「こどもに〝寄り添う〟保育士の援助とは」 研究報告②
前回の記事では、「こどもに〝寄り添う〟保育士の援助とは」という研究のテーマから定義までを記しました。※研究報告①参照
今回は、実践検証のエピソードと読み取りとまとめをご紹介します。
まずは、前回のおさらいから!
定義:こどもに〝寄り添う〟とは…
①共感する ②見守る ③体に触れる
④提案する ⑤こどもを主体とする
と職員にアンケートをとって〝寄り添う〟について5つのカテゴリー分けをしました!
◯実践・検証
2、日誌の中から〝寄り添う〟援助を探り、カテゴリーを使って分析する。
ということで上記の〝寄り添う〟の定義とした5つのカテゴリーを使って、エピソードを読み取っていきました。
【エピソードNO.1】
令和2年11月6日(金)19:00
◎寄り添えた時◎
延長保育の時に起きた物の取り合いによるトラブルの際、友だちの玩具が欲しいが叶わなくて泣いていたA児。しばらく泣いていたのが我慢のための涙に少しずつ変わっていっている気がしてそれに沿った言葉がけをした所、少しずつ落ち着いて最終的に2人で仲良く遊ぶことができた。保育者の声かけとは関係なく、時間が経って落ち着いた結果かもしれないが、子どもが自分の気持ちに折り合いをつけて友だちと遊ぶまでの一連の流れを観察することができた。(日誌参照、原文まま)
(個人の読み取り)
①共感する②見守る⑤こどもを主体とする
・トラブルの際に中立をしすぎずA児の気持ちに共感することで、本人が切り替えることができたのではないか。
・この場合は④提案するをあえてしなかったからこそ、こどもが主体となって考えられたのでは。
・延長保育=人数が少ない時だから②見守るができたのではないか。
(保育園、他園の読み取り)
・子どもの様子を見ていたからこそ理解ができたエピソード。背景や子どもの特徴を察するのも大切。
・見守っていたことで主体性を引き出せたのではないか。②見守る→⑤こどもを主体とするの関係も見えてきそう。
・どちらのことも否定せずただ気持ちに寄り添い、2人とも一緒に遊べたのはよかった。
・それに沿った言葉がけ、とあるがどういう言葉がけだったのか具体的に知れたらいいと思った。
・②見守るからも時間や保育者の気持ちの余裕は必要だと感じた。
【エピソードNO.2】
令和2年11月2日(月)11:00
△寄り添えなかった時△
0歳クラスCちゃん、11月〜完了食となり、朝牛乳を飲み午前食後のミルクはなくなった。問題なくよく食べていたが、果物のりんごが飲み込めず泣き始める。「噛みきれなかったね、口から出そうか」「終わりにしよう」と声をかけて白湯を飲ませようとするが嫌がる。そのまま抱っこをして普段通り保育室内の職員に受け渡した。しかし一向に泣き止まず「もっと食べたかったのね」 「眠いのね」と声をかけてベッドに寝かせようとするも、大きな声で泣き続ける。
どこか痛いか?眠いか?よく考えてみるとミルクだと気づき、Cちゃんに「ミルクなかったね」「飲みたかったのね」と言って抱っこすると、落ち着き眠りについた。
(個人の読み取り)
①共感する③体に触れる④提案する
・大人は「今日から牛乳が始まる」と思っていたがCちゃんにとっては、「いつもあったミルクがない」という方が変化が大きかったのだと後から気がついた。
・食べる前や食事中に声をかけて、共感して寄り添っていたら納得したのではないか。
・Cちゃんは「なんで先生は気持ちをわかってくれないんだ」ということを泣いて表現していたのかもしれない。
(保育園、他園の読み取り)
・丁寧な声かけが大切だとわかる。乳児は特に言葉で表せない為、子どもの立場になって気持ちを汲み取ることが大切。
・なんで泣いているのかを保育士が考えることができたからこそ、寄り添えた。普段と違う「泣き方」に気づくことができていた。
・どんなに年齢が小さくても初めに言葉で変化を伝える事は必要なのかなと感じた。
・寄り添えることができなかった時も、後から何が原因か考えることで結果的に子どもの気持ちに寄り添うことができたのではないかと感じた。
【NO.1とNO.2を読み取った感想】
・具体的な言葉かけや保育士の援助を詳しく書いていくとより深めることができると感じた。
・「その時には寄り添えなかったことも読み取ることで結果的に寄り添うことができているのでは…」という意見に非常に同感し、改めて自身の研究のきっかけを再確認できた。
・研究の初めはエピソードを読み取ってカテゴリーの数を出して深めていこうと思っていたが、研究を進めていくうちに「寄り添うことができていたかどうか振り返る」ことが重要であると感じる。次回からは職員に納得できなかった時やすっきりしなかった時のエピソードを書いてもらい、保育園全体でカテゴリーを使って読み取っていきたい。
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ということで、まとめまで全て書こうとしたのですが長すぎるので、エピソードNO.3とNO.4は研究報告③へ!(^_^)
近日中に記事にします!📝