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多くのクリエイターにインスピレーションを与えた体験拡張の作品・事例集10選

9月17日に弊社MESON主催のオンラインイベント「MESON WAVE LIVE 02 体験拡張プロデューサー対談」を開催します!!

このイベントでは、体験拡張のプロダクトやサービスに携わるプロデューサーの方々に、体験を生み出す考え方や方法について事例をもとにお話していただく予定です。

でも、そもそも「体験拡張」って何?と思われる方も多いと思います。

「体験拡張」には様々な定義や捉え方がありますが、今回のイベントではデジタルとリアルの場が融合していくことで生まれる体験のことを指します。

今回は、体験拡張を具体的にイメージしやすくするために、多くのクリエイターにインスピレーションを与えた10作品ご紹介いたします。

体験拡張の作品事例10選

1. Maison Hermès Window Display 

私が空間の中で最も表現したかったことは、人が身につけた時のスカ−フ本来の美しさです。それは、決して額縁の中に飾られているスカーフではなく、実際に身につけられ、風になびきながら人の動きと共に変化する表情です。 引用:https://architecturephoto.net/23962/

今から約10年前、初めてこの作品を見た時そこに実在するかのようなディスプレイの中の女性と、スカーフの心地よい動きに衝撃を受けたのを覚えています。リアルとバーチャルの関係性を再構築したこの作品は、10年経った今ふと思い返しても変わらず素敵な作品だと思います。

2. I/O Brush 

I/O Brushをひと言で表すなら、絵を描くためのブラシということになるだろう。しかし、ただのブラシではない。自分を取り巻く物理環境から色やテクスチャー、さらに動きまでをピックアップし、それを絵の具として用いながら絵を描くことを可能にする、新しい表現ツールなのである。
引用:https://ascii.jp/elem/000/000/073/73193/2/

リファレンスとして、良く話題あがる I/O Brush 。今から10年以上前の2004年に作られたことが驚きです。リアルの世界のものをバーチャルに取り込んでいく未来ビジョンをまさにそのまま体現しています。

3. KAZU - Come Behind Me, So Good! (Official video by Daito Manabe + Kenichiro Shimizu)

音が生み出す独特の世界観と共に映像の中に入り込めてしまうようなこの作品。フォトグラメトリーとレーザーキャンで人や場所を3D化して表現しているそうで、その技術にも注目です。音・ダンス・映像・演出すべてが素晴らしく、今年見た中で一番好きな作品でした。

4. chelmico「Easy Breezy」【Official Music Video】

大まかな構成は決めていましたが、絵コンテはありませんでした。撮影した4D Viewsの2人の動きからインスピレーションを得ながらつくっていきました。
こういう企画だとなるべくCGであることがばれないようにすることが多いと思うんですが、あえてCGでしかあり得ない動きをさせたり、少しスキャンが甘いところも見せてしまったりしています。
引用:https://kai-you.net/article/72399/page/2

CGの動きがポップでとてもかわいく面白くて、もしInstagramのような写真アプリにこのようなエフェクトがあったら、すぐにつけてみたいと思いました。KAZU と同様にフォトグラメトリーを利用して制作されています。

5. Squarepusher - Terminal Slam (Official Video)(2020)

テーマは“ディストピア”ということでもないのですが、「広告に支配されている都市」の景色を、MR(複合現実)デヴァイスとディミニッシュド・リアリティ(Diminished Reality:そこにあるはずのものを見えなくする技術)でつくり替えるというのが、絵づくりする前からのコンセプトでした。
引用:https://wired.jp/2020/04/17/manabedaito_squarepusher/

今作っているもの・作ろうとしているものが本当に正しいものなのかを、考えさせられる作品です。映像の中で使われているセマンティックセグメンテーションという技術も注目です。

6.檸檬ホテル

「2人でカップルになりなさい。
相手がいない場合は、現れるまでしばし待つ。」

このような指示に従って、檸檬ホテルを体験する。
ここには、平面や立体の作品はない。
作品があるとすれば、それは鑑賞者の胸の中で、
少しざわついた、遠い記憶のような何かである。

