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家路イノベーション(おかず)

たぶん小1くらいだったと思う。
当時習い事をしていて、
今思えば家からすぐ近くだったんだけど、
その道のりは7歳の私には果てしなく感じられた。

習い事は夕方には終わるんだけど、
夏場なら明るいその時間も、冬になると もう薄暗く、
家路を覆う黒い影が、私の心にも影を落とすように感じた。

暗闇は危険だ。
だって、悪い奴が出て来るのってだいたい暗がり。
今風に言えば、悪そうな奴はだいたい暗がり♪ってなるのかな。
今では冗談交じりに話せるけど、当時の私には死活問題だった。

暗闇の家路、
幼くかわいい女の子が一人で歩いていたら、
間違いなく誘拐される。間違いない。
『暗がり×かわいい女の子=誘拐』
この数式を発見すると、私は急に怖くなった。

どうしよう・・・

そう考えると足がすくんで、一歩が踏み出せなくなる。
どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・
そうだ!可愛くなければいいんだ!

思いついた私は、人差し指で鼻をブタっ鼻にした。
そしてその状態を維持したまま、家までの道をダッシュした。

イノベーション
小学校1年の私が発明したイノベーション「ぶたっ鼻」

冬の間中、毎回ぶたっ鼻で家路を急ぐ私の鼻は、
クリスマスを迎える頃にはすっかり赤くなり、
クラスでは「赤鼻のオカズン」って替え歌が流行っていたなあ。

(終わり)

※上記の文章は、投稿頂いた文章に加筆修正を加えたものになります。


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