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坂の下に見えたあの町(じゅん@あさらじお)
小4くらいだったと思う。
当時サッカーブームで、遊びと言ったらサッカーか、
サッカーボールを使う遊びばかりやっていた。
Jリーグ開幕に端を発した大波は、
西の端、長崎にまで押し寄せていたんだ。
長崎は坂の街だなんて言われているけど、
小学4のこの頃はそれを意識した事はなかった。
坂があるのが普通だと思っていたし、
自分の住んでいる地域と他の地域を比べるほど、
よその地域に詳しくもなかった。
だから、普通だったら斜面でボール遊びをする事は無いだろうけど、
僕たちは、いつも坂道で遊んでいた。
やり方は決まっている。
遊ぶメンバーが半々に分かれ、
半分は坂の上、半分は坂の下に配置する。
そして、上は下に向けて、下は上に向けてボールを蹴る
僕らのなかでお決まりだったのは、
ボールを蹴る瞬間、ドラゴンボールの技の名前を叫ぶ事。
「ドドンパ!!!!!」
「魔貫光殺砲(まかんこうさっぽう)!!!!!」
「ギャリック砲!!!!」
「気功砲!!!!!!」
各々が好きな技を叫ぶ。
中には「魔封波(まふうば)!!!」とか言って、
ボールを手で持って、お腹の中に隠す奴なんかもいて、
みんな、笑いながら「おいおいw魔封波は反則だよwww」とか言っていた。
※魔封波は『ドラゴンボール』に登場する相手を殺さずに容器に封印する特殊技。
どこもかしこも坂だらけのこの街の中にある、
長い坂の真ん中に友達みんなで集まってボールを蹴っていたあの頃。
僕はあの時坂の下に見えた街並みを今でも覚えている。
※この内容はインタビューに加筆修正を加えたものになります。
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