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ツツ元大主教逝去に寄せて〜現代インド🇮🇳と南アフリカ共和国🇿🇦〜 後篇 平和の道を伝えた「恩師」

はじめに

昨日に続いてClubhouse『 #インドの衝撃 ( #インド大学 )』で話した #南アフリカ共和国 🇿🇦の偉人 #ツツ 元大主教の話の続き💖

前篇はこちら⭐️

ポッドキャスト音声版も是非聴いてみてね🎶 (約28分)

今日の主役はツツ、そしてあの人。さあ行ってみよう‼️‼️

非暴力の道を継ぐ者たち

ツツが尊敬し、そして模範としたのは #インド 🇮🇳建国の父マハトマ= #ガンディー だった。

#非暴力主義 や諸宗教の融和を説いて自分達の国を創り上げたガンディーに倣いツツは行動した。

ツツはしばしば米国🇺🇸の黒人公民権運動を指揮した「I have a dream」の #キング牧師 と較べられるけれど、キング牧師もまたガンディーの「門下生」だった。

2005年にインド政府からツツへ #国際ガンディー平和賞 が贈呈されたのは大きな誇りになったんじゃないかな。

国連は2007年、ガンディーの誕生日である10月2日を国際非暴力デーに指定しているけれど、この検討会議にもやはりツツがインド人でないのに呼ばれている。ツツがガンディーの後継者という認知が国際的にされているってことだよね。

ガンディー思想原点の地

ガンディーは英国🇬🇧で弁護士資格を取る。余談だけどインド初代首相ネルー、パキスタンPakistan初代首相ジンナーも英国で弁護士になっていて、相手のルールをしっかり学んだ3人が独立運動を主導したってことになる。

ガンディーは一度帰国したけどインド国内でうまく職に就けなかった。インドでは植民地人としての振る舞いを求められて、英国で学んだ「対等な議論」とか必要とされてなかったから。普通はそれに気付いてイヤイヤながら食べていくためにインド式に合わせていくんだけど、ガンディーは頑固にそれを拒否したから職についても全然続かなかった。それで南アフリカに渡ることになる。

一昨日書いたように南アフリカにはインド人がたくさんいたんだけど、

現地で商売をする彼らは白人の役人達から冷遇され、インド人の側に立って交渉をしてくれる弁護士が求められていた。そこで英国式の議論ができるガンディーに白羽の矢が立つ。

南アフリカに渡ったガンディーはインド人の権利を拡大する運動に立つことになり、人種差別の現場を目の当たりにして自分達の国を創らなければいけないと考え始めたと言われている。

この運動のなかで故郷グジャラートでは出逢うことのなかった異なるカースト、異教徒、南インド出身者といったインドの中でも異質な人達と初めて接することで多民族や諸宗教が融和する国を目指さなければならないことを悟ったとされ、また白人政府とズールー族の戦争を中立の立場から見て暴力を嫌悪するようになったとも言われる。

結果20年以上滞在した南アフリカでの経験がなければ、ガンディーが非暴力主義や多民族・諸宗教の融和を主張することはなかった。

後年ツツが憧れたガンディーの思想の根源って実は自分の国南アフリカにあったってことになる。

もしガンディーが殺されなかったら

ガンディーはインド独立を勝ち取ったけれど、一緒になることができなかった東西パキスタンへの配慮を欠かさなかったことから、ヒンドゥー急進派の反発を招き殺害された。

ツツもまたアパルトヘイト終結後に見せた白人への赦しの態度が黒人急進派から反発を買うことになるけど、生き延びて男性の平均寿命61歳の国で90歳の大往生を遂げた。

然るに #アパルトヘイト 終結後のツツの動きにも昨日触れたように見るものが多いけれど、

ガンディーが生きていたらインド以外の世界に対してどのようなメッセージを送ったのかはわからない。ツツみたいになったのかどうか。

ただ平和主義のみならず近代文明への批判的な眼差しなど、現代社会の問題にも対応する #SDGs 的な内容を生前語っていたことは事実であり、何らかの動きはやはりしたのではないかと思う。

といっても殺害されたのは78歳の時であり、そう長くは生きなかっただろうけどね。ガンディーのイメージって基本おじいちゃんでしょ。生涯をかけて成し遂げたインド独立なんだよね。

ツツはアパルトヘイト終結時がアラウンド還暦。前述の通り南アフリカ共和国の一般の男性なら旅に出る時期だけど、ツツは先進国の医療を受けられたこともありまだまだ元気だったから、残りの人生がまだ30年近くあってその半分は世界の諸問題に立ち向かい、残り半分は悠々自適に暮らした。

ガンディーは黒人差別主義者❓

ガンディーの想いを継承したキング牧師とツツによって黒人の社会的権利は大きく向上したのだから、ガンディーは黒人にとって間接的な恩人であるといえるはずなんだけど、

一方でガンディーは黒人差別主義者だったという風評がアフリカで渦巻いているのも事実で、2018年には #ガーナ 🇬🇭の首都アクラにある名門ガーナ大学に置かれていたガンディー像が要望を受けて撤去されたことが世界的に話題になった。