檸檬ホテルは作品であるが、1日1組、宿泊ができる。
宿泊者には、レモンを効かせた新鮮な島の料理が用意される。
翌朝、豊島レモンで草木染めされた布の、淡く黄色い光りのなかで、
目覚める。

瀬戸内国際芸術祭で豊島に行った際に地元の方にお勧めして頂き、ふらっと立ち寄った檸檬ホテル。1つのイヤホンガイドを二人で共有し、耳から聞こえる独特の指示を聞きながらホテルの敷地内歩きます。二人の距離がちょっと縮まるようなくすっと笑えるイベントが沢山詰まっています。

7. Engram : Data Sculpture for Melting Memories

脳波のデータセットを使ったデータ彫刻作品「Engram : Data Sculpture for Melting Memories」は、短期記憶と長期記憶といった脳活動の違いから、幻想的な映像を創り出している。
6メートル×5メートル×3メートルという巨大な4K有機ELディスプレイを使用しており、その映像はまるで、質量を持つ物体のような立体感を表現することに成功している。Refik Anadol氏は作品に使用する特殊なディスプレイを「メディアウォール」と名付けている。
引用:https://news.minory.org/60384.html

Refik Anadolさんの作品を初めて見たのはArs ElectronicaのFestivalの時でした。脳に残るような不思議な動きをする「Wind of Shenzhen: Data Paintings」という作品を、時を忘れてずっと眺めていたのを覚えています。この作品は、脳波のデータを元に作られているそうで、脳が少し痒くなるような心地良い動きが表現されています。

8. Polyphonic Drawing(2015)

モーションセンサーとバーチャルリアリティを組み合わせた、音と連動する3Dドローイング・アプリケーション。仮想空間のなかで、4種類の手のポーズによって音とオブジェクトを選び分け、まるで指で絵を描くように音を奏でることができる。自らの身体感覚を通じ、「動作」と「反応の知覚」の関係を再構築することで、視覚と聴覚が融合する新しい体験ができる。

身体全体を使って音を描いたり、絵を奏でたり、視覚と聴覚が融合する普段とは違う感覚を味わえるこの作品。映像に利用されている音に空間を感じるのも素敵だと思いました。

9. TOU

「風のゆらぎ」という人やAIでは規定できない不規則な現象を、情報過多な空間に注入することで、ふとした時にぼーっと抽象的な思いにふけるきっかけを提供します。

情報の量も変化のスピードも早くて少し疲れてしまう今の時代。自然界のもつ不規則を取り込むことで、ほっとできる空間を作る。GenerativeArtでも言われるようなそれを、ハードウェアで実現しているTOUにとても共感しました。

10. Synesthesia X1 – 2.44 

シナスタジアラボが手がける、共感覚体験装置「シナスタジア X1」。 44の振動子を組み込んだ装置に身を委ねると、音と振動、光に全身が包み込まれていく。 今回はサウンドアーティスト evala (See by Your Ears) を招き、体験者の身体そのものがメディウム(媒介)となる 新たな音楽体験を提案。意識が研ぎ澄まされていくフロー状態へと、体験者を誘う。

見た瞬間異世界の吸い込まれるような空間がそこにありました。実際に体験すると、身体と音が一体化したような言葉で言い当てるのが難しい不思議な感覚になりました。

最後に

さまざまなクリエイターと話している中で最近良く話題にのぼる10作品をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。これらの作品を通して、体験拡張の今とこれからについて考えるきっかけになると嬉しいです。

ちなみに、Synesthesia X1 – 2.44 は、9月17日に行われる弊社MESON主催のオンラインイベント体験拡張プロデューサー対談に登壇してくださる、Rhizomatiks Design の清水啓太郎氏が手掛けた作品です。清水氏は、パナソニックで商品デザイン、UX先行開発業務に従事し、2013年よりRhizomatiks Designでディレクターとして活躍されています。


MESONがイベントを主催するに至った経緯についてはこちらの記事をご覧ください。

よろしければ、イベントに是非ご参加ください!!


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