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俎板の鯉的所感(入院中です②)

書いてみて、やっぱり生々しいので、大丈夫な人だけ読んでみてくださいませ。
こちらの記事の続きです。

明日、退院の許可が出た。
当初の予定通り。
今朝回診に来てくれた主治医の先生は、今日帰っていいよくらいのことをおっしゃっていたが、最後の部長先生の診察後、正式な退院許可が出るので、結局明日までお預け。

いちばん辛かった瞬間を思い返してみる。
手術室に入り、事前に痛み止めのための管を背中に通す。
術後2日くらいは、背中に管を通たまま、痛みを感じたら自分でボタンを押して痛み止めを注入する。痛くないようにするために行うための準備がいちばん痛かった。

麻酔科の先生が担当されるのだが、事前に説明を受けた時に、麻酔をしてから入れますから大丈夫です…なんて言われたのだけれど、確かに針を刺す瞬間は痛くないが、明らかに位置を調整している間が痛かった。
我慢していても、ウッと声が出る。
しかも…
一度位置を失敗して静脈に刺さってしまったらしく…(ちゃんとそこは聞いてた)
もう一回やり直し。
手術前から勘弁してほしい。
私の身体を抑えている手術室の看護師さんの手がすごく温かかった。
それが唯一の救い。その手にすがりたかったほど。
麻酔科の先生には、全身麻酔の前に謝られ、
笑顔で「頑張りましたね」と言われたけど、私の緊張はさらに高まってしまった。
ガッチガチになった状態で本番を迎える。
麻酔を入れられたところまでは記憶しているが、
その後気付いたのは、執刀した先生から肩を叩かれて、
「終わりましたよ」と言われた瞬間だった。
当時に呼吸ができないことに気付き混乱。
無意識に喉に入れられた管を抜こうとしていた。
本当に苦しかった。
酸素マスクなんて意味がない。ここで死にたくない!!
過呼吸を起こしてしまい、落ち着くまで時間がかかる。
同時に身体中の震えが止まらない。
寒いよね、と声をかけられるが、
その震えが寒いから起きているのかどうかなんてわからない。
ベッドに移されて、布団を掛けられたら、震えは落ち着いた。
手術室から出たところで、待機していた夫から声をかけられたが、
あんまり記憶がない。
ただ、私の両親に電話しとくから…と言ってたのは何となく覚えている。

そこから…
どこの部屋に入れられたのかほとんど記憶がないまま一夜を過ごす。
どうやら、術後の患者さんが入る、ナースステーションからいちばん近い部屋らしい。
少しずつ看護師さんが教えてくれる。

部屋に入ってすぐ、外から聞こえたのは犬の鳴き声。
あまりに長く続くから、何か別の音が聞こえてるのかと思った。
後から、大体毎日同時刻に犬に散歩している人がいて、その犬が吠えていることがわかった。その鳴き声。
あとは、17時の時報の「夕焼け小焼け」。
あ、今は夕方なんだな…とわかる。

動けない。
両足には血栓防止のポンプが付けられている。
腰が痛い。右側全体がなぜか痛い。
(傷は左寄り)
痛みが気になって眠れない。

看護師さんたちは、最初は30分ごと、その後は1時間ごとに観察に来る。
その度に「休んでね」と声をかけてくださるのだけど、
ウトウトしたかと思えば、次の時間が来る。
足元はポンプがブーブー言ってる。
酸素マスクが付けられている。
眠れるはずがない。

前記事に書いた通り、不眠との戦いとなった手術当日。
動けないままの時間が永遠に続くと思えるほど時間が進まない。

深夜、様子を見に来た看護師さんが、浮かない顔をしている。
その後、先生を連れてきた。
どうやら、きずの一部から出血しているらしい。
先生の見立てでは、出血は表面で深部ではないので、明日の朝には止まっているはず、と。

当直だったその先生は部長先生。超個性的。
傷の処置をしながら、私の筋腫が大きくて、執刀した先生が驚いてたよ。
でもね、僕が担当した患者さんで最高は9キロだったよ…と。

9キロ??ですか?

先生は続ける。
女性の体は、十月十日かけて成長する赤ちゃんを受け入れるわけだから、ある程度筋腫が大きくなっても受け入れてしまう。
大きくなってもなかなか気付かないし、みんな「太ったんだと思った」って言うんですよ、と。
なるほど。自分もその通り「太った」のだと思っていて、実は違って、ここにおります。

先生の処置が良く、翌朝には出血が止まる。
朝、心配してくださった先生が見に来てくださり、大丈夫そうだと。
その後、執刀医の先生も回診に来て、
出血しちゃったって聞いたけど…
あ、僕が縫ったところだ、ごめんね。(てへ、ぺろっ)
ガチガチに固定してくれてある!わあ、すごい、これなら大丈夫!と、
感想を述べて行かれました。

手術翌日の午後、術後24時間経ったところで、普通の病室に移されました。
同時に立つ練習をし、立つことができたため、足のポンプは外されました。
翌朝には尿の管も抜いてもらえて、自力でトイレに行かれるようになりました。

ここまでが思い返してみて辛かったこと。
でも、手術の翌日には立ててしまうというのは、自分のことながら、人間の身体ってすごいなと思わされました。

その後、もうひとつ辛いことがあったので、次で書くことにします。

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