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『長い道』こうの史代

酒場で酔った親がてきとうに決めて結婚することになった壮介と道。(時代は現代)壮介は女好きで仕事が続かない。一言で言えば、ろくでなし。道はぼんやりおおらかに生きている。『この世界の片隅に』のすずさんタイプ。2005年の発行で14刷。

壮介は本当にダメで、お金がなくなっては道にお金をせびるし、もっと派手な女がタイプなので道さんをぞんざいに扱う。道は悲壮になったり、怒り狂ったりせず、お財布を渡し、電灯のヒモにくくられた五円玉を切って生活費にしたりしてのどかに暮らしている。抜けているけど、おおらかで喫茶店バイトに勤しむ道さんならもっといい男がいるでしょうに、と思うけど道さんは壮介と一緒にいる。

正直、道さんの気持ちが理解できないので感情移入できないし、2人のやりとりだけならすぐに飽きてしまいそう。でも実は思い人がいたり、キャラの濃い親族がいたり、空想と現実が混じっていく様子が入っていたりとところどころでスパイスが効いている。

『この世界の片隅に』のすずさんや、ボールペンで描いた『ぼおるぺん古事記』ではないけれど筆ペンのようなもので描かれたページ、★などの漫符が集められた『ギガタウン 漫符図譜』に繋がりそうなセリフなどがあって、色々な作品の始まりが見られたような気がして面白かった。

248 長い道


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