトショップ。井の頭公園の近くにあるSkit(スキット)というお店だ。彼は大学生の頃から来てるとのこと。私と彼は2歳差だから私が学生の頃からあるはず。しかも私の大学は吉祥寺で、井の頭公園辺りはもはや庭なのに初めて存在を知った。あまりのオシャレな展示に度肝を抜かれた。
彼は今ではいいオッサンだが昔はオシャレだったよう。その片鱗は今の私服でも垣間見える。今も着ているのはsupremeだけど、私が買ってきたワークマンのポロシャツやGUのニットで喜ぶ。その姿を見ると本当にオシャレだったの?と思っていたが、このお店を知っているなら紛れもなくオシャレなのであろう。
2足ゲットし、次に行ったのはpatagonia。こういうアウトドアブランドは無条件にオシャレに思えるのは私だけだろうか。
こちらでの目的はダウンとトップス。薄手のものから厚手のもの、もこもこフリースなど多彩なラインナップで付き添いの私も見ていて楽しい。彼も久しぶりの買い物だから念入りにチェックし、ダウンは2択で迷った。
トップスも気に入ったものが見つかり、会計に向かう。するとここで事件発生。
なんと、patagoniaにはショッパーがない!有料のものもない!それでも袋が欲しければ2,500円のエコバッグを買うしかない。それ以外であるのは店員さんが家から持ってきた紙袋。エコ、SDGsを徹底しているらしい。
店員さんから集めた紙袋にはダウンとトップスが入るサイズはなかった。どうしようかと悩んだが、幸い先ほどのセレクトショップで大きな紙袋をもらった。靴2足は彼のバッグに(靴箱なしにしていたので入れられた)、靴を入れていた紙袋にダウンを押し込み、私のバッグにトップスを詰めた。
ショッパーが一切無いことをブランドとしても周知できていない、申し訳ないと店員さんが話す。まぁ仕方ないけど非常に不便である。せめて入口の窓にデカデカとお知らせポスターを貼ってほしい。
買い物を終えたところでランチをすることに。事前に調べて行きたいと思ったカフェに向かう。
しかし、ここでもまさかの事態が。行ってみると貸切だったのである。何の根拠もないが絶対に入れると思っていたので残念極まりない。とはいえ近くにも数軒飲食店があるので回ってみるもののどこも並んでるし、コースランチの縛りがあったり、初回では入りにくい佇まいだったり。しばらくグルグル歩いたがこれという店が見つからない。
パンパンな荷物を持つ彼を見ると、早く座りたいようでげっそりしていた。どこでもいいよぉと言うが、こちらはそうもいかない。だってせっかくの地元外デートなのだから!オシャレなランチを食べたいじゃないか。もう私の口の中はオシャレな味モードである。しかし、空腹で早く食らいつきたいのも事実。結局は空腹を満たしたい欲が勝ち、すぐに入れそうな店を思い出して反対口のサンロードに向かった。
またもや根拠のない自信で入れると思い込み向かうと、今度はすぐに入れた。ラッキー!たしかドイツ料理がメインと思っていたがパスタやタイ料理などさまざまな国の料理が揃っている。ナイス!
本当はガッツリイタリアンな気持ちでいたが、ブルーチーズのパスタは美味しいし他のメニューも全て良いお味。スパークリングワインも飲めたので大満足である。
さて、腹ごしらえもできたし買い物の続きをしようかと彼に言うと、もう疲れたようで帰ろうとのこと。ええ、まだ吉祥寺に来て2時間ですけど!さすが住みたい街ランキングの上位常連・吉祥寺なだけあって人が多いことに加え、ランチ巡りでもう疲れたんだって。まぁ確かに私も疲れたので彼が言うなら帰ろうかと快諾。こんな数時間で終えるなんて、ホントうちらジジババだねと笑い合い、店を後にした。
私も人混みは嫌いだが昔は楽しみたい、オシャレな時間を優先したい気持ちが上回って長い時間ブラブラしていた。ところが今は、それをするくらいなら家でまったりしたいとゴロゴロ欲が勝つ。本当に我ながらババアになったと思うし彼も立派なジジイである。けれど、彼とならどこでどんなふうに過ごしても楽しい。だからオールオッケーだ。今度こそは、もっと長い時間優雅に過ごしたい。次はどこでオシャレなデートができるだろうか。だいぶ先だろうし結局疲れるだろうが、今から楽しみである。