ガンディーが南アフリカにいた頃、当時のインド人居留地に黒人を移住させることに反対してイギリス人と闘った時に、黒人のことをカフィア(白人達がつけた蔑称)と呼んでしまったことに起因している。

現在の黒人達による認識は大半が誤解でネット社会ならではの風評だし、ガンディーが生きていたら黒人の擁護に動きキング牧師やツツを支援した可能性が高いと思われるけど、この批判はインド人も真剣に受け止めるべきだとも思う。

のちにアパルトヘイトが生まれる南アフリカの土壌において、インド人は白人と黒人の間の地位に置かれ黒人に対する優越があったことも事実。そしてそれはガンディーが南アフリカでインド人の権利を拡大するよう動いてきたからでもあるよね。

ガンディーを無邪気に神格化するのではなく、多様な面を見つめ直していかなければインドとアフリカ諸国が良好な関係を築いていくのは難しいだろうね。インド政府は色んな国に平和や多様性の尊重の象徴、的な意味でガンディー像を贈っててガーナ大学のそれもそうだった。

国民会議政権は当然としても、人民党政権になってもモディ首相がガンディーと同郷ということもあってガンディーを神格化し続けるんだけど、これからはガンディー外交が命取りになる可能性が大きい。

ツツがあと10歳若ければ、その間を取り持つことが出来た気もするけれど。

ガンディーツーリズムのすゝめ

一部に上記の批判はあるものの、南アフリカではツツの存在もありガンディーは英雄だ。ツツがガンディー像を設置したりもしてる。

なので、南アフリカ共和国観光局は2014年にガンディーゆかりの地をまとめたサイトを公開したこともあった。現在残ってないのは単にキャンペーンの終了なのか、それともガンディーに対する批判があるからなんだろうか。

特にヨハネスブルグに次ぐ大都市である港町 #ダーバン はガンディーが最初に滞在した街で、市観光局はガンディー #ツーリズム に力を入れていてガンディーツアーとかやってる。

インド系住民が80万人いると言われる「アフリカの神戸」でインドの外にあるインドを体感するのもいいんじゃない❓昨日紹介した #バニーチャウ という食パンにカレーを流し込んだ料理が有名。

非暴力主義でつながる現代インド🇮🇳と南アフリカ共和国🇿🇦

ここまで見てきたようにガンディーとツツの関係はそのまま現代インドと南アフリカ共和国の因縁ともいえる。

南アフリカが現代インドを産み、現代インドが南アフリカ大会を大きく動かしたという意味で切っても切り離せないということをツツの死を契機に知ってもらえたら幸い。

#デクラーク もツツの少し先を行くように昨年11月11日に逝去しており、 #マンデラ は既にこの世にいない。

アパルトヘイトを終わらせた当事者達の死は、アパルトヘイトが現代のニュースから歴史に変わった瞬間ってことになるのかな。

ツツ&マンデラの文化的影響

以上でClubhouseでの講義を終えているので、ポッドキャストもそこまでしか入ってないんだけど、講義を聴いてくれた方から音楽や映画について教えていただいたので共有しておきたい。

ジャズのトランペッター、#マイルスデイヴィス の『tutu』というアルバムがあり、もちろんツツに敬意を表してのタイトルとのこと。

表題曲の「tutu」から始まり、

最後の曲は「Full Nelson」つまりマンデラのこと。

1986年だから、ツツは前々年にノーベル平和賞を受賞、マンデラはまだ獄中にいた時やね。

ジャズっぽくない感じが伝わってくるんだけど、実際ジャズの基本から逸脱しているので音楽的には評価が真っ二つに分かれるんだとか。

『マンデラ』というタミル映画についても教えていただいた。

内容はこんな感じ。

マンデラ本人を描いているわけではないけども、象徴ってことなのかな。

それだけマンデラのことはインド人にも知られているというのは確か。

こういう自分では思いもよらないようなフィードバックもらえるのは嬉しいよね☀️

だからClubhouseで話すのは面白い❣️

おわりに

ポッドキャスト音声版も聴いてね💫

次回『インドの衝撃(インド大学)』の講義は、1月24日月曜日20:00〜、LCCエアアジア✈️日本の国内線からは消えちゃったけど😭 インドではまだまだ飛んでるのでそのお話です。

2月7日月曜日20:00〜もやります。

友人のアジアハンター小林さんが1月下旬にインネパ本を出す予定なのでそれを題材にして話すつもりだけど、刊行が遅れた場合は以前から要望があった山岳鉄道について。

エアアジア、インネパ、山岳鉄道のいずれもnote版も書いていく予定なので、そちらもお楽しみに💙

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