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立ち止まる勇気

前回の記事に、「自分を原点に戻すために、イギリスなどヨーロッパを度々訪れていたこと」を書きました。1年に一回くらい、そんなことができればいいけれど、今は2児の母となり、自分のためだけに飛び回ることができなくなったけれど、それでも私は日々の生活の中で、短時間だけれど、「素の自分に戻る時間」「自分を原点に戻す時間」を作っています。

それは、瞑想であったり、ウォーキング出会ったり、モーニングページを書くこと(ジャーナリング)であったりします。どれも自分と静かに向き合い、本来の自分に戻るための大切な時間で、私は家族がまだ起きていない早朝にこの時間を取っています。この時間がないと、「あぁ、また自分の時間が取れない。」とか「私の時間は家族に奪われている」とイライラし始めます。それなので、自分の精神衛生上とても大切なことなのです。

日常の中で、自分をチャージする時間があることは、それだけで生命力を高め、自分を心身ともに強くすると思います。逆に体調を崩したときは、この時間をとても丁寧に行い、元のリズム、私本来のリズムに戻すことで、回復させています。

小さな軌道修正なら、このくらいの日常でできることで、自分を本来の自分へと戻せますが、時には大きく人生を軌道修正しなくてはいけないときもありますよね。少なくとも私には過去に2回はありました。
私は30代に2回、この大きな軌道修正を行いました。どちらも一旦仕事を辞めて、最初はイギリスへ1年間滞在し、2回目はスペインのカミーノ・デ・サンティアゴ巡礼を1ヶ月かけて歩きました。どちらも、自分には一旦人生を立ち止まり、これからの人生をどう生きたいのか考える必要があると感じ、そうするには、日本を離れ、海外に出て自分と対峙してみようと思ったからです。決断するには、とても勇気がいりましたが、一度やってしまうと、案外2回目は最初ほど難しくありませんでした。それでも、突然職場を辞めるわけですから、周りの人たちから見たら、なんてわがままなんだろうとか、自分勝手な自由人と映っていたかもしれません。ただ、私は自分のうちから湧き上がる衝動、「立ち止まって自分を見つめ直したい」という気持ちを抑えることはできず、それに従って行動しました。

こんなことをする人はあまり多くないのかもしれません。今の時代なら結構いるのかな。どうでしょう。私と同じように人生に対する疑問が湧き上がってきても、それを誤魔化して、気づかないふりをしている人も案外多いのではないかと思います。でも私には、誤魔化すことができなかったのです。

こうして書いていると、やっぱり私は突拍子もない人なのかもしれないと思いますが、実はカミーノ・デ・サンティアゴ巡礼をしたとき、私と同じような人にたくさん出会いました。このとき初めて、「あぁ、私と同じように考えて人生を一旦立ち止まる人がいるんだ。私は一人じゃないんだ。私の仲間はここにいたんだ。」と嬉しかったです。もし自分がまたひとりぼっちと感じたら、ここに戻ってくれば仲間がいるとわかって心の底から安心しました。

この2回の出来事は人生の大きな転機期となりました。立ち止まることで、心を充足させることができましたし、知らない世界に飛び込んで、さまざまな価値観に出会い、自分がこれからの人生で何を大切にしたいかなどのコアバリュの軸ができました。いずれにしても、勇気を出して未知の世界に飛び込んだことで、それまでには想像もしてたことがなかった人生の展開が待っていたということには間違いないです。アメリカ移住に関しても、結婚という喜ばしいことではありましたが、自分が残りの人生を過ごす国が変わることや仕事を手放さなくてはいけなことなど、とても大きな変化を伴うことだったので、ものすごく大きな勇気がいりました。この決断でいいのかと何度も何度も自分自身に問いました。大きな変化を決断し乗り越えられたのも、やはり過去に2回大きな変化を経験していたからかなと思います。

ということで、私は30代でホップ・ステップ・ジャンプと3回変化を経験し、毎回海外に出て、3回目は移住という形になりました。最初の決断がある意味一番、勇気がいったのですが、このときは職場で、今でこそパワハラなんて言葉がありますが、まさにそれを上司から受けていたことがきっかけでした。この上司に対する強い反感が私を海外まで押し出してくれたというわけです。
あそこまでの強い反感がなければ、海外に出る勇気も出なかったかもしれません。そう思うと、人生何が福と転じるかわかりませんね。良い出来事も、嫌な出来事も、すべては自分のプランに沿って起こっているのかもしれません。

予想外の人生の展開になりましたが、私は自分の下してきた決断には後悔はありません。むしろ、勇気を持って決断したことを本当に良かったと思っています。


カミーノ巡礼の出発地サンジャン・ピエ・ド・ポーにて。
翌日ピレネー山脈を超えてフランスからスペインへ入りました。

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