見出し画像

『健康で文化的な最低限度の生活』 1-6 柏木ハルコ

今は会社に勤めてお給料をもらって暮らしているけれど、何かあれば生活保護を受けるようなことになるかもしれないなあ、と思う。前はそんなこと思わなかったのに、日本経済や自分の状況、親の年を考えるとお世話になるかもしれないと思う。このマンガも実家の母セレクション。

舞台は東京都東区役所の福祉事務所生活課。生活保護を担当する部署である。主人公はこの課配属されたばかりの義経えみる。熱意はあるが知識と経験は足りないので、先輩や同僚に助けられ現実に四苦八苦しながらケースに対応していく。

アルコール中毒、借金、子供を抱えるシングルマザーといった様々な課題を持つ人々に対して、既存の仕組みを最大限に生かしてプランが練られる。でも問題はその後。本人たちに実行してもらうことが難しい。アルコール中毒の人はどんなに言ってもお酒をやめてくれない。当人もやめたいけれどやめられない。ケースワーカーの人たちは、心を砕いてケアをしようとすればするほど、裏切られたときに傷つくだろう。すごい仕事。

他にも、生活保護受給家庭に育つ高校生の息子がアルバイトをして稼いだお金を「不正受給になるから全額徴収しなければいけない」と伝えなければいけないケースもある。つらいよなあ。

このマンガのすごいところは、熱血タイプのえみるちゃん以外にもクールな栗橋さんなど他の新人ケースワーカーも時に主人公になること。「高齢の受給者」といった同じカテゴリでも人によって、担当者によって、それぞれのケースや事の運びは全く異なると思う。多面的な切り口で、奥深さを感じる。

2020年に出る新刊のテーマは「貧困ビジネス」だという。エグそうだけれど、読まないわけにはいかないな。

349-354.『健康で文化的な最低限度の生活』 1-6 柏木ハルコ

画像1

2020年読んだ本(更新中)
2020年読んだマンガ(更新中)
2019年読んだ本:77冊
2019年読んだマンガ:86冊
2018年読んだ本:77冊
2018年読んだマンガ:158冊

#健康で文化的な最低限度の生活 #柏木ハルコ #スピリッツ #マンガ #読書 #本 #読書感想文

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?