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『ラブという薬』いとうせいこう+星野概念

「こんな人が先生だったら、あの時、精神科に行けば良かった」と思った。

精神科医でミュージシャンの星野概念さんと、いとうせいこうさんの対談。星野さんはいとうさんのバンド「□□□(くちろろ)」のサポートメンバーであり、いとうさんの主治医だという。

精神科というと、私にはハードルが高く感じる。空に向かって支離滅裂なことを話している人がいるんじゃないか。拘束衣で縛られたりするんじゃないか。多大な偏見を持っていた私は、自分のメンタルが相当にやばかった時、そんな患者になるわけにいかないと耐えた。でも誰かに肯定しながら話を聞いてもらいたくて、占いに行った。その後、一度メンタルクリニックに行ったけれど、処方された薬に手を出したら止められなくなるんじゃないか、副作用があるんじゃないかと全て捨てて、そして二度と診察を受けなかった。

いとうさんもメンタルにトラブルを抱えていて、音楽活動で知り合った精神科医の星野概念さんに診察を申し込んだ。彼らの対談から見えてくるのは、フラットであること。じっくり対話をすること。対話から思考の癖に気づいて、パターンを外したりする。精神科医は話を聞くことのプロだ。海外ドラマや映画で「カウンセリング」のシーンを見たことはあるけれど今ひとつよくわからなかったが、精神科の診察って何だかよさそう。ただ、全員の先生が合うかはわからないから、追い詰まる前、余裕があるときに信頼できる先生を見つけておけたらいいな、と思う。

星野源のミュージックビデオで見たタッチの表紙のイラストもポップで親しみやすかった。『ラブという薬』というタイトルも気になった。私にとっていとうさんは「まとも」な人だ。そんな人が精神科に行っている、行ってもいいんだ。河合隼雄のような大御所ではなく、ミュージシャンもするような親しみやすそうな精神科医がいたのか。これだけの要素が積み重なってやっと手に取れた本。図書館でおすすめとして本棚に飾ってあった。出会えてとてもよかった。

『ラブという薬』いとうせいこう+星野概念

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