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言葉と語感とラーメンズ#14 第11回公演『CHERRY BLOSSOM FRONT 345』後半

『CHERRY BLOSSOM FRONT 345』全7作品中、後半3作品のお話。

5.小説家らしき存在

常に居る、次の人…?

常居次人という小説家と、その編集者の話。
作品名の「らしき」という言葉が、話の鍵。
このシステムがもし現実で行われていたとしたら…。
ペンネームにはよくアナグラムが使われたりしますが、こうした「含み」のあるネームは魅力を感じます。
名前の由来、そこには色んな背景や言葉が隠れていますね。


6.マーチンとプーチン2

小林「問題!甘くてかわいいくせに悪の組織みたいなのは?」
片桐「ゴディバ!」
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小林「問題!ビームじゃなくて水しか出せないくせに、スーパーヒーローみたいな名前なのは?」
片桐「スプリンクラー!」

悪の提督ゴディバ男爵VSグランド整備戦隊スプリンクラー。
これはアニメ化してほしいですね。
ロイズ国王の娘メリーがさらわれた設定で。
ゴディバ、濁音の言葉には強さや汚い語感があります。
スプリンクラー、サ行や半濁音、最後の長音は空気が入るため爽やかな語感があります。
最後の「運命の赤い糸」のくだりも、なんだか納得してしまう感じがして好きです。


7.蒲田の行進曲

じゃあ、“豚と神様ゲーム”やろっか。

ゲームをやるかどうか決める際には、ルールを聞いてからにしましょう。
悲惨な目にあう可能性があります。
戯曲集には載っていない「言葉のレイプじゃないか…」という小林さんのアドリブが、この悲惨さを更に笑いに変える一言になっています。
作品名は深作欣二監督の映画「蒲田行進曲」のパロディ。
「蒲田の行進曲」も「蒲田行進曲」も、ドタバタでちょっと複雑な人間関係です。
その中にある人間心理とやりとりが面白い。
どちらも人情喜劇ですね。


●全体を通して

じつは「エアメールの嘘」が「蒲田の行進曲」と繋がっていたり、「マーチンとプーチン2」は第6回公演「マーチンとプーチン」の第2弾だったり。
それぞれの作品単品でも面白いですが、作品同士のつながりが出て来るようになり、全ての公演を順にみている人は面白みが増します。
単品作品の中に鍵となる「言葉」を置いて、他の作品と関連付ける。
小林さんはどこまで先を想定して脚本を書いているのか…。
作品の中の「キーワード」を見つけるという見方をすると、隠れた面白さを発見できるかもしれません。



次回は第12回公演『ATOM』です。

ではまた。

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